【業界の本音?的こぼれ話vol.03】下手な処置より放置がベター! 花粉シミ

花粉の洗車
コーティング

当メディア記者がカーオーナー目線で気になった、編集会議や取材時の記事にはできないこぼれ話”の一端をお届け。今回は今年もシーズンが始まってしまった花粉について。気象庁によると、本州・四国では3月上旬からスギ花粉が、続いてヒノキ花粉がピークを迎え、特に関東甲信では例年比200%という飛散量予報も。そんな花粉で汚れたボディの対処法を当メディア長南代表に教えてもらいました。

今週あたりから朝起きたら目と鼻と喉が…

今年も来てしまったね花粉。クルマにも大分積もっているんじゃない?

幸いホワイト系なんでボディはそこまで目立たないのですが、窓ガラスはひどいですね。スモークフィルムを貼っているリアは外からも目立ちますし、フロントガラスは運転しづらいぐらい…。でも洗車するまではワイパーを動かしたくない笑

  • 花粉の洗車
    本州・四国だと3月上旬〜ピークを迎える花粉飛散

おー、紛れもなく花粉だね笑。黒とか濃色車はもっと目立つよ! ヒドくなるとほら

  • 花粉の洗車
    濃色車では一層目立ちやすい花粉の汚れ

うわぁ…。なんか粉じゃなくてシミっぽいですね

うん。花粉は、それ自体が「積もった汚れ」もそうだし、よくお客さんからお問い合わせがあるのが花粉で生じたこの「シミ」の方なんだよね。花粉が雨などで濡れると、中のペクチンというネバネバしたタンパク質が出てきて塗装面にシミを作ってしまう。この時期に発生するリング状の黄色っぽいシミで、内側に粉が溜まっていたらそれが花粉だね。ちなみにこの時期の汚れの原因2トップの黄砂は、もっと茶色っぽくて粉っぽいかな

花粉のシミ、粉と違って洗車で落ちない場合もあるんですよね。「ボディ塗装面に深刻な影響が!」みたいな情報も見かけますし。実際カーオーナーとしてはどのように対応すればいいんでしょうか?正直僕自身は、屋外カーポート保管ですが、花粉時期でも特別な対処をせずに10年以上を過ごしてしまっています…

それも“1つの正解”な気がするよ。もちろん車両や状態、オーナーの心持ちによって異なる部分はあるけど、多くの場合は以下の対応がベターかな

  • 1:基本は暖かくなるまで放置
  • 2:磨く・擦るは避ける
  • 3:どうしても気になる場合はプロに相談

熱で解消! 予防はコーティングで

放置でいいんですか?洗車で落ちないシミ汚れ、見た目だけでなく、むしろ塗装面へのダメージ(修復できない)が気になってしまうのですが…

シミの原因のペクチンは熱に弱いから、加熱することでシミも解消できるんだ。今のクルマの塗装はある程度しっかりしているから、花粉を放置した結果として「落ちないシミ」とか「塗装への深刻なダメージ」というリスクは実際そこまで高くないし、春頃から徐々に気温とともにボディの表面温度も上がるから、シミの程度にもよるけど最悪でも夏を迎える頃には自然解消されるよ

なるほど。だからウチのクルマも毎年繰り返しているのに目立たないんですね。熱で解消できるなら、お湯で洗車とかすれば暖かくなるのを待たずともシミを消せるんですか?

うん。プロはシミの程度によって70〜90℃程度のお湯を使用して洗車するよ。あとはヒートガンという熱風を吹き出す工具を使ったり…。でも、実際に一般家庭である程度の温度のお湯で洗車すること自体がかなり面倒な作業だと思うし、ヒートガンは適切に温度コントロールして使用しないと花粉以上に塗装を傷めてしまう。だから、気温上昇による自然解消を待つ方がベターではないかな。
加えていうと、例えばシミの前段階の「花粉の蓄積汚れ」も毛ばたきなどで擦ってしまうと傷の原因になるし、「シミ」も気になるからといってコンパウンドで磨いたりすると熱では消えなくなってしまうんだ

それはイヤですね…。どうしても「シミは塗装面にダメージ」とか「放置=深刻なダメージ」みたいなイメージもあって触りたくなってしまうんですが、下手に触るぐらいなら放置しておいた方が塗装面への負荷が少ないんですね

「放置によるダメージ」よりも「下手な処理によるダメージ」の方がよっぽど大きい。でもどうしても見た目的に気になる、暖かくなるまで待てない、という場合は、まずはしっかり水を使って洗車してみて、それでダメな場合は近くの専門店に相談してみてほしい

  • 花粉の洗車
    洗車しても消えない「シミ」。一筋縄では対処できないので、暖かくなるのを待つのが賢明…

ちなみにコーティングは花粉のシミ予防には有効なんでしょうか?プロのコーティングと、カーオーナーが使える簡易コート剤では異なる部分もあるでしょうけど…

やっぱりコーティング施工してある車両だと、花粉も花粉のシミも落ちやすくて洗車も楽だよね。実際、納車直後の新車(コーティング未施工)と、コーティング施工後1年経った車両を同じ日に洗車したけど、後者の方が断然花粉・シミが落ちやすかったよ。特にガラスコーティングなど無機系の被膜は花粉のような有機系の汚れに対して強い、逆に有機物である塗装には有機系の汚れが固着しやすい、というのがあるようで、ガラスコーティングは一定の効果あるんだなぁというのを改めて実感できる機会でもあったね。
洗車で拭き上げの際に吹きかけるような市販の簡易コーティング剤でも犠牲膜として膜を作り花粉による汚れは、落ちやすくなるから、全く何も施工していないというカーオーナーは簡易コート剤から試してみるといいかもね

無機、有機…。高級コーティングとかの売り文句で目にするようになりましたが、一般的な立場からするとイマイチ意味が分からない言葉第1位ですね。今度、コーティング剤の成分とか科学的知見を改めて詳しく聞いてみたいです

僕も含めたコーティング専門店の多くは、「施工のプロ」であって「液剤のプロ」ではないからその辺りの知見はメーカーの方に聞いてみた方がいいかも

成分とかこれまでの系譜とか現在流通する製品の傾向とか、「そもそも自動車用コーティングはこういう化学製品です」というのを一から教えてくれる奇特な方がいらっしゃいましたら取材してきます!

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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