• HOME
  • 記事
  • その他
  • SNS時代の“洗車の祭典”ケミカルサミット2024…本格開催第2回目は30超のブランドが出展

SNS時代の“洗車の祭典”ケミカルサミット2024…本格開催第2回目は30超のブランドが出展

終日実施されたプロによる洗車実演・製品デモ
その他

7月13、14日の2日間、福島県郡山市のビッグパレットふくしまを会場に洗車用品の即売イベント「ディテイリング&ケミカルサミット・イン福島2024(主催:ジャパンマシンメンテナンス、オートデンソーマルヤマ/以下ケミカルサミット)」が開催されました。ケミカルサミットは、国内外のカーケア用品ブランドが一堂に集まり、一般カーオーナーに向けて洗車・ディテイリングの魅力が発信されるイベント。元々は地場を中心に小規模な展示会として実施されていましたが、2023年に現会場に舞台を移し、県内や近隣県など東北エリアをはじめ全国各地からも洗車愛好家が詰め寄せる“洗車の祭典”になっています。

出展者は国内メーカーや海外ブランドの輸入代理店をはじめ、洗車・コーティングの施工専門店、プロ向け資材サプライヤーなど多岐にわたり、今年は30以上の関連ブランドが集結。洗車関連以外にもラッピング・プロテクションフィルムなども展示されたほか、主催者・出展者による洗車のデモ実演や教室、来場者が実際にマイカーの洗車を依頼できる洗車サービスなども併催され、愛好家から子どもまで多くの来場者が洗車用品やその施工技術に熱い視線を注ぎました。

入場料無料で受付登録こそないものの、独自集計によると来場者数は4500人超(前回比約125%増)で、出展社数も2倍に増加。またいくつかの出展ブースからは「来場者の熱量が高く、即売の勢いも好調」といった言葉も聞こえるなど、洗車・ディテイリング関連のイベントとして業界内外からの注目を高めているようです。

  • ケミカルサミット2024屋外会場
    ケミカルサミット2024屋外会場
  • 終日実施されたプロによる洗車実演・製品デモ
    終日実施されたプロによる洗車実演・製品デモ

ハイセンスなカーケア用品と多様なビジネス性

ケミカルサミットの各出展ブースを覗くと、とにかく多彩でオシャレなカーケア商品がずらり。

特に20年以降のコロナ禍以降、巣ごもり需要の拡大を後押しに売上を伸ばした洗車関連用品。近年は海外ブランドの流通も増え、従来の“自動車用品”のイメージを覆す“おしゃれなケミカル”も増えてきています。加えて、こうしたオシャレ商品の拡散を後押しする画像共有系SNSやyoutubeの存在も近年の洗車を盛り立てる要因の1つ。クラウドファンディングなどを通じた新規商品のリリースも活発で、ケミカルサミット会場内には海外系を中心とした名の通ったブランドから国内新興アイテムまで色とりどりの商品が展示。美容・コスメ商品さながらのハイセンスなパッケージは、高撥水や光沢・艶感、優れた汚れ落ちなどそれぞれの性能・使い勝手もさることながら、見た目や香りでも楽しめる新たな洗車の魅力を訴求していました。

またこれら各出展ブランドは、商品だけでなくその企業ルーツが多彩な点もユニークなポイント。カーケア用品の開発製造or輸入、販売を主事業に営む専門企業もあれば、美容系事業の知見を転用して、経営者の洗車への趣味が高じて、輸入車系部品販売の名門が新規ビジネスとして、会社員の副業・起業として…などなど、事業のルーツ・形態も様々。市場の成長性・潜在性への注目の高さが窺えるとともに、自社設備を持たず外部委託で製造でき小資本でも参入しやすいなど、洗車関連ビジネスの魅力も改めて垣間見えました。

  • KAMIKAZE COLLECTIONブース
    KAMIKAZE COLLECTIONブース
  • arinomamaブース
    arinomamaブース(ADBL)
  • THE RAG COMPANYブース
    THE RAG COMPANYブース

高まるファンの熱量と純粋な主催者の想い

長い歴史の中でも、また1つ新たなムーブメントを感じる“近年の洗車”。インターネット・SNSを中心に人気高まるそんな“今のカーケア”を肌で感じられたケミカルサミットですが、イベント発起人の齊藤和起氏には、その盛り上がりを一過性や一部の愛好家のブームで終わらせたくない想いがあったそうです。

齊藤氏は、栃木県日光市でディテイリング施工のほか車検や整備・鈑金塗装、買取・販売などの各自動車事業を一手に手掛けるジャパンマシンメンテナンスという会社を経営。元々は自動車販売店に在籍して下積み時代から洗車や納車前仕上げ、中古車再生というディテイリング業の原点的作業に携わり、整備士や検査員の資格も取得しながら独立、今はディテイリングサービスも拡張して「Chemical Jamm(ケミカルジャム)」という自社オリジナルブランド用品の製造・販売もしています。

その齊藤氏がイベントを発足したのは、地元東北でディテイリングの認知を広げるため。「高級車が多くオートサロンなどのイベントもある都市圏と異なり、東北エリアには施工専門店や用品メーカーが少なく、ディテイリングという言葉もプロの施工サービスも広くは認知されていない」との悩みを抱えていたそう。その解決策の1つとして、ディテイリング事業の発足支援をしていた福島県の自動車電装事業者オートデンソーマルヤマとのイベント共催を企画。プレ開催での良好な反響を受け、23年に今の形態での開催に至りました。

この認知拡大を図る上で、齊藤氏がイベントで重点を置いたのが「ブランドの垣根をなくす」こと。実は先のインターネット・SNSを中心とした“洗車ブーム”では、固有のブランド・商品を推す声が一部加熱する側面も。クルマに限らずどの業界でも、そうした“洗練し過ぎた嗜好=先鋭化したマニア”は新規層において排他的に映る懸念も浮かびます。
その懸念を抱えながらカーケア・洗車への熱量が高まる昨今だからこそ、「洗車・ディテイリングは“こうあるべき”というものではなく、個人的にはもっと自由なものだと思う。だから多くの人に色眼鏡なくディテイリングという仕事・サービスを知ってほしいし、ブランドの垣根に捉われることなく洗車やディテイリングが盛り上がってほしい」と齊藤氏。ケミカルと冠したイベント名称についても、「イベントが興味を持つきっかけになってほしいが、関心ない人にいきなり『ディテイリング』という言葉だけでは届きづらい。マニアックな趣味としてのカー用品を意味するのではなく、例えば家の中の掃除や衣類洗濯など身近な作業にも共通するワードとして『ケミカル』を打ち出した」と明かしてくれました。

  • 発起人の齊藤氏(ジャパンマシンメンテナンス代表)
    発起人の齊藤氏(ジャパンマシンメンテナンス代表)

イベント中、子ども向け洗車教室で「普段僕たちはクルマをキレイにするという仕事をしている。みんなも興味をもって、大きくなった時に『こういう仕事をしたいな』と1mmでも思ってくれたら嬉しい」と、そうした純粋な胸の内を直接言葉にして呼びかけていた齊藤氏。会場では、様々なブランド看板の人が一緒に洗車実演をしたりブース間を行き交ったりと、同氏の想いが形になっている様子も見受けられました。企業横断的に、また長期的に洗車・ディテイリングの隆盛を願う齊藤氏は今後、この福島でのケミカルサミットをより大きくするとともに、九州や中部など大型イベントがないエリアでの開催も検討していくそうです。

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

プロフィール

関連記事一覧