ソフト99オートサービスが都内初テスラ認定ボディショップに…進む“カーオーナーファースト”シフト

ソフト99オートサービス(甲斐康之社長、大阪府大阪市)の東京支店(江東区東雲)は2月1日、テスラが定めるボディショップの認定を取得し、「テスラ認定ボディショップ」に加わりました。認定ショップは現在、全国に約40店舗が登録されていて、都内では同社が初めて。自社公式サイトとは別にテスラ認定ショップ専用サイトも開設し、認定取得から早々にテスラオーナーからの修理依頼・問い合わせが舞い込んでいるそうです。
アルミ素材やBEVに対応したテスラ認定ショップ
テスラ認定ボディショップは、テスラ車の機能性・安全性を正しく復元できる工場としてメーカーに認められたショップ。テスラの車体修理に関し、メーカーが規定する設備機器・技術を有し、テスラ指定の材料(塗料や部品)や修理マニュアルにもアクセスできます。
具体的には、軽量化に資するアルミニウム素材の外板パネルを修理するための鈑金・溶接、衝突被害軽減ブレーキやフルセルフドライビング(FSD)などの独自のADAS(先進運転支援システム)を支える高精度カメラの補正・調整(エーミングなど)、車両診断をはじめとした各種ソフトウェアへのアクセス・校正、大型・高電圧バッテリーの適切な取り扱い対応など、これらはあくまで一端ですが、高度な機能が集約・搭載されたテスラ車に対応した修理を実施します。
ただ、同社では従来からポルシェやボルボ、BMW、ミニ、メルセデスベンツといった各輸入メーカーにおける同様のボディショップ認定に対応してきました。そのため、アルミ素材や水性塗料に関する一定の修理ノウハウは整えており、今回のテスラの認定取得にあたっては、アルミ溶接機やバッテリー脱着用スペースが確保できる整備リフトなど、鈑金塗装事業としては小規模な設備拡張に抑えられたそうです。
またテスラジャパンでも、「モデルによっては外装パネルのアルミ素材はドア部分のみなど一部で、特殊構造のイメージをもたらしているギガキャスト(アルミの一体成型技術)も日本仕様での採用モデル・部位は限定的。そもそもフレームを大きく損傷している場合は全損扱いとして修理対象にしない・ならないケースも多い」そうで、テスラ車の修理に求める技術・設備が、鈑金塗装として過度に特殊ではないともいいます。
技術よりも接客? テスラが望む修理時に接遇品質
テスラジャパンによると、正確な数字こそないものの販売台数に対する修理件数割合は、他メーカー車両に比べると比較的高いと見ていて、実際に任意保険の料率クラスも高い水準。それに対し、現在日本国内のテスラ認定ボディショップ軒数は限定的で、一部海外市場では設置されている「テスラボディリペアセンター」も不在のため、修理を何カ月も待っているカーオーナーやバックオーダーも少なくないそう。つまり、テスラオーナーの利便性の観点から、テスラジャパンとしては国内の認定修理ショップを早く増やしていきたいのが現状です。
その中で、今回のソフト99オートサービスが都内1号店となったように、認定店の拡大には慎重な姿勢も…。その一因には、「一般カーオーナーへの対応品質」という1つの認定基準がネックになっているといいます。
一般的に自動車修理の場合、カーオーナーが直接持ち込む、ディーラー(販売店)が窓口となる(自社内か外部委託で修理)、損保会社の指定工場に入庫するの3パターンに大別されます。ただ、ディーラー(販売店)がないテスラ車では、カーオーナー自身が選ぶ・損保の誘導のどちらの場合でも、修理工場が直接カーオーナーの対応をします。その際のカーオーナーの利益・満足度を損なわない目的からも、「いかに修理技術・設備が整っていようと、一般カーオーナー対応の一定の実績が確認できないと認定しない」というのがテスラ認定ボディショップの基準の1つに設けられています。
一方で、国内の修理工場の多くが、ディーラーか損保会社を経由して修理を受け付けているのが実情。テスラでも認定ショップを急増しない背景には、接客を含めた“カーオーナー対応”を得意とする工場が少ないという判断があるのです。
実はカーオーナー目線で見ると、テスラ認定ボディショップのような「直接車両を持ち込める修理工場」は、一定の恩恵を得られる可能性もあります。
テスラはディーラーがないため損保経由との比較で見ると、保険適用して修理する際、「適正なコストをかけて修理をしたいカーオーナー」と「支払い保険料を抑えたい保険会社」は利益相反する立場に…。そして、損保から指定を受けた修理工場側も、取引・金銭の流れ上、顧客はカーオーナーではなく修理車を入庫誘導(斡旋)してくれる損保会社になるため、愛車を預ける修理工場がカーオーナー側ではなく損保会社側に立ってしまう構造上の特性を含んでいるのです。
一方で、直接カーオーナーからの入庫を受け付けている、またそれをメインとしている修理工場の場合、損保会社側に立つ必要性は低くなり、逆に顧客であるカーオーナーの利益最大化を図ってくれる可能性があります。例えば単なる損傷の復元だけでなく、目に見えにくい機能の保全、修理後を見据えた修理内容の算出、保険の契約内容に基づいた請求、ロードサービスや代車など修理以外のケア、必要に応じた損保会社との交渉など、いずれの工程でもカーオーナー側に立ってくれた対応が期待できるのです。
これはあくまで取引構造の話で、一概に損保指定工場がカーオーナーの利益を損ねるというわけでは決してありません。ただ、鈑金塗装事業の多くが損保からの入庫誘導やディーラーからの外部委託を収益柱として成り立っている業界。ソフト99オートサービスでも、「鈑金塗装を主事業としてきた弊社も、BtoB(企業間取引)・下請けの比率が高く、どうしても一般顧客対応への苦手意識がある。テスラの認定取得は、まさにこのカーオーナーからの直接の依頼=直需を取っていこうという取り組みの一環でもある」(開発部・濱根一平部長)と今回の認定取得の経緯を振り返ります。

ディテイリングサービスでtoC強化を加速
認定取得した修理サービスとは直接関係はないものの、ソフト99オートサービスではテスラ各モデルを対象としたディテイリングサービスの施工提案も推し進めています。
専用サイトでは、ボディコーティングからペイントプロテクションフィルム(PPF)やカラーPPF、高遮熱カーフィルムまで、多彩な施工メニューの価格をモデル3/Y/S/Xの各モデルごとに掲載。中でも、同社オリジナルブランドの「クライマックス・IDEAL(イデアル)」を使用したPPF施工は、相場比で割安な価格設定もあってか、カーオーナーから多くの問い合わせ・施工依頼を受けているそうです。

ディーラー・ディーラーオプションがないテスラ各モデルは、ボディカラーや内装仕様などが限定的なこともあり、各種ディテイリングサービスはカーオーナーの嗜好性を満たすサービスとして需要を高めているところ。その上で「プロテクションフィルムやラッピングといったディテイリングサービスでも、最近ではカーオーナーがラッピングを希望しても貼る場所や予算感、保管環境などによってはカラーPPFの方がオススメといった場合もある。これは一例だが、スタッフが貼りやすい、扱い慣れているフィルムといった企業側の都合ではなく、鈑金塗装事業と同様にカーオーナーの利益・満足をもっと追求していきたい」と語る、フィルム関連事業を発足から牽引してきた濱根部長。修理・施工ともに現場スタッフも含め、toC(消費者向けビジネス)へのシフトを目下進めているそうです。