“新たなラッピング”フィルムに業界トッププロが注目…NKODAカラーPPF技術交流会

PPF・ラッピング

中国に拠点を構えるフィルムメーカーNKODAの日本総代理店NKD JAPAN(エヌケーディージャパン/東京都中央区、山﨑佳明代表)は7月25、26日、プロ施工者を対象としたカラーPPF(ペイントプロテクションフィルム)の技術交流会を開催しました。両日ともに20人以上のプロ施工者が集まり、特に2日目の26日はカーラッピングのプロが集結。業界でも有数のショップ・施工者が、世界でも先端のフィルム素材に高い関心を寄せました。

▲NKD JAPANがブース出展したIAAE2024

中国の強力資本が生み出す廉価・高品質 

NKODAカラーPPFは、独自技術で着色した塗装済みポリウレタンを基材とするプロテクションフィルム。カラーラインナップはグロス・マット合わせて50色超におよび、現在の一般的なプロテクションフィルム同様、微細傷を加熱で復元する自己修復機能も備えています。

従来、自動車のボディ用フィルムとしては、カラーチェンジ(装飾)目的には塩化ビニル(PVC)を基材としたラッピングフィルム、保護目的には熱可塑性ポリウレタン(TPU)を基材とした透明(グロス/マット)のペイントプロテクションフィルムという棲み分けでしたが、NKODAカラーPPFは装飾と保護の2つを両立する新素材となっています。
また装飾+保護の機能性だけでなく、単純な見た目(装飾)の点だけで優れたポイントも。それがフィルムの厚さがもたらす高い光沢性・艶感で、一般的なラッピングフィルムより分厚いフィルムは特にグロスカラーでは文字通り“塗装さながら”の高い質感を演出します。

  • NKD JAPANカラーPPF技術交流会
    艶感に秀でるカラーPPF(施工後)

そしてこれらフィルムの品質に加え、今NKODAカラーPPFが注目を集める理由の1つがフィルムの価格です。
カラーPPF自体は数年前から他社メーカーなどからリリースされていましたが、普及を拒む要因の1つとなっていたのが価格の高さ。メーカー・製品にもよるものの、ラッピング(PVC)、透明PPF(TPU)、カラーPPFの順に高価で、施工サービスの価格も概ねその材料価格に準じた相場。車両サイズなどにもよるものの、カラーPPFで1台フル施工すると200万円近くなってしまうことも珍しくありません。
一方NKODAカラーPPFは、ラッピングに比べると1.5〜2倍(m単価)の開きはあるものの、透明PPFと比べるとほぼ同等レベルの市場価格。また施工時にバンパーなど大きなパーツを脱着することも多いラッピングに比べると、カラーPPFは主要パーツの脱着が不要で作業工程数を抑えられるため、ショップ・車種によってはラッピングと比べた際、材料費よりも小さい価格差で施工サービスが提供されることも期待されます。

NKODAカラーPPFのこの高い品質・価格競争力は、中国本国の大規模な生産設備群に支えられています。拠点の上海市や生産拠点を構える江蘇省南通市では、莫大な設備投資を通じて複数の研究所・開発拠点や29万5000㎡(東京ドーム約6個分)もの製造設備を設立。PPF用のTPUやウインドウフィルム用のPETなど幅広いフィルム基材を自社開発・自社製造し、今ではNKODA自社ブランドだけでなく世界中のフィルムメーカーに材料供給するなど、2014年設立と若い企業ながら世界有数のフィルムサプライヤーとなっています。

新素材の特性・可能性にプロが夢中になった交流時間

今回の技術交流会では、大規模な製品製造を手掛ける本国NKODAから、これまた国内とは異なる規模感の施工を手掛ける施工者が来日。20代ながら1000台以上の施工実績を持つウー氏が、施工技術を披露するとともに参加者からの質問に応えました。

  • NKD JAPANカラーPPF技術交流会
    現地で豊富な実績を持つウー氏

特に交流会2日目には、ラッピング施工のプロの世界でも、技能大会の上位常連ショップ(中には優勝経験者も)や業界内でも名高いプロショップ、プロ向け技術講習で講師を務める施工者など、実績豊富で精通したプロが参加しました。

一見同じに見えるカラーフィルムでも、ドライ貼りでポストヒーティング(フィルムの伸び縮みする性質を取り除き、剥離を防ぐ)を行うラッピングに対し、NKODAも含めたカラーPPFは施工液や水を使って貼るウェット施工が主流。そもそもの貼り方からキレイに仕上げる術、剥離などのトラブルを抑える工夫などもラッピングとは異なり、そうしたフィルム特性や施工方法が異なる中で、ウー氏が施工液の配合・使い方から一連の手順、パーツ端部の納め方まで細かくレクチャーしました。

それを受けた参加者らは、実際に現車にフィルムを貼って各々に検証。普段ラッピング施工がメインでカラーPPFの取り扱いが少ないプロからは、「通常の透明PPFよりも柔らかく感じるフィルムで扱いやすそう」「塩ビと同じように伸ばすと魅力である光沢が褪せるので、きっちりフィルム特性を理解した上で扱いたい」など自社ショップへの導入に前向きな声が挙がったほか、すでにカラーPPFを扱うプロも「中国の施工者の貼り方・道具の扱い方を見させてもらい、自分たちのやり方と抜本的に違うというのはなかったが、細かな部分では自分の施工に取り入れらそうな新たな発見もあった」と、普段触れることの少ない海外の施工技術との交流が有益な機会となったようです。

  • NKD JAPANカラーPPF技術交流会
    業界でも有名な施工者が投げかける鋭い視線

世界的にも導入期から成長期へ

ラッピングのプロが新たな商材として関心を示すカラーPPF。国内・ショップ単位だけではなく世界的にもカラーPPF普及の兆しは出てきています。

毎年アメリカ・ラスベガスで開催される世界最大規模の自動車部品・機器の展示会SEMAショーでは昨年、多くのフィルム関連企業がカラーPPFをブース展示。またNKD JAPANによると、米国テスラではカラーPPFがオプション採用されたといいます。そして国内でも、交流会参加者の中には「カーオーナーからラッピングではなくカラーPPFを指定され、すでにNKODAカラーPPFで一台フル施工をした」というショップもあるなど、国内外問わず徐々に“新たなカーラッピング”としてカラーPPFが広がってきているようです。
また、1台フル施工は金額的にもユーザーを選ぶものの、パーツ単位の施工であれば多くのカーオーナーの選択肢にも。例えばSUVのステップ(メルセデスベンツ・Gクラスなど)のような「カラーチェンジしたいけど踏んでも大丈夫な耐久性も欲しい」といったところでは、従来はラッピングと透明PPFの二重貼りも行われているので、特にそうしたパーツ施工ではカラーPPFは最有力な選択肢の1つになりえます。

技術交流会に参加したラッピングを得意とするプロからも「時代の流れで、プロとして扱えるようにならないと」といった声も聞かれたカラーPPF。海外のラッピングの施工技能を競う大会では、競技種目にラッピングフィルム(塩ビ)だけでなくカラーPPFも取り入れられ始めるなど、ラッピングのプロ施工者においてもその取り扱い技術が求められてきているようです。
なお、NKD JAPANは6月、日本国内でラッピングやPPFの普及を推進する日本カーラッピング協会の賛助会員に加盟。今後は協会員をはじめとした国内のプロ施工者に向け、カラーPPFの製品・技術に関する一層の情報発信を進めていく予定です。

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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