【IAAE2023】覆りつつある?業界通説7つ…フィルム編

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3月7〜9日に東京ビッグサイトで開催された「第20回国際オートアフターマーケットEXPO2023(IAAE2023、主催:IAAE実行委員会)」のレポート記事第2弾。ディテイリング関連の製品・サービスも多数出展され、多彩なプロ用資機材が集まった中で垣間見えた「業界内では当たり前だけど、まだまだ一般的ではない」ものから「業界通説をも覆す」ような新製品まで、一部をかい摘んでお届けします。第2弾はカーフィルムやPPFなどフィルムに関して。

▲Vol.1内外装ケア編

フロント3面にフィルムは…施工できる! 

第1弾の記事で取り上げた内装ケア同様、「一部専門業界内では定番で歴史は長いけれど、一般的には普及していない」ものの1つがフロント3面へのカーフィルム施工。
カーフィルム施工事業者らで構成する「日本自動車用フィルム施工協会(JCAA)」は、1月に国土交通省から発されたフィルム装着車の車検に関する通達をベースに、「合法的なカーフィルム施工」を自動車関連事業者に広くアピールしました。フィルム専門事業者を除くと、実は自動車関連業界内でも可視光線透過率測定については共通理解が行き届いているとは言い難いのが実情。そうした中で、ブース展示に加えてプレゼンテーションなども実施したJCAAをはじめ、発色系フィルムの「ゴースト」シリーズが高い人気を博しているフィルムメーカー「ブレインテック」や、そのゴーストシリーズの施工・販売を手掛けるソフト99オートサービスのブースでも、同様に合法的なフロント3面へのフィルム施工や可視光線透過率測定に関する情報を発信。前述の通達で参考例示されていた可視光線透過率測定器「PT-500」の実物も展示され、測定デモが行われたソフト99オートサービスのブースには多くの自動車関連のプロが詰め寄せていました。

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    独自の見解資料をもとにフロント3面へのフィルム施工の啓蒙を図ったJCAAブース。プレゼンも実施
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色変えは塗装ではなくラッピング? PPF?

塗装とは異なり手軽にカラーチェンジを楽しめる施工サービスとして、ここ10年程で国内でも普及してきたカーラッピング。実績豊富な専門ショップでは多数の施工を手掛ける一方で、自動車業界全体で見ると、先行する諸外国に比べるとまだまだ普及は限定的ともいわれています。3Mのラッピングフィルムの施工・販売・技術講習を展開する「ワイエムジーワン(LAPPS)」ブースでは、展示した車両への施工デモを実施。ブースを取り囲むようにできた人垣が、多くの自動車関連事業者にとってもカーラッピングがまだ物珍しい存在であることを物語っていました。

そして近年、ラッピングに加えてカラー・デザインチェンジの手法として台頭してきているのがペイントプロテクションフィルム(PPF)です。デザインPPFの筆頭格「STEK(エステック)」は登場したばかりのニューデザイン・カラーを実車を通じて展示。フィルム材料が高価なため施工価格も高額ですが、塩化ビニル素材のラッピングに比べて耐衝撃性能・保護力に優れているのが特徴で、カーボン柄などを中心に高級車市場で徐々に存在感を強めています。

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    ラッピングの施工実演で多くの来場者を集めていたワイエムジーワンのブース

PPFはまだまだ高い?

前述のデザインPPFも標準的なクリアPPFも、ここ数年着実に広がってきているPPF。一方で、実際はまだまだ施工価格が高額で施工対象の多くはスーパーカーなどの高級車市場。一般的なカーオーナーにとっては身近とはいいづらいのが実情でしょう。そうした中、製品自体もどんどん増えてきて今後は新たな競争環境も生まれ、ひいては施工価格も身近になる可能性も…。
ソフト99オートサービスは、自社「CLIMAX(クライマックス)」ブランドから新たに「Ideal(イデアル)」という新製品を発売。クリア/マットのオーソドックスなPPFながら施工性と価格競争力を強みとしており、加えて新規に取り扱いを開始する海外ブランド「NKODA(ナコダ)」のカラーPPFとあわせ、PPF市場の一層の開拓を図る姿勢です。

また、高級洗車用品が国内で高い人気を博す「KAMIKAZE COLLECTION(カミカゼ・コレクション)」も新発売のPPFを展示。海外の高価格帯プロディテイリング市場でも支持を得る同ブランドらしく、施工後の美観や撥水性、自己修復機能など品質にこだわった逸品。加えて既存製品を意識した価格競争性も有しており、今後の展開が楽しみなアイテムです。
PPF市場で後発ゆえに価格競争力を持った製品が台頭してきており、こうした製品群が今後、カーオーナーの施工価格という点にどのように恩恵をもたらしてくれるかは期待したいところです。

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    幅広いPPFブランドを取り扱うソフト99オートサービスのブース。写真はV-KOOLのPPFを施工した展示車両

クルマ関連サービス=男社会?

最後はちょっと異なる視点からの「業界の通説が変わる?」を1つ。
販売にしても整備・修理にしてもディテイリングにしても、いまだに昭和らしさが色濃く残る自動車アフターサービス。その一方で他の業界と同じく女性進出が進んでいる場面も。
ソフト99オートサービスのブースで行われたゴーストフィルムの施工デモでは、神奈川県の施工ショップ「ファースト」の若手女性施工者の紺谷彩乃氏が実演。同業プロも含めた多くの自動車関連事業者の視線が注がれる特殊な環境下にありながら、湾曲するガラス面にフィルムの形状を整える熱成形からフィルムカット、貼り込み作業まで繊細かつ熟練の技術を見事に披露しました。奇しくも昨年、PPFの施工技術を競う「全日本PPF選手権(主催:日本カーラッピング協会)」で若手女性施工者が優勝し脚光を浴びたのも昨年のこのIAAE会場。こうした光景はまだまだ全国的・一般的とは言い難く、一部の特殊な事例という側面もあるかもしれませんが、ディテイリング施工の現場で若手や女性の活躍が着実に広がっていることを感じさせるワンシーンでした。

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    ソフト99オートサービスのブースで実施されたゴーストフィルムの施工実演。ファーストの紺乃氏が実演

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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