作業用ではなく魅せる用! プロも個人からも人気高まるLED照明…TEIN NEXT

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近年、SNSなどでディテイリング作業風景をオシャレに照らす直線的なLED照明を見かけた人も多いのではないでしょうか。日本のみならず海外のプロディテイリングショップでも使用されているこのLED照明。クルマをキレイに照らすだけでなく、その美しい照明ラインは1つの内装設備としても目を奪われるもの。今回は、そのライン型LED照明を施工店などに販売しているTEIN NEXT(テインネクスト/横浜市南区)の渡邉雅人代表に、改めてその魅力を教えてもらいました。

SNS時代に高まる”映え需要” 作業性も向上 

テインネクストの看板商品が、「Bonito(ボニート)」という内装用のLED照明。製品自体はシンプルな直線型のLED照明で、90度や120度の角度が付いた樹脂製ブラケットで直線を繋ぎ合わせることで、ディテイリングショップなどで人気のヘキサゴン(六角形)型をはじめ、四角形やアロー型など様々なデザインバリエーションを描くことができます。

  • シンプルな形状・構造のボニート

その何よりの魅力が、視覚的なインパクト。
元来、自動車関連ショップやその作業場は、どうしても無骨・殺風景なイメージが根強くあります。さらに磨き・コーティングは、微細傷の除去や艶・光沢の向上といった施工による変化が視覚的にわかりにくく、カメラや画面越しではなおのこと。そのため、ビジュアルだけでは、自社の強みや他社との差別化を訴求しにくい特性があります。
一方でSNSの普及も背景に、ディテイリング業に限らず店舗への集客を図る上でSNSでのビジュアル的な発信が不可欠な今日この頃。作業品質そのものではなく、作業風景をドレスアップできるLED照明は効果的なアイテムで、海外に続き国内でも瞬く間に広がりました。

  • ディテイリングショップで人気のヘキサゴン(六角形)型

テインネクストも、元々はディテイリング施工業を手広く展開するリ・バースホールディングスがルーツ。埼玉県川口市にある施工ショップ「COAZ(コアーズ)」を営む中で2019年頃、海外で流行し始めた直線型LEDライトに着目。自店舗に導入するとともに、国内の同業他社へも展開すべく、製造・販売を手掛けるテインネクストを発足しました。

実際に同社からLED照明を導入したプロ施工店からは、「自社サイトの閲覧数やインスタグラムなどのSNSでの反響・予約依頼が増えた」という声をはじめ、「コーティング施工後の納車時にカーオーナーに喜ばれる」「写真をたくさん撮られるようになった」と好評。
また、LEDラインが醸し出す先進的な雰囲気のみならず、特に空間が明るくなる効果など作業性が向上する点も好評で、「作業空間が明るくなり、手元作業などもしやすくなった」といった声は数多く寄せられているそうです。

肌目は見える! けどキズは…直線型LED照明の特性 

ボニートの照明がディテイリング作業に資する特性として、「塗装の肌目」を見やすくなるというのも1つの特徴です。
ボディ表面は、一見すると滑らかな平面に見えますが、実際には塗装時に生じる塗膜の微細な凹凸(=肌目、塗装肌や塗り肌などとも)を持っており、この凹凸が荒い状態をゆず肌(オレンジピールとも)と呼んだりします。これは新車でも生じうるもので、塗装工程に中研ぎを入れた高級車では目立たないケースもありますが、量販車などでは新車時点で目につくことも珍しくなく、また事故修理やカスタムなどでの再塗装でもこの“気になる肌目”が生じうる可能性があります。

そして、塗装本来の美しさを引き出すには、小キズの除去やコーティングの塗布だけでなく、塗装の肌目がキレイである必要もあり、ディテイリング作業では研磨によって肌目の調整を行う場合も。そのため、直線型LED照明による肌目の視認性向上は、ディテイリング作業の一部の工程のクオリティを高めてくれます。
また塗装面の視認性向上は、ゴミ噛みや糊ズレといったペイントプロテクションフィルム(PPF)施工時のトラブル確認でも重宝するため、最近ではPPF施工ショップでも導入事例が増えているそうです。

一方で渡邉代表によると、直線型LED照明の作業的利点は限界もあるそうで、「ディテイリングショップを中心に広がったこともあり、『キズ』はどのぐらい見えるの?』といった問い合わせはよくいただくが、正直に『キズを追うのは得意ではない』と答えている」そうです。
コーティングの磨き(下地処理)として、肌目の調整と同様に微細傷の除去も大切な工程。なので、カーオーナーとしては「オシャレな直線型LED照明を設置している」ことだけを材料に「=磨きの品質が高い」ではないことは、頭の片隅にでも入れておきたいところ。

一方でテインネクストでは、例えばキズの視認性を上げたい施工店などに対しては、それに適した色温度・照度の照明設備を追加提案したりと、ボニートに限らず内装設備を包括的にサポート。ボニートはあくまでビジュアルが最大の魅力のLED照明ですが、同社は元々ディテイリング施工ショップから発足し、渡邉代表自身も施工者としての経歴を持つなど施工業のノウハウを有した販売企業でもあり、店舗空間や作業内容に応じたショップのニーズに応えています。

類似品も多数! 目に見えないとこに違いアリ 

またテインネクストでは、ディテイリングショップ向けの内装設備としてフロアマットタイル「Loseta(ロゼッタ)」も販売しています。

ロゼッタはシンプルな正方形の樹脂製タイルで、本体とエッジ・コーナーを組み合わせることで自在にデザインバリエーションを作ることができます。カラーバリエーションは7種類で、自在にデザインを作れるカスタマイズ性と、空間をスタイリッシュに演出するビジュアル性が魅力の内装アイテム。見た目だけでなく、水はけの良さや滑りにくさといった“作業性を兼ね備えている”点もボニートと同様です。

実は、看板商品のLED照明「ボニート」もこの樹脂タイル「ロゼッタ」も、製造元・販売元が異なる類似品が一定程度流通しています。照明もタイルも構造自体がシンプルなためメーカー差が分かりにくく、一見すると同じに見える製品。ただ渡邉代表は、「見えない部分で違う部分があることが多い」といいます。

その際たる例が耐久性。一般的に高寿命なイメージのあるLEDですが、一般的なLED製品と同様、直線型LED照明も粗悪な製品や設置環境では基盤部に過大な熱負荷がかかったりと短命に終えてしまうことも。また樹脂タイルも、ロゼッタはポリプロピレン(PP)樹脂100%ですが、製品によっては再生樹脂を含有している場合もあり、強度や耐久性、耐退色性に差が出るといいます。
LED照明にしても樹脂タイルにしても、価格が安い製品ほど耐久性が劣る傾向にあるそうで、実際にテインネクストでは「他社製品の設置後、わずか数ヶ月で機能しなくなった、割れてしまった」というショップの声も届いているそうです。

テインネクストのLED照明、樹脂タイルが人気を集める背景には、類似品が出回る中だからこそこうした“目に見えない品質”を求められている部分もあるようで、SNS普及を背景にビジュアル訴求の重要性が年々高まる昨今、ディテイリング専門店はもとより、コーティングの大手チェーンや鈑金塗装工場、中古車販売店など多彩な自動車関連事業者が導入。
最近では、バーなどの飲食店や美容室といった店舗事業者、さらには自宅ガレージをオシャレにしたいという個人カーオーナーからの設置依頼もどんどん増えているそうです。

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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