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【ノスタルジック2デイズ】旧車の保護に最新フィルム技術! P-Shieldなど

ノスタルジック2デイズ2023
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ディテイリングというと、国内ではコーティングを筆頭に新車時のサービスというイメージが強くあります。一方で近年、国内のみならず世界中で人気が高まっているのがヤングタイマーも含めた旧車。そして美観保護の技術は、純正部品の供給がなくなってしまったこうした旧車に対しても大きな価値をもたらしつつあります。
2月18、19日に開催されたクラシックカーの祭典「第14回ノスタルジック2デイズ2023(主催:ノスタルジックヒーロー、会場:パシフィコ横浜)」から、そんな美観保護サービスを美しいクラシックカーの写真とともにご紹介します。

素材も採用場面も進化するプロテクションフィルム 

鈑金塗装からカスタム、カーラッピング・PPFまでを手掛けるエスアンドカンパニー(鹿田能規代表、大阪府守口市)が展示していたのは、自社で製造・販売するウインドウプロテクションフィルム(WPF)「P-Shield(Pシールド)」。2020年の発売以降、モータースポーツ車両や高級車を中心に徐々に広がり、ここにきて埼玉県警の車両にも採用されるなど一層普及を加速させています。
Pシールドはフロントウインドウの飛び石などによる損傷を抑制できるアイテム。国内大手メーカーの素材技術とフィルム施工の実績を持つエスアンドカンパニーが開発し、既存の海外製品と比べて耐衝撃性能や屋外耐候性、撥水性に優れた製品として、これまで海外を含め1万2000台以上に施工されてきたそうです。

飛び石は運転技術などで避けられるものではない一方、ガラス交換が必要な場合は修理費用が高額で車両保険を適用すると等級ダウン、かといって放置は危険な上に車検にも通ならくなっていまいます。そのため飛び石被害にあうリスクが高いスポーツ走行や高速走行が多いオーナーならメリット大なアイテム。ただ、現状でネックなのが施工性の難しさと耐久性に伴うコストパフォーマンスです。
施工には、フィルム原価に加えてガラスの湾曲に合わせて貼り付ける専門技術を要するため、ショップや車両によって異なるものの現状の相場費用は〜10万円程。そして実質的な耐久性が1年程度(毎日の走行距離が50km程で屋外保管の場合、約1年で表面コート層のダメージが表出する)のため、ガラス交換費用が高額でない車両ではコスパが悪くなってしまいます。

それでも担当者によると、「特に部品供給を終えてしまっている旧車では、事前に飛び石リスクを軽減できることが大きな価値になる。また『年間3回程度発生していた飛び石損傷がゼロに抑えられた』とテスト評価を得て導入された警察車両のように一部の商用車両もコスパは高い。個人オーナーの車両では仕上がりのキレイさを追求されるため施工費も高くなってしまうが、保護用アイテムとしてある程度の仕上がりと割り切る施工ができれば、今以上に施工費を抑えられる可能性もある」(担当者)として、今後のさらなる普及に期待を寄せます。
加えて現在、赤外線(IR)カット性能を付加した車内温度上昇の軽減も図れる「PシールドIR」や、施工時に熱成形が不要の「PシールドNH(ノンヒート)」も発売を予定しているとのこと。こうした製品進化とともに施工者も増加することで施工価格が一層こなれてくると、WPFがカーオーナーにとってより身近なアイテムになるかもしれません。

  • ノスタルジック2デイズ2023
    エスアンドカンパニーのブース。フロントガラス用保護フィルム「Pシールド」

また、こうした供給がストップした純正部品をフィルムで事前保護する活用はフロントウインドウ以外でも。

クラシックカーから現行モデルまで輸入車の販売を手掛けるオートダイレクト(東京都港区)も、純正部品が手に入らないパーツの保護にプロテクションフィルムを活用。同社のサービスとしてペイントプロテクションフィルム(PPF)の主要ブランド「XPEL(エクスペル)」を取り扱っており、特に旧車では、片方だけ破損した場合に補修部品では左右で見た目に差異が出てしまうこと、また塗装面へ貼り付けた時のような剥離リスクが少ないことなども理由に、ヘッドライトへの施工の問い合わせや依頼が徐々に増えているそうです。

  • ジャックポットのブース(ノスタルジック2デイズ2023)
    希少なクラシックカーやスーパーカーなど輸入車の販売を手掛けるオートダイレクトのブース
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本格的な内装レストアや身近な洗車アイテムも

オリジナルパーツの保護と同時に、旧車で欠かせないのがレストア(復元)文化。ウェーバーキャブレターやマツダ・サバンナ(SA22C)のレストア・整備を得意とするジャックポット(奥原慶一代表、埼玉県白岡市)は、走行する分には不必要ながら美観の点では重要な内装用の復元アイテム「KIZAMI (キザミ)クロス」を展示していました。
SA22Cの純正チェック柄ファブリックシートを再現した生地で、高精度なプリントのデザイン性もさることながら、耐久性や防汚性にも優れた防炎生地という機能性も魅力な逸品。状態の良い個体・パーツが残っておらず、純正部品供給もない中、「外装や機関、駆動系をレストアしていても内装がヤれている個体は多く、従来は社外シートに変更せざるを得なかった」と奥原代表は開発背景を語り、キザミクロスに張り替えることで純正デザインの“当時の雰囲気”をキレイかつ機能的に再現することができます。

ただ残念なのが、この生地を使って張替できる張替職人が国内では少なくなってしまっている点です。「キザミクロスの販売以降、国内よりもオーストラリアやイギリスなど海外からの問い合わせや受注の方が多い。海外だと街中の整備やレストア専門店が内装張替を手掛けるなどレストア自体が根付いているが、国内だと…」と現在のレストア環境を吐露する奥原代表。それでも、要望が多かったホンダ・ビート(E-PP1)用の生地も追加製作するなど、一部の車種では内装レストアへの根強い需要があるようで、安定的に継続して張替を依頼できるショップが国内でも見つかることをただただ願いたいところです。

  • ジャックポットのブース(ノスタルジック2デイズ2023)
    ジャックポットのブースのマツダ・サバンナRX-7(SA22C)

より身近な用品である洗浄用の各種ケミカルが展示されたブースも。同イベント常連の1社である横浜油脂工業は、「Linda(リンダ)」ブランドで製造・販売する洗浄用ケミカルがディテイリングショップや整備、鈑金塗装事業者など多くのプロに使用されており、そのプロ用製品を一般ユーザー向けに調整した用品も販売中。匠洗科というオンラインショップを展開しています。
ブースでは即売も実施し、例年ヘッドライトや未塗装樹脂の復元剤などが人気商品とのこと。ヘッドライトコーティング剤「HD-1UV」は研磨剤ではなくケミカルの作用で黄ばみ・白濁を除去できたり、未塗装樹脂コーティング剤「モールバリアUV」はガラスコーティングの技術を流用して染色ではなくガラス質被膜で白濁を黒く復元したりと、プロ用製品由来の品質が売りの1つ。手軽にとっつきやすいアイテムなので、カーオーナーは一度試してみてはいかがでしょうか。

  • 横浜油脂のブース(ノスタルジック2デイズ2023)
    同イベントお馴染みの横浜油脂のブース。多彩で身近なカーケア用品を展示
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CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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