【IAAE2023】覆りつつある?業界通説7つ…内外装ケア編
オートアフター関連のビジネス情報が一堂に集う「第20回国際オートアフターマーケットEXPO2023(IAAE2023、主催:IAAE実行委員会)」が3月7〜9日、東京ビッグサイトで開催されました。ディテイリング関連の製品・サービスも多数出展され、多彩なプロ用資機材が集まった会場。その中で垣間見えた「業界内では当たり前だけど、まだまだ一般的ではない」ものから「業界通説をも覆す」ような新製品まで、その一部をかい摘んで2回にわたってお届けします。まずは内外装の美観に関してから!
撥水・光沢だけじゃない? 注目高まるコーティングの“機能性”
専門店でもディーラーやガソリンスタンドでもDIY向けカー用品でも、売り文句やユーザー側がつい注目しがちなのが「撥水」や「光沢」といったポイント。いまだに根強い一方で、それとは別のコーティングの魅力を打ち出す製品も出てきています。
整備業界向けにケミカルや工具などの販売を手掛けている世界的グループの日本法人ウルトジャパンは、新開発のコーティング剤として遮熱性能をPR。展示ブースでは、コーティングを施工することでボディ表面温度を下げる効果を温度計を用いて実演していました。加えて溶剤フリーやフッ素フリーなど身体健康や自然環境への先進的な取り組みも。製品の開発にはレーシングドライバーの青木孝行氏も参画し、コーティング施工を通じたタイヤカスの付着軽減やそれによる走行性能への好影響を追求するなど、綺麗さだけでなく機能性という視点からコーティングの魅力を訴求していました。
また、独自のプロ用ブランド「ダイワプロテック」を専門店やディーラーなどに向けて展開するダイワオートモビルズも、機能性を強みとするコーティング剤を展示。中でもレアメタルや無機ゴムなどの希少素材を配合した「ナノメタル・ラバーコーティング」は今般新たに製品リニューアル。撥水性はもとより帯電防止や熱反射、UVカットといった機能性は従来のまま、施工専門店以外の窓口でも施工できるよう施工性を改良。特にディーラーなどで施工した際の「ガラスコーティングは、雨水や水道水に含まれる無機汚れに起因するウォータースポットが生じやすい」という現場の声を受けて改良したもので、ラバーの帯電防止特性によってガラスコーティングに比べて無機汚れの付着を抑えられるとのこと。今後は専門店だけでなくディーラーオプションとしての展開も予定されているそうです。
他方、技術講習を受けた認定施工店のみが扱えるファインラボのヒールシリーズも、デモ実演を賑わせていたブースの1つ。洗車キズなど微細なダメージに対し、熱を加えることで自己修復する機能を持ち合わせたユニークなプロ用コーティング剤。プロ用コーティングの中には耐擦傷性を打ち出すコーティング剤が台頭してきていますが、その中でも「キズが消える」という自己修復機能のインパクトは強く、プロの中でもこだわりを持つ専門店を中心に高級コーティングサービスとして広まりつつあります。耐擦傷性や保護能力そのものを第一に求める場合はペイントプロテクションフィルム(PPF)に譲る部分がありますが、コーティングにおいても光沢や撥水性能だけでなく、防汚性や耐擦傷性や対薬品性など、サービス選択基準の1つとして機能性も広がっていることが窺えたコーティング関連ブースでした。
劣化じゃなくて汚れ? 白化した樹脂の復元術
DIY向けカー用品でも専門店サービスでも、コーティングと同じぐらい根強く人気なのが「未塗装樹脂の復元」。経年とともに白くくすんできてしまった黒い樹脂の姿をなんとかしたいと思うカーオーナーは少なくなく、ケミカルを中心とした復元アイテムやヒートガンを使用した復元手法が数多く流通しています。
その中で、ドライアイスの熱収縮、体積膨張作用を生かした洗浄「ドライアイスブラスト」をプロ事業者に提供するグリーンテックジャパンのブースでは、同技術を活用した黒樹脂復活術を披露していました。担当者によると、「未塗装樹脂パーツの白化は、確かに経年に伴う素材自体の劣化もある一方で、近年のパーツでは汚れの蓄積が原因の場合も少なくない。その場合は蓄積した汚れを剥離することで黒く復元することができる」とのこと。特に未塗装樹脂パーツの表面凹凸に蓄積した汚れはケミカルやクロスで除去するのは難しい一方、ドライアイスブラストでは短時間で、かつケミカルによる艶出しの不自然さを抑えて樹脂本来の黒さを復元できるそうです。
元々大型工場内の洗浄機械として使われ、機械の小型化とともに近年、自動車アフターショップでも広がり始めた同社の洗浄機「 DRY-ICE POWER(ドライアイスパワー)」。黒樹脂復活がメインではなく、足回りやエンジンルーム洗浄をメイン用途として、整備・鈑金ショップなどを中心に徐々に取り扱いショップが全国に広がってきています。
部品交換ではなく直せる? 内装ケア
真新しい商材・サービスではありませんが、業界内でも施工事業者が十分に普及しておらず、それでいてカーオーナーからのニーズがじわりと増えているのが内装リペア。いまだにディーラーなどで補修できないと言われて部品交換や新車への乗り換えを推奨されるケースも少なくない一方で、旧車人気の高まりや保有年数の伸長を一因に、高品質にしっかり補修できるサービスがじわりと拡大中です。
自動車用に限らず様々な生地を販売する浅草マテリアルは、施工ショップ「アネラ(横浜市)」「ワイツーサービス(江戸川区)」と合同で「天井張り替えサービス」を展示。高年式のクルマでも、特に欧州車を中心に保管環境などによっては数年で垂れてきてしまうことがあるというルーフライニング。生地屋と施工ショップが共同開発したオリジナル生地による張替サービスは、プロへの技術講習はもとより実際のカーオーナーや中古車販売店などからの施工依頼としても増えてきているそうです。
また、ドイツのレザーケアブランド「カラーロック」のブースでは、高級車からクラシックカーまで幅広く使用されているレザーの本格的な補修のデモを実演。シートの色落ちやヒビ割れといった経年劣化から破れ傷など大きなダメージまで対応でき、元の風合いを残したまま補修できる高い質感も魅力。特にクラシックカーや低年式車などオリジナルの質感を維持したいカーオーナーなど「復元を諦めていた人」からの注目は年々高まっており、クラシックカー関連のイベント会場でもブースに賑わいを作っています。
加えて“補修”だけでなく“防汚”という面でも広がりが見られるのが内装ケア。内装コーティング剤「インテリア・ガード」を展開するエヌイーダブリューは、防汚や耐水、耐摩耗だけでなく抗菌や抗ウイルスなどの機能性も付加した内装コーティングを提唱中。ディーラーでの新車オプションとしてボディコーティングが半ば当たり前のようになってきたように、内装コーティングも「クルマ購入時の定番サービス」となる日はそう遠くないかもしれません。