より綺麗でより多彩!PPF市場に新たな風…米フレックスシールド

FlexiSheld(フレックスシールド)のペイントプロテクションフィルム(PPF)
PPF・ラッピング

素材技術の進化が目まぐるしく、高級車市場を中心に広がりを見せるペイントプロテクションフィルム(PPF)。サービスの普及とともに深化しているのが、「よりキレイに仕上げたい」「保護だけでなくデザイン性も楽しみたい」といった一歩先のニーズ。それを叶えるアイテムとして米「Flexi Shield(フレックスシールド、国内総代理店:フレックスシールドジャパン、井上徳広代表、神奈川県愛甲郡)」への注目が高まっています。

ボディからライト、窓、カラーPPFまで幅広いラインナップ

ペイントプロテクションフィルムと一言にいっても、貼り付けるパーツ(素材)に応じて使用できる製品は異なります。外装の幅広いパーツそれぞれの専用品を取り揃えたラインナップは、フレックスシールドの1つの特徴でしょう。

メインの製品は、ボディ塗装面用のオーソドックスなクリアタイプ(標準と厚めの2タイプ)とマット(艶消し)タイプ。加えてヘッドライト専用品(ライトスモーク/スモークの2種)やフロントウインドウプロテクションまで一通りのラインナップが揃っています。

  • FlexiSheld(フレックスシールド)のペイントプロテクションフィルム(PPF)
    アメリカの自社工場で開発、製造されている多彩なプロテクションフィルム

そしてフレックスが現在、世界的に注目を高めているきっかけとなったのが2021年に登場した「Cosmetic PPF(コスメティックPPF)」です。カラーPPF自体は他社からも先行して販売されていたものの、50色以上というカラーの豊富さと、ラッピングのようなドライ施工という点で業界的にも稀有な製品。飛び石や擦り傷といった外的衝撃からの保護とカラーチェンジを一度に素早く実現できる、PPFとラッピングの特性を兼ね備えたアイテムとなっています。

カラーバリエーションは、アメリカのブランドらしく派手なカラーも多く、車体フル施工は国内では少し気が引けるようなフレーク調なども。ただ、定番人気デザインのグロスカーボンやグロスブラックなどもラインナップされており、保護機能を発揮する厚みあるフィルムは光沢感という見た目の面でもアドバンテージとなっています。
また、ドライ施工という点は施工者だけでなくユーザーにとっても実は恩恵のある要素。通常のPPF(施工液や水を使用するウェット施工)に比べて乾燥時間が不要なため、同程度の熟練者が施工した場合、ウェット施工よりも短期間に仕上がります。施工価格も、ショップにより異なりますが、ラッピングよりは高くなるもののウェット施工タイプのカラーPPFに比べると抑えられる可能性があるでしょう。

  • FlexiSheld(フレックスシールド)のカラーPPF
    業界でも珍しいドライ貼りタイプのカラーPPF「コスメティックPPF」

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フレックスシールドはアメリカのアリゾナ州に拠点を構える新興PPFメーカー。開発から製造、販売まで自社工場で一貫しており、市場ニーズに即した品質、施工者の声を反映したスピード感ある開発を実現。PPF市場で先駆け的存在となったドライ貼りカラーPPFは、まさにそんな同社を象徴するアイテムの1つです。

真骨頂は施工者が追求した「施工後の綺麗さ」

フレックスの魅力は、充実した製品ラインナップや”飛び道具”的なコスメティックPPFだけではありません。むしろ標準的なクリアタイプのPPFこそ、フレックスの真骨頂を象徴するアイテムといえるでしょう。

同社の標準タイプのクリアPPF「WSH Pro(プロ)」は、150μmの厚みでトップコートに自己修復機能や防汚性、UVカット性能などを有しており、現在流通するPPF製品の中でも標準的な特性。一見すると(場合によってはよく目を凝らしても)、同等の厚みの透明フィルムのためメーカー・製品ごとの差異はなかなか分かりづらいもの。ですが、フィルム層から接着層まで目に見えづらい”綺麗に仕上がるための工夫”が詰まった逸品なのです。

  • FlexiSheld(フレックスシールド)のペイントプロテクションフィルム(PPF)
    フレックス製品の真骨頂ともいえる、PPFで最も需要あるクリアタイプの高い品質

そもそもPPFにおいて、施工後に見た目に違和感を覚える、場合によっては汚く見えてしまう要因は大まかには以下のポイントです。
1:PPF自体の表面の質感(製品)
2:貼り付け面へのゴミの混入(施工時)
3:糊ズレ(施工時)
4:フィルム縁への汚れの蓄積(施工後)

2番目のゴミの混入こそ施工環境や技術に左右される要素ですが、それ以外は施工技術のみならずフィルム自体の品質も大きく影響します。
中でも、施工しないカーオーナーでも分かりやすいのが1番目の質感。一見同じ透明に見えるPPFでも表面に肌目が存在しており、実は製品や見る人によっては「無視できない」という場合も。フレックスのWSHプロは、その肌目が目立ちにくく、PPFの中でもクリアな見た目(普段PPFに触れない筆者でも差を視認できるレベル)を誇っているのです。

他方、3、4番目は施工と密接に関連した部分。
糊ズレは、貼り付け位置をフィルムを引っ張ったりしながら微調整する際に生じてしまう接着層の捻じれの跡で、施工後も線や円状にうっすら見える形で残ってしまいます。また、縁の汚れも基本的には避けられない症状ですが、PPFの端をパーツ裏面まで巻き込んで施工することで目立たなくさせることが可能です。
PPFの接着剤が強力だと、巻き込みは容易になりますが糊ズレが起こりやすくなってしまい、逆に糊ズレが起きづらい弱めの接着剤の場合、巻き込んでも剥がれるリスクが高くなり巻き込めない場合もあります。WSHプロは、糊ヅレを起こさず、かつ巻き込んでも剥がれリスクが抑えられるよう、フィルムの伸縮性や接着剤の強度を絶妙に調整。製品設計に適した施工をすることで、PPFの中でもキレイな仕上がりを実現してくれるのです。

この仕上がりのクオリティの高さは、施工者のこだわりを反映したもの。元々フレックスシールドジャパンの井上代表は、販売ではなく施工者としてPPF施工専門店「P-factory」を運営。そこで国内外様々なPPFを試す中、「昔から肌目などどうしても気になる部分があり、よりキレイに仕上げられる材料を探していた」という。そしてその末に辿りついたのがフレックスシールド。井上代表の「キレイな仕上がりへのこだわり」は本国の製品開発にも届いており、WSHプロの接着層などに関しては同氏の要望も反映されているそうです。
実際、2022年3月に国内で初めて開催された施工技能を競う大会「第1回全日本PPF選手権(日本カーラッピング協会主催)」ではPファクトリーの井上睦基氏が見事優勝。フレックスシールドそのものというよりも、それに辿り着いた同社がこだわる高い施工品質の一旦が垣間見えます。

  • FlexiSheld(フレックスシールド)のペイントプロテクションフィルム(PPF)
    PPF専門店として豊富な施工実績を持つPファクトリー井上代表がフレックスを発掘

そもそもPPFは、「ボディ塗装面を保護する」ことを目的としたアイテム。徹底的に細部洗浄、磨きといった下地処理を行い、艶や光沢、防汚性(一定の耐擦傷性を持つ場合もあるものの)を描き出すワックスやコーティングとは製品設計が異なる部分があります。前述の糊ヅレや巻き込みも、熟練の施工者でも全ての施工箇所を巻き込んで処理できるわけではなく、糊ズレを防ぐのも難しい作業であること(プロでも失敗して貼り直すケースも)ことなど、素材特性上限界があることはユーザー側も押さえておきたいポイント。
それでも、「都心や高級車など一定程度PPFが普及した市場では、次のステップとして『よりキレイな仕上がり』を求める声も大きくなってきている。それに応えるアイテムとしてフレックスシールドが選ばれるということが徐々に出てきている」(井上代表)と製品への自信を示します。

これからの広がりに期待 国内施工店

他社製品にはない魅力をもつフレックスシールドですが、現時点ではカーオーナーが施工する上で少しネックとなるポイントも。

その1つが、PPF市場でも後発ゆえに国内での取扱施工店がまだまだ少ないことです。
施工難易度が高く、PPFの施工者自体がまだまだ少ないといわれている国内。加えて前述したように、フレックスのPPFに適した施工技術でなければその真価を発揮しづらい側面があります。
その一方で、すでに施工技術を有する施工者においても、単純な伸縮具合や粘着性といった貼りやすさへの慣れはもちろん、貼り方に連動する経時後の剥がれリスクなど中長期の品質も理解する必要があるため、新しいPPFが出てもすぐに変えづらい事情があるのです。

またフレックスシールドは、本国アメリカでも素材系メーカーや大手企業といった大資本バックボーンがあるわけではなく、いわゆるベンチャー企業の類。もちろん、自社での製品テストを通じて品質の検証も行われているものの、企業規模や製品シェアは大きくないため、”ブランドの安心感”を求める人を含めた万人向けというよりは、PPFの中でも他にないクオリティやユニーク性を追求したい玄人向けの製品ブランドといえるかもしれません。

  • FlexiSheld(フレックスシールド)のペイントプロテクションフィルム(PPF)
    神奈川県の本社に新設されたトレーニング施設。今後、プロ向けの技術講習が本格始動する予定

その中でフレックスシールドジャパンは、今年から国内でのプロ向け販売・技術指導を本格的に展開していく予定です。特に技術講習の面では、キレイな仕上がりを実現するウェット施工から他社にないドライ貼りカラーPPFまでマンツーマンの講習体制を構築しており、独自の認定施工店制度とともに「日本一を輩出した専門店のノウハウ」が指南されるとのこと。順次、公式ホームページ上で取扱・認定施工店を紹介する準備も進められています。
足元ではPPFが広がる中、「他社にないPPF」として取り扱うショップも徐々に増え始めており、カーオーナーとしてはまずは近所に取扱店や認定施工店ができることを期待したいところ。どうしても施工したい場合は、PPF施工ショップに相談してみるのもアリかもしれません。

▶︎フレックスシールドジャパン公式ホームページ

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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