ラッピングもここまで高光沢に! 3Mがハイグロスを新発売
スリーエムジャパン(3M)はこのほど、カーラッピング用フィルム「3M™ ラップフィルム シリーズ2080」に新たに「ハイグロス」タイプを追加しました。標準のグロスカラーのフィルムに比べてより美しい光沢を備えているのが特徴で、現ラインナップは12色。すでに国内での販売、デリバリーは始まっており、今後プロショップを通じ、価格やただ色を変えたいというだけでなくその品質も重視するラッピング施工において活用されていく見込みです。
高光沢と高品質を兼ね備えたラッピングフィルム
ハイグロスタイプの現在のラインナップは以下の12色。ブラックやホワイトなど、ボンネットやミラー、ルーフなどへのワンポイント施工にも使いやすい7つのソリッドカラーをはじめ、高級車さながらの上品なデザインへカラーチェンジできるメタリック系の5カラーが揃っています。
カラーラインナップ※23年12月時点
ブラック/ホットロッドレッド/ストームグレー/スカイブルー/ホワイト/バーントオレンジ/ブライトイエロー/グリーンエンビー/ブルーラズベリー/グロスフリップディープスペース/ブラックメタリック/ホワイトアルミニウム
なお、従来のグロスシリーズは引き続き併売される予定
何よりも特徴的なのは商品名通りのフィルム表面の優れた光沢。接着剤の改善やPET剥離ライナーの採用により実現したという高光沢は、“フィルムっぽさ”を感じさせない程に美しい艶感を演出します。
そもそも自動車用ラッピングフィルムは、塩化ビニルという素材特性や複雑なボディ形状への貼り付けを可能とする100μm程度の薄さという制限もあり、至近で視認すると“ゆず肌”とも称される微細な凹凸などがどうしても「フィルムっぽさ」を漂わせてしまう部分も。そうした中で「塗装さながら」という宣伝文句とともに進化を続けてきているラッピングフィルムですが、施工のプロの目から見ても文字通りその品質水準に近づいてきているようです。
3Mでは、このハイグロス発売直後からラッピング施工者を対象としたワークショップを通じてプロショップへの普及を進めており、12月には神奈川の施工店ジーマイスターでセミナーを開催。基材や粘着層などの改良点・特性の解説や実車への施工体験を実施し、業界内でも名の知られた施工歴豊富なショップ・施工者も詰め寄せた中、そのフィルム質感を高く評価する声が数多く挙がりました。
また、単純に綺麗さを評する声に加え、「カレンダー構造のフィルムなどを中心に単純な見た目・光沢感に優れたフィルムは他社製品にもあることはある。ただ、ラッピングは施工して終わりではないため、耐候性・耐久性を伴わなければトラブルの原因となる。ハイグロスは高光沢タイプの中でも遜色ない質感な上、キャスト構造で品質に安定感ある世界でも使用実績豊富な3M製品として、顧客に安心をもって提供できる選択肢の1つ」「フィルムとして高い完成度ながら価格も高過ぎず、従来のラッピング施工サービスの中に取り入れやすい」(いずれもプロ施工者)といった声も聞こえてきました。
フィルムだけではなくお店選びも大切!
高い評価の傍ら、セミナーでは施工者から「ゴミ噛が目立ちやすい」といった懸念点も。ラッピングなどのフィルム施工において、貼り付け時に空気中のゴミなどが粘着面に入り込んでしまい、仕上がり後に凹凸として表れてしまうゴミ噛み。ハイグロスの滑らかなフィルム表面は、綺麗な見た目の一方で従来のグロスタイプ以上にゴミ噛が目につきやすいという指摘もあり、剥離紙がPETタイプに変更されて静電気の影響を受けやすくなったこともその一因となっています。
3M・ハイグロスに限らず、フィルムの表面が滑らかになる程にゴミ噛をはじめとした施工トラブルは目立ちやすくなる傾向にあると言われており、施工実績が豊富なショップではそれぞれ独自に「高光沢なフィルムをトラブル少なく仕上げる」ノウハウを培っています。逆に施工技術が伴わない場合、いくら高光沢なフィルムを貼っても逆にゴミ噛などのトラブルが悪目立ちし、総じて綺麗な仕上がりにはならない可能性も。今回のセミナーでは、空気中の微細な埃などの影響を抑えるための作業環境に関する提案や、屋内外での目立ちやすさの検証、静電気除去剤の使用テストなど、ゴミ噛を抑えるためのプロの知見も積極的に交わされました。
そもそもゴミ噛などの施工トラブルは、製品や施工の特性上完全にゼロにすることはできず、「どの程度目につくか(気になるか)」も主観による部分が大きいもの。施工後の仕上がりを見てカーオーナー側では気になっても、ショップからは「ラッピングはこういうものです」と言われてしまってトラブルになったり不満を抱いてしまったり…なんていうのは残念ながら実際に起こりうる話。
そのためラッピングに精通し実績が豊富なショップこそ、そのような施工後トラブルを防ぐために施工自体に細心の注意を払うのはもちろんのこと、事前のサービス説明を丁寧に行ったり、顧客の環境・要望に応じてフィルムの選択や提案をしてくれたりといったことを心がけています。
せっかくカーラッピングを施工するのであれば、価格やどのフィルムを貼るかだけでなく、そうした丁寧な顧客コミュニケーションをとってくれるお店選びを重視してみると、無用なトラブルを避けてカーラッピングを楽しめるかもしれません。