セラミックコーティングの世界標準? 英国で高シェア誇るジーテクニック

コーティング

海外ブランドを中心に近年国内でもじわりと広がりつつあるセラミックコーティング。高級コーティング全般で“多彩な見せ方”が脚光を浴びる中、基本品質の高さを飾り気のないプロモーションで打ち出す「Gtechniq(ジーテクニック)」は、後発ながら着実にプロディテイラーの支持を集めています。

優れた施工性で実現した“高コスパの高級コーティング”

ボディコーティングが一般的になりつつある日本で、2021年から本格的に日本でプロ向けに販売開始されたカーコーティングブランド「Gtechniq(ジーテクニック)」。日本では後発でまだ知名度も高くありませんが、英国では20年以上にわたる実績を誇り、欧米を中心に50カ国以上で展開されています。

ブランドの顔ともいえる旗艦サービスが「Crystal Serum Black(クリスタルセラム・ブラック)」という名称のセラミックコーティング。「Crystal Serum Ultra(クリスタルセラム・ウルトラ)」という製品によるベースコート1層と、「EXO」というトップコート2層の計3層で形成するボディコーティングです。

その最大の特徴が、プロ用コーティングの水準における“性能と施工性の高いバランス”でしょう。
性能面では、7nmと20nmのナノ粒子を活用したテクノロジーを強みに、塗装への強固な定着性と形成する被膜の強靭性を訴求。現在ボディコーティングに期待される撥水性や防汚性、スクラッチ傷への耐性、洗浄剤や有機汚れなどに対する耐久性といった基本的な機能を高いレベルで発揮するといいます。

他方「施工性」は、一見カーオーナーには直接関係のない要素にも思えますが、施工費の面で影響しています。
コーティング施工価格の内訳は原料(液剤)の比率が極めて小さく、大半は下地処理(洗浄・研磨)と塗布の作業時間。「品質を左右するのは下地処理」は業界の通説ですが、一方で近年の高性能コーティングは「粘度が高かったりムラになりやすかったりする場合もあり、プロでも「塗布・拭き取りに時間がかかったりクロスを大量に消費したり」といったことも。施工性は、「性能を発揮するために止むをえない場合」もあれば「性能の割に施工性が悪い製品」もあって必ずしも「施工後の性能」と連動する訳ではありませんが、施工時間に影響する場合は少なからず「施工費用」とは連動してしまうのです。

その点、良好な施工性(プロにとって)を強みとするジーテクニックは、結果的に費用と品質のバランスという面でコストパフォーマンスに優れたサービスを実現。一部の専門ショップでは数十万円といった高額で提供していることもあるセラミックコーティングを、おおよそ1台15〜30万円で堪能することができます(施工金額は施工店ごとに異なります)。

  • ベースコート剤「クリスタルセラム・ウルトラ」とトップコート剤「EXO」

ちなみにジーテクニックはイギリスで2001年に発足。ワックスやポリマーコーティングなど既存の塗装保護剤の性能に不満を抱いた量子物理学者が立ち上げました。発起人の科学的知見をベースに、ナノサイズの材料を分子レベルで制御した科学技術が注ぎ込まれており、性能はもとより使い勝手と価格競争力を念頭に製品開発されています。
現在では欧米を中心に50カ国以上、ポルシェやBMW、メルセデスベンツをはじめランボルギーニやベントレーなど幅広い高級車ディーラーに愛用されており、本国イギリスでは高級コーティング市場で50%を超える高いシェアを誇っているそうです。

英国本部基準を満たした認定店が拡大中

使用・保管環境によって体感できる効果が著しく異なる、見た目にその性能差がわかりにくい、といったこともあり、コーティングの製品差・良し悪しは長年の未解決テーマの1つ。
その中で、カーオーナーにとってジーテクニックを選択するための客観的な参考材料もあります。

1つは公式サイト上での丁寧な情報提供です。
自社製品の強み・特性やデメリットはもとより、「セラミックコーティングは成分的観点ではガラスコーティングと同質であること」や「コーティングにおける膜厚や重ね塗り、自己修復機能の限界」、「硬度をはじめとした広告宣伝に伴う誤認」などコーティング全般にまつわる同社見解を記事を通じて詳細に解説。最終的にジーテクニックを選択しないカーオーナーにとっても、コーティング選びの参考になることでしょう。
ジーテクニックジャパンの佐久間陽平代表は、「派手な機能や効果を打ち出していませんが、競争激しい欧州で確かな実績を築いているブランド。世界中のプロディテイラーに支持されている品質を強みに、日本でも”正統派セラミックコーティング”として多くの人に体験してもらいたい」と実直さを示します。

欠点や業界全般の動向含め解説している自社サイトのコラム記事

また、カーオーナーの判断材料になりうるもう1つの指標が認定制度とその増加スピードです。
ジーテクニックでは、同社が認定したプロショップのみが施工を請け負える独自の認定施工店制度を設定。認定基準は、2年以上の施工実績や店舗設備(専用ブラックブースや空調など)といった要件に加えて英国ブランド本部の審査も要するなど厳格で、ブランドが掲げる品質をどこの施工ショップでも受けられる体制を構築しています。

▶︎ジーテクニック認定施工店一覧

この認定制度自体もジーテクニックの利点ですが、実は施工ショップ側にとっては使用コーティング剤の変更はリスクを伴うもの。製品によって粘度や乾燥時間、拭き取りやすさやムラのなりやすさといった施工性が異なり、作業内容を変える必要に迫られるからです。なので、よほど大きな性能差異を認めなければ積極的に変える理由にならず、実際に慣れ親しんだコーティング剤を長年使用し続けているプロも少なくありません。
そうした中で業界後発のジーテクニックの認定店は、1年足らずで40店舗程(23年1月現在)にまで拡大。日本上陸早々に導入した認定店からは「自社でテストしてみて撥水性や膜厚感、艶や手触りなど、既存品と比べて品質が良好だった」「長年コーティング施工をしているが、久々に他製品との差を実感できた」と性能を評価する声が挙がっており、後発ゆえに「他にも製品がある中でプロに選ばれている」という状況ができ上がりつつあります。

  • 認定店店頭で高級感漂わす製品ディスプレイ(写真は京都市のビーパックス)

被膜の耐久性や付着した汚れの落ちやすさなども含め、短期間では性能評価を判断しづらいボディコーティング。施工機会が限られる一般カーオーナーでは、なかなかプロ用製品の良し悪しを比較検証しづらいもので、日々施工するプロディテイラーの一定の評価はカーオーナーがサービス選択する上での1つの判断材料となるでしょう。

PPF専用コート剤も人気! 充実のサブアイテム

メイン製品として「クリスタルセラム・ウルトラ」「EXO」を展開するジーテクニックですが、セラミックコーティングの開発ノウハウはサブ製品にもふんだんに活用されています。

中でも、日本でも注目が高まっているのがペイントプロテクションフィルム(PPF)・ラッピングフィルム専用のコーティング剤「HALO(ヘイロー)」。国内でもPPFがじわりと普及するに伴い、各種フィルム施工後の美観維持を目的としたコーティングのニーズも高まってきています。
ヘイローは、多孔質のフィルム表面に柔軟で高密度な被膜を形成することで、PPFやラッピングフィルム表面に撥水性や防汚性を付加。フィルムの変色・劣化の原因となるUVへの耐性も備えています。PPFではグロス/マット両タイプに対応しており、フィルムメーカーが販売するコーティング剤と異なり、ジーテクニック本部で様々なフィルムを対象にテスト・検証を行わっているため、多くのPPF・ラッピング施工車に使用できるのも魅力です。

  • PPF専用品や廉価版ベースコート剤など、プロ用製品でもこだわりのラインナップを展開
  • 施工後のアフターメンテナンスなど、DIYでも使える簡易ケミカル類の品揃えも豊富

このほか、リーズナブルにセラミックコーティングを堪能できる廉価版ベースコート「クリスタルセラム・ライト」や、低年式車など密度の低い塗装やマット塗装との相性に優れるという「C1・クリスタルラッカー」などもラインナップ。
こうしたプロ用製品に加え、一般ユーザーも使用できる各種ケミカルも取り揃えています。カーシャンプーをはじめ汚れや素材に応じた各種クリーナー、コーティング施工車用のメンテナンスキットなど豊富な品揃えで、認定施工ショップ店頭のほか公式サイトからも購入が可能。いずれもナノテクノロジーを活用したセラミックコーティング専門企業のノウハウが注がれた製品となっています。

とはいっても、ジーテクニックの公式サイトにも記載されている通り、製品単体で発揮できるコーティング性能は全体のごくわずか。下地処理の品質差はもとより、車両の塗装状態や保管環境、使用頻度、メンテナンス頻度などによって何が最良かが変わるサービスゆえ、まずは認定施工ショップに相談してみるのがオススメです。

▶︎ジーテクニックジャパン公式ホームページ

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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