PPF施工車にマッチする高性能カーフィルム…ソフト99スプリングフェア

ソフト99スプリングフェア2024
カーフィルム

ソフト99グループの新製品発表を兼ねた毎年恒例の展示会「ソフト99スプリングフェア2024」が2月6〜9日、東京支社で開催されました。ディテイリング関連の製品販売やサービス施工を担うソフト99オートサービスは、独自ブランド「CLIMAX(クライマックス)」シリーズを中心に最新のプロテクションフィルムやカーフィルムを一挙に披露。高級車を中心に広がるプロテクションはより身近なアイテムに、安価なイメージが根付くカーフィルムでは高機能を売りにした高級サービスを提案し、それぞれの市場へ新たな価値を提唱しました。

  • ソフト99スプリングフェア2024
    洗車用品でお馴染みソフト99ブランド

扱いやすいプロテクション、高機能なカーフィルム

ソフト99オートサービスの展示コーナーでは、ボディにも窓にもフィルムがフル施工されたテスラ・モデルYを展示。外貼りではウインドウプロテクションフィルム(WPF)「クライマックス・SAWRE(サウレ)」と「同・NIKOLA(ニコラ)」、内貼りのカーフィルムでは「クライマックス・HERIOS(ヘリオス)」と「V-KOOL(ブイクール)・VX70」のそれぞれ2つが新商品として紹介されました。

▼展示車両(モデルY)施工フィルム
ボディ:クライマックス・イデアル(PPF・マットタイプ)
フロントウインドウ:クライマックス・サウレ(外貼りWPF)/同・ヘリオス(内貼りカーフィルム)
リアウインドウ:V-KOOL・VX70(内貼りカーフィルム)
ルーフウインドウ:クライマックス・ニコラ(外貼りWPF)
ウインドウモール:NKODA・グロスブラック(カラーPPF)

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    TPU素材で熱成形不要のWPFサウレ

フロントガラスを飛び石などのダメージから守るWPFのサウレは、TPUを基材としているのが特徴。現在WPFの主流はPET素材ですが、フィルム形状をガラスの湾曲に沿わせる熱成形が必要であることなどを一因にプロでも施工に手間取ることも。TPU基材のサウレは熱成形不要で施工性が格段に高く、TPU型フィルムの弱点だった視界上の微細な歪みも軽減。今後、プロ施工者への販売を中心としつつ、車種別にプレカットしたフィルムの一般カーオーナー向け販売も検討していくそうです。

他方、外貼りのニコラ、内貼りカーフィルムのヘリオス、V-KOOLは、いずれも遮熱性能の高さを最大の売りにしています。
ニコラは、WPFながら飛び石傷などからの保護というよりも暑さや汚れ付着を防止する用途で、特にEV車両のルーフ・ガラス窓への施工を想定しています。一般的にウインドウの遮熱を図る場合は内貼りのカーフィルムを貼ることが多いものの、テスラは車両の構造上施工が難しいこともあり、外貼りのプロテクションで遮熱するという新しいアプローチを採用。サウレと同様にTPU基材で熱成形不要なので施工性に優れ、可視光線透過率70%と明るいためガラスルーフの開放感を保ったまま紫外線・日射熱の抑制や水シミ・花粉・鳥フンなどの各種汚れの付着防止を図れます。

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    高性能な透明遮熱フィルム・ヘリオス

そして、カーフィルムとして新たにラインナップに追加されたヘリオス、V-KOOL3種も明るさと高い遮熱性能の両立を実現したフィルム。
フロントガラス、運転席・助手席のフロント3面(道路運送車両法で可視光線透過率70%以上が規定されている)への施工を目的に開発したヘリオスは、可視光線透過率が89%の「UVIR89」と同87%の「UVIR87」の2タイプ。いずれも高機能PET基材とIRカット剤(酸化インジウム)を活用した独自構造で「紫外線遮蔽率(UVカット率)100%」と「広範囲な波長領域の高い水準での遮蔽」を実現。遮蔽係数※ではUVIR89は0.84、UVIR87は0.80と、一般的に「透明遮熱フィルム」と括られる商品ジャンルにおいて一際高い遮熱性能を発揮します。
また、世界的にも有名なアメリカの高機能フィルムブランド「V-KOOL」では、VKX78(可視光線透過率78%)、VK70(同71%)、VK55(同57%)の3商品をリリース。いずれもいわゆる「スモーク」と呼ばれるフィルム程は濃くなく高い視認性を持つ一方で、遮蔽係数はVKX78で0.56、最も高遮熱のVK55では0.46という優れた数値。「プライバシーガラスが一般的になってきた中で『あまり暗くし過ぎずに遮熱したい』というニーズがある。一般的に可視光にも熱があるのでスモークが濃いフィルムの方が遮熱性は有利だが、一定の明るさを保ちつつ高い遮熱性能を実現したのがV-KOOL製品」(開発部濱根一平部長)と製品利点を教えてくれました。

※遮熱効果を表すJIS規定の単位。3mm厚の透明板ガラスの流入熱量1.00を基準に、数値が小さい程日射熱をよく遮ることを表す

安すぎる? カーフィルム施工に一石

プロテクションフィルムは、近年スーパーカーや高級車を中心に急速に広がり始めているディテイリングサービスの中でも成長期の市場。ソフト99オートサービスでも主力事業の1つとして、23年には価格競争力の高いPPF「クライマックス・IDEAL(イデアル)」といった製品も発売。現在進行形でPPFをより広い車両・ターゲットへと推し広げている最中です。

一方で今回新商品を披露したカーフィルムは、国内でもそのサービスの歴史は長く、どちらかというと成熟〜衰退期と目されることもあるサービス。そもそもカーフィルムの歴史は古く、建物用を自動車ガラス用に転用した海外から日本に伝わったのは1970年代とも。その後90年代のプライバシーガラスの登場とその後の普及、2003年の道路運送車両法改正による規制強化(罰則)などを一因に市場は伸び悩み、「80〜90年代が盛り上がりのピークだった」と振り返るプロ施工者も少なくありません。
その中で同社が事業として本格的に参入したのは2023年と極めて後発。そこには「EV普及に伴う遮熱需要の高まり」と「PPF普及に伴う客層の変化」という2つの背景があったそうです。

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    ボディも窓も全てにフィルムを纏ったモデルY

1つ目のEVについては、電費=航続距離に与える影響が大きい要素の1つとして空調効率の改善に注目が集まっています。中でも日射熱を抑えて夏場に空調の効率化を図れる遮熱フィルムは有効なアイテムの1つ。「床下にバッテリーを搭載する構造上、室内高を十二分に確保できないモデルもあるEVではガラスルーフで開放感を演出するケースもある。ただ、差し込む太陽がとにかく暑い。エアコン効率はもちろん、乗車する人の快適性という面でも近年急速に遮熱フィルムへのニーズは高まっているように見受けている」(濱根部長)と現状を分析します。

もう1つの顧客ターゲットに関しては、低廉化を進めるPPFとは逆に「現在のカーフィルム施工費が安すぎる」として値上げを提案します。元々カー用品店などでも広く商品が販売され、DIY施工も珍しくないカーフィルム。加えて遮熱といった機能ではなく目隠し(スモークの濃さ)が主な目的ということもあり、「昔から続けていらっしゃるプロの方々が長い間大きな値上げをせず、いまだにリア5面で〜5万円といった相場も珍しくない。カーオーナー側にとっても『安価なサービス』というイメージが今なお強くあるように見える」(濱根部長)といいます。
その一方、「PPFの普及もあって『安くない自動車用フィルム施工』が一定の市民権を得つつある。例えば弊社で50〜100万円をかけてPPFを施工されるカーオーナー様に丁寧に遮熱性能の高さを説明した上でカーフィルムをご提案すると、リア5面15万円でも喜んでご依頼いただける。高機能フィルムを適切な施工価格で提案していける余地は小さくない」と濱根部長。その上で「遮熱性能に関しては、“IRカット率”など目安とされている指標が様々あり、カーオーナー様はもとより取り扱うプロ施工者にとっても分かりづらいのが現状。正確な情報とともに高遮熱フィルムを広めていきたい」と今後の展望も教えてくれました。

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    美しく復元されたレビン(AE86)。レストア事業も手掛ける

同社では今後、各種フィルムをプロ向けに販売すると同時に大阪本社・東京営業所ではカーオーナー向けに施工サービスとしても提供していきます。カーオーナーからすると、ややもすると「カーフィルム施工は高くなってしまうの?」という一抹の不安も抱きそうな同社の新製品。ただ同社によると、同社製品に限らず「高級高性能カーフィルム」の市場はここ数年で着実に広がりつつあるそう。クルマ本体が高級車から大衆車まであるように、カーフィルムも「安価なスモーク(目隠し)もあれば高価な高機能品という選択肢も増えた」と捉えれば、従来のスモークのイメージとはまた異なる活用シーン・顧客へと広がっていくかもしれません。

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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