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【クルマ美観】“キレイなオリジナル”で走りたい…脱サラの末に辿り着いた憧れのカウンタック

カウンタックLP400S・PPF施工カーオーナー
その他

ただひたすら「きれい」を追求したり、遮熱や保護といった機能を求めたり、色を変えて楽しんだり…。一言にカーディテイリングといってもその楽しみ方は人それぞれ。実際にディテイリングサービスを施工したカーオーナーに、その魅力を直接教えてもらいました。
今回は、とにかく美しいカウンタックを、これまたとても優雅なガレージに納める大阪在住のカーオーナーK様。華美なクルマ・ガレージとは裏腹に、見栄えよりも自身のこだわりをどこまでも優先する、どこか職人気質を感じるカーオーナー様です。

  • 車両情報1:ランボルギーニ・カウンタックLP400S(1981年式)
  • 主なディテイリング施工サービス:
    ボディ(前後バンパー、前後フェンダー、ボンネット、サイドシル、ルーフ):ペイントプロテクションフィルム(PPF、CLIMAXイデアル)
    ヘッドライト:プロテクションフィルム(PPF、CLIMAXイデアル/PPF上面にCLIMAXフィルムコート)
    ボディ上記以外:コーティング(G’ZOXハイモースコート)
    ウインドウ:ウインドウプロテクションフィルム(WPF、P-Shield)
  • 車両情報2:メルセデスベンツ・300SLロードスター(1960年式)
  • 主なディテイリング施工サービス:
    ヘッドライトとウインドウにプロテクションフィルムを施工
  • LP400Sはイタリア、300SLはカナダの専門工房にてフルレストア済み
  • カーオーナー:1970年代〜のスーパーカーブーム時に“クルマへの憧れ”を育んだ、還暦を控える男性経営者。好きなクルマに乗りたいと脱サラ・起業し、現愛車に至るまでもポルシェやフェラーリなど華やかな愛車遍歴を飾ってきた。「クルマは走ってなんぼ」と国内A級ライセンスを保持しサーキット走行も楽しむ。最初の愛車である1995年式AMG E36T(S124型)は国内登録45台というこれまた希少な1台で、今もピカピカの状態でKさんの足を務めている。
  • 施工ショップソフト99オートサービス
  • カウンタックLP400S・PPF施工カーオーナー・ガレージ
    バーカウンター併設の優雅なガレージに納まるLP400Sと300SL

とにかくとても美しい2台です。それぞれに貴重なモデルですが、どのような経緯で愛車となったのですか?

LP400Sは、元々5年前に国内でこの個体と出会ったんです。「好きなクルマに乗りたい!」の思いで30歳の時に脱サラしてがむしゃらに働いて35歳で独立、その後運良く事業を広げられて、ポルシェを中心にサーキット走行なども楽しんできました。ただ歳とともに徐々に落ち着き、「クルマへ憧れるきっかけとなったカウンタックに乗りたい」と思い始めたところにこの出会いがあり…。
見つけた当時はオリジナルにないブルーメタリック系の色に再塗装されていて内外装ともに大分ヤレも進行していたので、イタリア本国の工房にフルレストアを依頼、5年の歳月を経て今年の6月に手元に戻ってきたんです。

5年掛けたフルレストア…。金額も相応だと思いますが、5年間という期間も相当ですね

「オリジナル状態が良い」というマニア的な精神と、「とにかく汚いのがイヤ」という感覚、あとは「走りたい」という想いが、クルマとの付き合い方のベースにあるのかもしれません。クラシックカーの保有の仕方は人それぞれだと思いますし、極力動かさずにコレクターアイテムとして保管・鑑賞する楽しみ方もあると思います。
ただ、私は走らせたい派なので、万全を期して走るためにもエンジンの組み直し含めフルレストアしてもらいました。LP400Sよりもっと旧い300SLの方でも全然走りに行きますよ。つい先日も近くのワインディングを楽しんできました。こちらはカナダでレストアしてもらって、LP400Sよりも短かったですが、それでも4年待ちましたね。

基本は“当時の純正仕様”に復元するという方向なのでしょうか?

専門のネットワークで純正部品を使ってもらっているのですが、一部は復刻パーツも使われているようです。例えばLP400Sのリアフェンダー下部のエンブレム、当時物と比べると若干サイズが違うんです。ただ、当時物は劣化していて見た目がキレイではなく復元する術もないので、当時物を家に保管しつつ車両には復刻パーツを装着しています。また今装着しているゴールドのホイールもLP400S・ステージ1のもので、現車(ステージ2)純正仕様だったシルバーの縁なしホイールも自宅保管しています。
300SLも、シートの色はこの個体の純正色から変わっているんです。レストアする時に車体(1960年)と同じ年代に製造されたレザーを提案され、色合いもボディにマッチしたのでこの年代感あるレザーで復元してもらいました。

“オリジナル”と“キレイ”へのこだわりのバランスをとても高い次元でとられているんですね

  • ランボルギーニ・カウンタックLP400S
    5年の月日をかけてフルレストアされたLP400S
  • メルセデスベンツ・300SL
    カナダの工房ルディでレストアされた300SL

レストアについて
LP400S:ランボルギーニのクラシックモデル保全をサポートするメーカー公式の保存センター「Polo Storico(ポロストリコ)」を通じてレストア。内外装ともに純正部品を用い、手掛ける職人もカウンタックを製造していた当時のスタッフが内装を手掛けるなど、高度な技術、専門性をもって復元された。シートのステッチやリアウイングなどは販売当時にオプション設定されていた仕様。ポロストリコの認定取得済み。

300SL:北米にあった個体をカナダ・ブリティッシュコロンビア州にある300SLのレストアを得意とする専門工房「Rudi & Company(ルディ)」で復元。エンジンなど動力機関から車体パネル、塗装、内装に至るまで、貴重な純正パーツを中心にルディ氏の精巧な技術で組み直された。トランクルームにピッタリと納まる純正のトランクケースも復元されている。

貴重な旧車を守る最新フィルム技術

この2台はそれぞれ、レストア後にプロテクションフィルムを施工されているんですよね?

はい。最初は300SLの方で、窓とヘッドライトに貼ってもらいました。元々持っていたS124(メルセデスベンツ・AMG E36T)でコーティングをお願いしていたソフト99ASさんに「こんなのあるよー」って教えてもらって、窓もヘッドライトも純正部品がなかなか見つからないモノなので、破損を防げるならと。

Kさんの場合、この貴重な個体を走らせちゃうんですもんね

クラシックカーのイベントで見かけて「優雅に走れそう」と思ったのが300SLを手に入れたきっかけなんです。それまではポルシェ911(993RSやGT2、964、930など)で結構サーキットとかも走っていたんですが、段々年齢とともにクラシックカーの方に落ち着いてきて、少し前はフェラーリのディーノや250GTEに乗っていて、でこの300SLに。
クルマ的にもそんなに飛ばして走る訳ではないので、ボディ塗装面にはフィルムは貼っていませんが、フロントガラスとライトだけでもとても安心感があります。

LP400Sの方は塗装面にも貼っていますね

まだ慣らし運転中ですが、クルマ的にしっかりエンジンも回して走りたいので飛び石対策として貼ってもらいました。最初は飛び石対策でフロントガラスとライト、ボディはフロントバンパーと前後フェンダー、サイドシルに貼ったのですが、一旦納車後、フィルムを貼ってある面の光沢感が良いので、追加でルーフにも貼ってもらったんです。
貼った後に少し高速道路を走ったのですが、それだけでもフィルムが飛び石を受けた跡が見つかり、しっかり機能してくれてるんだなぁと感じました。

※旧車(経年したオリジナル塗装やアフターショップでの再塗装など)の場合、塗装の剥離リスクが高いためPPF施工を断るケースも多い。現車はソフト99ASがレストアで塗装し直された塗装面・品質を確認の上でPPFを施工した

  • ランボルギーニ・カウンタックLP400S
    塗装面を守るためフロント周りにはプロテクションフィルムを施工

施工ショップでソフト99ASを選ばれたのは何か理由があるんでしょうか?

担当してくれているスタッフさんですね。
30年弱持ち続けているS124があるのですが、自分でも洗車しつつ、定期的にショップさんにコーティングしてもらっていたんです。ただ、仕上がりの品質でなかなか納得できず、ショップさん経由で紹介してもらったのがソフト99ASさんで…。もう大分年月が経ったS124をきっちりキレイに仕上げてくれて、それ以来10年ぐらいお世話になっています。

照明などガレージの環境がとても良いので、屋外だと気にならないレベルでも目についてしまうのかもしれませんね。S124だけ見ても、Kさんのキレイへのこだわりが窺えます

私が最初に買った愛車で今では足グルマになっているのですが、雨に濡れるのがイヤなんで雨が降ると電車とかで移動しています笑
とにかく細かいところが気になってしまう性分で、5年掛かった本国レストアのLP400Sも、インパネとかメーター周りの仕上がりはもう少しキレイにならないかなぁって…。その微妙なアバウトさも含めて“イタリア品質”として堪能していますが、目につくのはイヤなのでフロントガラスのプロテクションの上に黒いフィルムを貼ってもらって外からインパネ仕上がりが見えないようにしてもらいました笑

凄まじいこだわりです…

実はカウンタックと同時期にミウラも購入し、同じく本国にレストアを依頼中なんです。新しいモデルは個人的にあまり興味が沸かないのですが、ランボルギーニの歴代モデルに乗りたいというマニア的な欲の方も出てきてしまって…。LP400Sと同じく5年ほど掛かっていて、来春〜夏には納車予定なので届いたらまた遊びに来てください。

  • メルセデスベンツ・AMG E36T(S124型)
    初めて購入した愛車というS124。25年以上乗り続けている

モデル自体もとても貴重な上、状態が極めて良好なKさんの愛車は、国内はもとより世界的に見ても稀有な個体。車両・レストア費用は、一般的にコーティングと比べて高価とも捉えられるPPF施工価格が霞むレベルです。
一方で、そんなクルマの域を超えた資産価値を有する2台を、惜しげもなく走らせるKさん。今の愛車も、走るために持っていたクルマを手放す際、等価交換を重ねた結果に辿り着いたもので、レストアに関しても「モデルの状態や相場などを踏まえ、お金と手間を掛けるべきかの見極めは必要」とシビアな見方を示すなど、単に資産にものを言わせる“資産家のコレクター”感とは異なる愛車との真摯な向き合い方も感じられます。
愛車との何気ないドライブを楽しむ、愛車のキレイにとことんこだわる。お気に入りのカーケア品で自分で洗車もすれば、街のアフターショップに作業依頼もする…。資産価値レベルで見れば庶民とは程遠いKさんのカーライフですが、そのクラシックカーを堪能するKさんの姿からは、今や徐々に薄れつつある“古典的なマイカーの楽しみ方”が垣間見えたような気がしました。

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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