品質高まるラッピング、安くなるカラーPPF…選択肢広がるボディ用フィルム ソフト99ASセミナー

ナコダ・カラーPPFと3Mハイグロスを対象としたソフト99ASワークショップ
PPF・ラッピング

ソフト99オートサービス(甲斐康之社長、大阪府大阪市、以下ソフト99AS)は1月12日、東京営業所でラッピングフィルム「3M™ ラップフィルム シリーズ2080・ハイグロス」とカラープロテクションフィルム「NKODA(ナコダ)・カラーPPF」の2商品を対象としたプロ向けのワークショップを開催しました。どちらも同社で2023年に販売をスタートした新商品で、一見するとどちらも光沢性の高いカラーフィルム。ただ、ハイグロスは従来から広く普及するラッピングフィルムを品質改良し、質感を増した正常進化品なのに対し、カラーPPFは従来クリア(透明)が標準のPPFにカラー要素を付加した、今世界でも開発競争が目まぐるしい新素材商品。自動車ボディに貼り付けるという用途は同じながら、素材特性や価格、機能や質感など一見では分かりづらい差異がセミナーで解説されました。

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    一見すると同じようなカラーフィルム

PPFでも巻き込める新たな施工法も披露

3M・ハイグロスとナコダ・カラーPPFの2商品は、そもそもの材質が異なります。ハイグロスは塩化ビニル(PVC)、カラーPPFは熱可塑性ポリウレタン(TPU)で、ソフト99ASによる両者の直接比較では、艶肌(グロス)と耐久性はカラーPPFに、フィルムの硬さや伸縮性、端部処理といった施工性に関連する項目はハイグロスにそれぞれ利点があるといいます。ちなみに各メーカーでは、耐候年数の目安としてハイグロスは3年、カラーPPFは5〜10年を提示しています。
この両者の特性は、メーカー問わず一般的な「ラッピングとカラーPPFの素材特性」と共通するもので、概してラッピングは「若干フィルムっぽい質感があるものの高いコスパ」、カラーPPFは「耐久性・艶肌という品質に優れるけど高価」という傾向。その中で、今回のハイグロスは「高コスパなラッピングながら綺麗な質感」、ナコダ・カラーPPFは「カラーPPFながら比較的安価」というそれぞれに短所改善された商品として案内され、特に価格面(プロ向け卸価格)では、カラーPPFがハイグロスの約1.5倍程と、従来のカラーPPF/ラッピングフィルムよりもその差は小さくなりました。

また、セミナーでは施工体験も交えてそれぞれの施工性も解説。特に商品カテゴリー自体が新しいカラーPPFでは、ナコダが拠点を構える中国の施工法も取り入れたソフト99AS独自の「メルトラップ施工」を披露しました。

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    施工体験の時間も設けられたワークショップ

その最大の特徴は、PPFでありながらパーツ端部(エッジ部)を巻き込んで処理することで、PPFの切れ目が見えず綺麗に仕上がる点。ラッピングフィルムに比べて厚く弾性に富むPPFは従来、パーツ端部でカットする施工法が主流で、巻き込みはフィルムの弾性に接着力が負けて剥がれてしまうリスクを伴うため高い経験・技術ノウハウを要します。今回同社が披露した施工法は、巻き込み部を加熱して成形することで接着剤に頼らずに固定。剥がれのリスクをより一層抑えながら巻き込み施工できるようになったといいます。

この施工法は綺麗な仕上がりだけでなく、作業日数の短縮も実現。巻き込まずにカラーPPFを施工する場合、パーツ端部に同系色のラッピングフィルムをあらかじめ貼り付け、地の塗装色が見えないように処理する「捨て貼り」が必要でしたがそれが不要に。また施工時のパーツ脱着もアウターハンドルなど最小限で済むため、バンパーなどを脱着するケースも多いラッピング施工に比べて作業時間を短縮できます。
カラーPPFのこうした施工時間の短縮やフィルム材料費の低下は、施工価格・納期にも好影響を及ぼしており、同社が今回例示した施工例では、ポルシェ・911にボディフル施工した場合に3Mハイグロスだと7〜8日間・98万円、ナコダ・カラーPPFだと4〜6日間・128万円。依然としてカラーPPFの方が高価ではあるものの、以前よりも施工価格差は縮まってきています。

施工ショップはどう使い分ける?

現時点では、ボディのカラーチェンジではカーラッピングが一般的で、カラーPPFは価格の高さなどもあってその普及は限定的。ただ、ナコダのような価格競争力を持つカラーPPFは、今後プロショップでの取り扱いを後押しするかもしれません。

実際に3M・ハイグロスとナコダ・カラーPPFの両商品をすでに施工したショップでは、「特にルーフやボンネットなど面積の広いパーツでは、ウェット施工のPPFの方が糊ズレなども起こしづらく時間も短く貼り終えられる。材料費も以前に比べてラッピングフィルムとの差が小さくなったので、施工価格にした際にはあまり大きな金額差なくお客様に提示できるようになってきた」(都内ショップの施工者)と特にカラーPPFの扱いやすさを評価。
その上で、例えば依頼の多いウインドウモール部へのフィルム施工では厚いカラーPPFでは端部の処理が難しく、高光沢のハイグロスの方が綺麗に仕上がるなど、現時点では一概にどちらかが一方的に優位な商品というわけではないとの見方も。「今まではボディのカラーチェンジだと施工性などもあってカーラッピングを選びがちだった。ただ今後は、例えば細かく複雑な形状や紫外線の影響が少ないパーツ、予算重視の場合はラッピング、その中でも質感にこだわる人には3Mハイグロスを推せるし、一方で面積の広いパネルや耐候性・耐久性が求められるパーツ、予算よりも質感重視のお客様にはカラーPPFを、といった使い分け・提案をしていけたら」と各商品の利点を話します。

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    ピラーやモールなど小さい面積では質感の差は視認しにくい

前述したように現時点ではカラーPPFの取り扱いショップは多くなく、またメーカーの製品テストだけでは判明しきれない日本の自然環境下での実質的な耐久性・耐候性などは経年しなければ見えてこない部分もあります。そもそもラッピングもカラーPPFも、クルマの走行機能や安全性には関係のない嗜好的アイテムなので、どちらを選んでも明確な“正解/失敗”があるものでもありません。
それでも、品質・価格・仕上がりなどそれぞれに差があるボディ用フィルム。せっかく安くない費用をかけて愛車に施工するのであれば、「事前に知っていたらラッピングではなくカラーPPFを選んだのに…」「ラッピングの中でも艶感キレイなフィルムがあることを後から知った…」なんてことがないようにサービス・商品を選びたいものです。

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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