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強い定着、高い耐久が強み! RTSがヘッドライト用UV硬化型ハードコートを試験販売

ヘッドライトリファイン・インペリアル
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ヘッドライト復元剤などプロ用ケミカルを製造・販売するリアルテックサービス(RTS:矢野貴司代表、埼玉県三郷市)は10月、ヘッドライト用コーティング剤「ヘッドライトリファイン・インペリアル」の試験的な販売を開始しました。プロの塗装設備のほか専用のUV硬化ランプなど専用設備が必要なものの、従来のコーティング剤やクリア塗装に比べて高耐久を強みとするポリカーボネート専用ハードコート。純正部品価格の上昇や車検におけるヘッドライト検査の厳格化などヘッドライト保護のニーズが高まる今、高品質なケアを望むカーオーナーにとって新たな選択肢となりそうです。

長く乗り続けたい人にオススメ! 高い耐久性

インペリアルは、紫外線などによる劣化からヘッドライトを保護するUV硬化型のコーティング。専用の下地処理(規定手順での研磨)をした後にスプレー塗装し、乾燥、UV硬化の2工程を経て耐候性に優れたコート層を形成します。

コート剤の原料は元々ポリカーボネート(PC)素材製品の製造ライン用に開発されたもので、それを同社が自動車ヘッドライトの補修に使用できるよう希釈濃度や硬化工程などを再設計。従来、ヘッドライトの復元・保護の際に広く使用されていたウレタンクリヤ塗料に比べてPC素材専用コート剤という点が特徴で、プライマー(塗料の密着性を高める下地剤)を塗装できない透明なヘッドライトに対して強く定着を図れます。第三者機関での暴露試験では10年相当の耐候性を確認しているそうで、洗車や飛び石など擦り傷への耐性が高いのも魅力。同じく耐候性・耐傷付性に優れるケアとしてプロテクションフィルムを貼る方法もありますが、フィルムでは分割せざるを得ないような国産車に多い複雑な形状のヘッドライトでも、インペリアルでは継ぎ目なく仕上げることができます。

  • ヘッドライトの研磨
    白濁などの原因となる微細傷を除去する研磨
  • ヘッドライトリファイン・インペリアルの乾燥
    塗布後はヒーターで乾燥。曲面も含め規定温度を維持するのもプロの作業

塗装だけでなく、ヒーターによる乾燥や専用ランプによるUV硬化と各工程で専門的な技術が必要で、DIYはもとより塗装設備・技術を持たないディテイリングショップなどでも施工が難しいサービス。まだ本製品自体が試験的な販売状況ということもあり、従来から普及するコーティングやウレタンクリヤ塗装、プロテクションフィルムと比べると取り扱いショップが少なく、施工価格も少し割高となる見通しです。
ただ、「せっかくキレイにしたのに割と短期間で白濁・黄ばみが再発してしまった」など、ヘッドライトの復元についてはなかなか悩みもつきないもの。「安くキレイにしたい」「とりあえず次の車検だけ通せる光量を確保したい」というよりも、「今後も長く乗り続けたいから費用をかけてもしっかりケアしたい」といったカーオーナーにオススメな選択肢になりそうです。

ヘッドライトの美観が注目される2つの理由

ヘッドライトの劣化は、素材がガラスからポリカーボネートになって以降、カーオーナーの慢性的な悩みの1つ。高年式車では純正のハードコートも良質化しており、以前のヘッドライトよりも劣化しづらくなりつつありますが、一方で近年だからこそヘッドライトのケアに改めて注目が高まっている理由があります。

ヘッドライト

その1つが、純正部品価格の上昇です。その一因がランプの高機能化で、近年は従来のハロゲンに代わり長寿命、省電力のLED搭載ランプが普及。そのLEDの配光を、対向車や歩行者などの状況に応じて制御する配光可変ヘッドランプ(ADB)の搭載も進行しており、ADB搭載の高級車などでは、ライト部品1つで数十万円に上るケースも増えてきているといいます。
ヘッドライトは、単純な経年劣化もさることながら、例えば事故などで片側のみを部品交換した際でも、新品の片側と経年劣化が進行した片側とで見た目の差が生じてしまうなど、その美観が気になるケースは起こり得るもの。ただ、そういった美観で気になる(=機能障害ではない)場合、保険請求が承認されるハードルは低くなく、自費では高価な部品代がネックに。見た目の劣化が気になるヘッドライトで部品代が高騰する今日では、交換より安価に美観復元できるケアがカーオーナーにとって今まで以上に有力な選択肢になってきています。

また、もう1つヘッドライトの美観が注目される理由の1つが、2024年8月からの車検における審査の厳格化です。
ヘッドライトの保安基準では、光量・色と光軸(照射範囲)、点灯やカバーの状態という大きく3点が規定以上であることが定められています。その測定方法が2015年に変更されており、2018年からはそれまでのハイビームから原則ロービームでの計測に(1998年9月以降に製造された自動車で二輪車が大型特殊自動車などを除く)。ただ、現在は過渡期取扱い期間として、ロービーム計測では基準をクリアできない車両についてはハイビームで測定しています。
その過渡期取扱いが2024年8月以降廃止。全車ロービーム計測のみでの審査となるため、特にヘッドライトの劣化が進行している低年式車などでは、ロービームでは光量が不足したり照射方向が規定を満たせないといった車両が出てくる可能性もあるのです。

ヘッドライト

もちろんヘッドライトの劣化と一言にいっても、今回ご紹介したインペリアルなどで性能復元できるレンズ面の劣化もあれば、そもそも磨き・コート剤では復元が難しいレンズ面の劣化、さらには内部リフレクタの劣化やバルブとユニットの不調和といった、いくらレンズ表層をキレイにしても光量・光軸を復元できない劣化状態も。
なのでヘッドライトケアを検討する際は、劣化がどういう状態で復元にはどのような選択肢があるか、また復元は直近の車検に通したいだけなのか、機能と美観の両方を蘇えらせて長く乗り続けたいのか。自分で情報収集するにしてもプロショップに相談するにしても、ケアの選択肢が広がってきたからこそ、現車の状況と今後の付き合い方(掛けられる費用など)を踏まえてじっくり検討してみるのがオススメです。

▶︎ヘッドライトリファイン公式ホームページ

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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