正しい“フィルムと車検”のルール

カーフィルム

遮熱やUVカットなど、メリット豊富な高機能なフィルムなら、クルマの窓全てに貼りたいところ。ただ、カーオーナーの中には「フロントガラスにはフィルムを貼ってはいけない」といったことを見聞きしたことがあるかもしれません。

これは、正確には誤った情報となります。日本では現在、道路運送車両法の保安基準により、自動車ガラスについては以下の規定がされています。

・道路運送車両の保安基準 第29条(窓ガラス)
4 前項に規定する窓ガラスには、次に掲げるもの以外のものが装着され、貼り付けられ、
塗装され、又は刻印されていてはならない。
一 整備命令標章
一の二 臨時検査合格標章
二 検査標章
二の二 保安基準適合標章(中央点線のところから二つ折りとしたものに限る。)
三 自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)第9条の2第1項(同法第9条の4において準用する場合を含む。)
又は第10条の2第1項の保険標章、共済標章又は保険・共済除外標章
四 道路交通法第63条第4項の標章
五 削除
六 前各号に掲げるもののほか、運転者の視野の確保に支障がないものとして告示で定めるもの

・保安基準の細目を定める告示 〈第3節〉第195条(窓ガラス)
5 窓ガラスへの装着、貼り付け、塗装又は刻印に関し、保安基準第29条第4項第6号の
告示で定めるものは、次の各号に掲げるものとする。
六 装着され、貼り付けられ、又は塗装された状態において、透明であるもの。
この場合において、運転者が交通状況を確認するために
必要な視野の範囲に係る部分にあっては可視光線透過率が70%以上であることが確保できるもの

簡単に読み解くと、「窓ガラスには規定のもの以外を装着・貼り付け・塗装・刻印していはいけない」のが大前提。その上で、例外品として検査標章や保安基準適合表章などと同様に「貼り付けた状態で透明=可視光線透過率70%以上を確保できるもの」も定められており、カーフィルムもこれに該当する品と捉えられます。なので、施工する場合はこの規定を守る必要があるということです。

この規定は、フロントガラスと運転席、助手席のフロント3面が対象で、規定に準ずればUVカット・遮熱機能を持つカーフィルムも貼ることができます。ただ、元のガラスとフィルムを貼り付けた状態での透過率なので、フィルムだけでなく施工する車種やガラスの状態によっても貼れる、貼れないが出てきます。ガラス単体ですでに可視光線透過率が70%に近い車種もありフロント3面に施工できる透過率の高いフィルムは限られていたり、車種によっては自動車の取扱説明書にカーフィルムなどの施工禁止を記載しているケースもあるので、フィルム施工の実績が豊富なプロとよく相談するのがオススメです。

お店によっては、施工直後の可視光線透過率を測定し記載した「可視光線透過率測定結果証明書」も発行しています。あくまで施工時点での保安基準適合を証明するもので、「証明書があれば無条件に車検を通過できる」といったものではありませんが、「フロント3面へのフィルム施工=違法」といった誤認識に基づき、整備の入庫拒否などがあるのも実情で、“保安基準に則ったカーフィルム施工”の1つの目安として保有しておくのも良いでしょう。

なお、運転席より後ろのウインドウガラスには規定がないので、濃いスモークフィルムや透過しないステッカーなども制限なく貼ることができます。

専門店選びは価格以外もしっかりチェック

機能性が高く、保安基準に則った施工も可能なカーフィルムですが、現状、特にフロント3面に施工する際は、カーオーナー側も以下の点は留意しておきましょう。

・車検や点検入庫の際、車検不合格や入庫拒否、フィルムを剥がされるなどの事象が起こりうる
・フロント3面の施工に慣れていないショップも少なくない
・元々UV・IRカットガラスを搭載している場合、フィルムの性能を体感しづらい

実はフィルムにまつわる保安基準の規定は、カーオーナーはもとより自動車業界関係者でも一部正確には理解されておらず、車検・入庫に関するトラブルが実際に発生しうるのが現状です。そのため、「フロント3面は受け付けていない、積極的には貼っていない」といったカーフィルム施工店もあり、そうした店舗の中でも技量・実績・知識を伴いケースでは、綺麗に貼れないばかりか、施工時の水漏れが原因で電装品を破損してしまうといったことも起こり得ています。

また、最近では見た目に鮮やかな発色系フィルムをはじめ、保安基準に適合しないフィルム施工と知りながら施工を請け負うショップも一部あることを見聞きしますが、これも取り締まりによる不利益を被るのはユーザー自身なので避けましょう。
※発色系フィルムのフロント3面施工自体が違法という訳ではなく、規定に準拠したフィルム・車種の組み合わせであれば車検にも通ります。

一方、カーフィルムに精通した取り扱ディテイリングショップでは、幅広い製品ラインナップから顧客の要望に応える案内をしてくれ、作業上ゼロにするのは不可能なゴミの混入も、極力抑えた綺麗な仕上がりを実現してくれます。
また施工後も、アフターフォローの一環として、施工車両の円滑な車検合格をサポートしているお店もあります。

諸外国に比べて日本での普及率は極めて低く、それでも「一度貼った人のリピート率が高い」ともいわれる程に快適性をもたらすカーフィルム。
ぜひ、お店にカーフィルムを依頼する際は、価格だけでなく、施工前もアフターも丁寧にフォローしてくれる専門店を探し、快適かつ安心なカーライフを送ってみてください。

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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