• HOME
  • 記事
  • その他
  • 本格派のコイン洗車場? 専門店への入口も果たす「ディテイリングクラブ」 

本格派のコイン洗車場? 専門店への入口も果たす「ディテイリングクラブ」 

ディテイリングクラブ
その他

全盛期に比べて軒数が少なくなったといわれて久しい国内のセルフ洗車場(コイン洗車場)。一方で、こだわりの洗車を実施できる場として注目を集め、さらにはコーティング専門店への入口としての役割も果たし始めているセルフ洗車場があります。
2022年10月にオープンした広島県福山市の会員制セルフ洗車場「DETAILING CLUB(ディテイリングクラブ、運営:1984(眞田弘昭代表))」は、月額・税込7700円〜とセルフ洗車場としては高額な価格設定ながら2022年10月のオープン以降、会員数を拡大中。中には中部地区など遠方地から訪れるカーオーナーもいるなど、“洗車にこだわりたい層”の新たな受け皿的スポットとなっています。

充実のケミカル・設備環境 

「ディテイリングクラブ」は、高級車を中心とした中古車販売事業を手掛ける1984が運営する会員制のセルフ洗車場。「コイン洗車場」とも呼ばれる手軽さが売りの一般的なセルフ洗車場と比べ、ケミカル・設備・サポート体制の大きく3つのポイントで差別化が図られています。

サービスの目玉となっているのが、英国カーケアブランド「Auto Finesse(オートフィネス)」製品の使い放題プラン。汚れの種類に応じた各種クリーナー・シャンプーから、素材・パーツごとに対応した仕上げ剤までとにかく幅広いラインナップが特徴のオートフィネス製品。スポンジなどで擦り洗いをする前のプレウォッシュで使用する発泡用シャンプー・フォームランスも専用品がラインナップされており、それら製品群の一部を使えるベーシックプラン(月額・税込1万1000円)、上位製品も含めた提供ラインナップの全てを使用できるディテイリングプラン(同1万6500円)を設定。施設のみ利用できるフリープラン(同7700円)や非会員用のゲスト枠(60分1760円/120分3300円、税込)も設定されています。

同社ではオートフィネスの西日本地区の販売代理店も務めており、眞田代表は「元々自身も洗車が好きで、海外製品含め多くの洗車用品を試す中で品質とラインナップの豊富さに魅力を感じて、国内では第1号の代理店になった。カーケア用品としては高価なオートフィネス製品を気兼ねなく使えるというのが、洗車をする上で精神面でのプラス材料になる」とオートフィネス製品とサービスプランの魅力を話します。使い回しによる傷の原因物質付着を防ぐためスポンジやブラシ、クロスなど洗車道具は持参する必要がありますが、洗車道具からケミカルまで店頭販売もしているのでその場での購入も可能です。

  • ディテイリングクラブ・オートフィネス
    豊富な製品ラインナップと品質が魅力という英国カーケアブランド「オートフィネス」

この多彩なケミカルに加えて整った設備面も魅力の1つで、太陽光を遮る屋根や塗装面の見極めを助けてくれる照明・ブラックブースなど、建物だけでも一般的なコイン洗車場とは一線を画す程の良好な環境。加えてエアコンプレッサーを使ったエアブローや高耐久の業務用高圧洗浄機、スツールなども用意されています。これらの設備を一般カーオーナーが使いこなせるよう、店頭にはサポートスタッフが常駐しており、ケミカルや洗車道具の使い方から洗車の手順までを丁寧に指南。2〜3回程サポートを受けるとサポートなしで洗車できるようになる人が多く、現在は全利用者の半分程が会員プランを使用して定期的に洗車しているそうです。

現会員は、週に1〜2回、240分を使って洗車するといったいわゆる“洗車好き”なヘビーユーザーが中心。眞田代表は、「高級車オーナーでもマンション駐車場などお住まいによっては洗車できない環境も増えてきている。それでも新車オーナーを中心に洗車にこだわる層は多いようで、YouTubeやクチコミを介して会員が増えている。オートフィネスはもちろんプレウォッシュという洗車工程を知らなかったりする人も多いが、最初はゲスト利用やベーシックプランで入会した方も、ヘビーユーザーの洗車の様子を見たり弊社サポートを受けたりして興味を持ち、最上級プランに移行するというケースも少なくない。中には三重県や愛知県から訪れるカーオーナーもいて、『こだわりの洗車をしたいけどできない』という人は全国にいるように思う」と利用実態とともに潜在ニーズの高さを語ります。

サービスは基本的に外装洗車のサポートに特化しており、設備面で電源供給は行っておらず、内装クリーニングやポリッシャーを使った磨きなどはサポート対象外。「水を使わない内装クリーニングはマンション駐車場を含めた自宅周辺でできるケースも多く、ポリッシャーを使った本格的なコーティング施工やその下地処理は専門店を推奨している」として、同福山市内でファインラボなどの高級セラミックコーティングを扱う施工ショップ「Elon(イーロン)」とも連携しています。
▶︎ディテイリングクラブ公式サイト

ディテイリングクラブ

コーティング専門店の玄関としても FC展開をプレ始動

このディテイリング専門店との連携は、眞田代表がサービス当初から構想していたもの。
セルフ洗車場というサービス形態ながら「ディテイリング」の名を冠する理由について眞田代表は、「洗車という言葉には『汚れたクルマを洗う』というイメージが強いように見受けられる。汚れたから行う作業ではなく、車両を維持するためのルーティンとして洗車を提供したく、あえて『ディテイリング』という言葉を前面に打ち出した。実際に『愛車のアフターケアという感覚』で来てくださるカーオーナーも多い」と説明。作業内容ではなく作業の目的の違いに着目したサービス展開の狙いを話します。

そして今後、コーティング専門店などを中心にフランチャイズとしての全国展開も見据えています。
まずは数社でのテスト運用として試験的に展開し、市場の反応を見てサービス内容の調整を図る方針。眞田代表は、「多くのカーオーナーにとって洗車は身近だが、コーティング専門店では洗車をサービスとして提供していなかったり、提供していても雰囲気などで入店ハードルを感じる人も少なくない。一方で中古車市場では美観が良好な車両は高値で取引されており、美観を維持する術としてプロの下地処理やコーティング、そして日々の洗車が資する部分は大きい。身近な洗車からコーティング専門店に繋がる入口として『ディテイリングクラブ』を活用してもらえたら」と意欲を示します。

自宅手洗い・機械洗車が主流 国内洗車事情

品質にこだわるニーズに応える形で注目を集めるセルフ洗車場ですが、日本ではセルフ洗車場も専門店での手洗い洗車も極めて少数派といえるのが現状です。

日本トレンドリサーチ(運営:NEXER)が3月16日に発表した洗車に関するアンケート調査によると、洗車を行う手段として「自分で行う」が50.9%と過半数に上りました。続いて多かったのが「機械洗車(ガソリンスタンド)」の36.0%。この2つだけで86.9%に上り、カーオーナーの多数派を占めていることが改めて浮かび上がりました。
他方、それ以外の項目では「コイン洗車場(4.2%)」、「手洗い洗車(ガソリンスタンド、3.3%)」「業者にクリーニングを依頼(2.2%)」、その他(ディーラーでの点検時のサービス洗車など、3.5%)」と続き、コイン洗車場もプロへの依頼も少数派。プロへの依頼経験を尋ねる質問でも、「依頼したことがある」の回答は13.5%に留まっています。

洗車調査

▼アンケート調査概要
機関:日本トレンドリサーチ(ハウスクリーニングなどのECプラットフォーム運営者ユアマイスターと共同で実施)
期間:2023年月2〜6日
方法:インターネット
対象:車を所持していると回答した全国の男女1000サンプル
引用元:日本トレンドリサーチユアマイスター

この傾向は同調査に限らず、例えば生活様式を一変させたというコロナ禍前の同ジャンルの調査を見てみても同様。2019年9月好評のGfK Japanの調査(対象:自動車保有者1万5624人)でも「自分で手洗い」が51%、洗車機が38%と合計89%を占める一方、「店舗で手洗い(ガソリンスタンドやディーラー、用品店など店舗形態は問わず)」は11%に留まっており、プロの手洗い洗車サービスの利用率が低いのは、日本の恒常的な洗車事情の1つといえそうです。

これらの調査で、プロへの依頼を避ける理由で多く挙げられるのが「価格の高さ」や「自分ですることが習慣化している」といった回答。一方でプロに依頼する理由としては、手間を代行してくれる「利便性」や、自分で洗車するよりも綺麗にしてくれるという「品質」に関する回答が多く見られます。

その品質の点では、前述のディテイリングクラブ利用者が「洗車場に来て初めて高品質な洗車の仕方を知ったり、コーティング専門店に導かれたりすることがある」ように、品質にこだわるディテイリングサービス自体がそもそも認知されていないように見受けられる側面も。見方によっては潜在需要が一定数あるとも見られる「プロを介した高品質なカーケア」サービスが、自分での手洗いや機械洗車が主流の国内洗車市場において今後どのように広がるか楽しみです。

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

プロフィール

関連記事一覧