リーガルゴーストショップがプレオープン 適正なフィルム施工促進へ ブレインテック

カーフィルム

オーロラ系などとも呼ばれる発色系フィルムの代表ブランド「ゴースト」シリーズを製造・販売するブレインテック(福岡県北九州市、宮地聖代表)は8月、施工ショップを認定する「リーガルゴーストショップ」を発足しました。
当面はプレオープン期間との位置付けで、本格始動は2023年からの予定。特に可視光線透過率測定を中心に、製品自体やその施工の是非、適法性を問う声が業界内外で挙がる中、「誤解や間違った知識を正し、フィルム施工が正しく世間に認知され、諸外国並みのフィルム装着率、ひいては世界スタンダードな安全・健康・快適省エネのフィルム装着が日本でも当たり前になることを目指す」といいます。

リーガルゴーストショップとは?

リーガルゴーストショップ(LGS)は、メーカーであるブレインテックが独自の基準を元に「ゴーストを法律に基づいて適正に施工できるショップ」を認定する制度です。認定店では、車検や道路交通法、道路運送車両法の保安基準に準拠したゴーストの施工をはじめ、可視光線透過率の測定やその測定結果証明書の発行が可能で、測定や証明書の発行は認定店以外で施工した車両やゴースト以外の施工車両でも対応可能(DIY施工など一部製品・施工については断る場合あり)とのこと。今後は施工に関する講習やフィルム素材・光学特性などに関する勉強会など技術・製品知識の両面でLGS認定店をサポートする予定で、カーユーザーにとっては施工の巧さと同時に適法性の面でも安心できるゴースト施工の依頼先を探せる制度となっています。

今回のプレオープンに際し、従来からゴーストフィルムを法令に則って施工しているショップを中心に順次認定が進められており、記事掲載時(9月15日時点)ですでに全国25社が認定されています。

▶︎LGS認定施工店一覧

法規を裏面に記載した可視光線透過率測定結果証明書
ピュアゴーストシリーズ(左からML91/IRML90/IRML88)

ゴーストとは
同社が製造・販売する独自設計の多積層構造の自動車用フィルム。紫外線(UV)・赤外線(IR)カットといった機能性に加え、見る角度や光の反射によって異なる色合いを楽しめる高いデザイン性が特徴で、特に鮮やかなブルーの発色、国産の高い品質を持つ「ピュアゴースト」は、多くの国産車の純正ガラスで施工後の可視光線透過率70%以上をメーカー独自に検証しており、LGSでも推奨製品とされています。

ここが肝! LGS認定店は「PT-500/50」で測定

「法令遵守」というと今の時代当たり前のように思う人もいるかもしれません。何がLGS認定店の強みなのか、その鍵は日本におけるカーフィルムを取り巻く法規定にあります。
そもそもカーフィルム、特にフロント3面(フロントガラス・運転席・助手席)への施工に関しては道路運送車両法で規定されています(詳細は関連記事ご参照)。

少しクルマに明るい人ならこの規定の中身として「可視光透過率70%以上が必要」と聞いたことがあるかもしれませんが、実はこの「可視光線透過率」にも色々な規格があることをご存知でしょうか。

詳しくは記事末に参考資料を掲載していますが、簡単にいうと「日本の道路運送車両の保安基準で定められた測り方」と「それ以外の測り方」が存在するということ。そして、陸運局や軽自動車検査協会、警察では前者を、多くのプロショップやディーラー、整備工場では後者の測り方をしているということ。つまり、「うちは可視光70%以上をしっかり測っているよ」と謳う専門店でも、中には法律とは異なる規格(測り方)で測っている場合があるということです。ブレインテックによると、この規格の差異を一因(他にも要因はありますが)に、「合法施工したつもりが車検に通らなかった」「実は合法施工とはいえない状態だった」といったようなケースが起こり得てしまっているといいます。

そこで同社では今回、LGS認定要件として「可視光線透過率測定器PT-500/50の保有とそれによる測定」を設けています。

同社によると、光明理化学工業が製造するPT-500/50は「流通している機器の中で規格に基づき計測できる唯一の可視光線透過率測定器」で、前述の陸運局など公的機関でも使用されているとのこと。同時にPT-500/50はプロ用機器としても高価なため、カーフィルム専門店はもとよりディーラーや整備工場でも保有しているところは多くないそうです。つまりLGS認定店は、単純な施工実績や接客対応に安心感があるだけでなく、合法施工であることの後押し材料となる計測に相応のコストをかけて取り組んでいるショップでもあるのです。

ちなみにさらにマニアックな余談になりますが、同社ではPT-500/50以外の計測器による測定も意味がないとは考えておらず、実際に事業者向けに販売もしています。その論拠が自動車技術総合機構(NALTEC)が規定する審査事務規程(車検にて保安基準に適合しているか判断するための内容)で、9-4窓ガラスの透過率(可視光線透過率測定器)の項目では「着色フィルム等が装着され、貼り付けられ(中略)たことにより、70%を下回るおそれがあると認められたときは、可視光線透過率測定器を用いて可視光線透過率を計測するものとする」と審査の実施方法に関して定めています。同社はこの一文を「検査員が”下回るおそれがあると認められない”と判断できる場合は測定せずに車検を通せる」と解釈し、その判断材料となる一定の目安基準としてPT-500/50以外の測定器での計測結果を活用できると提言しています。

カーユーザーにおけるLGSの利点

測定1つとっても少し複雑で”合法施工”が一筋縄ではいかないカーフィルム。現在、一般的にカーフィルムで「適法でないとされる状態」になりうるのは大きく以下4つのケースがあります。

1 そもそも施工自体が不適法
1-1:故意に保安基準不適合で施工する
見た目重視や顧客からの要望で可視光線透過率が基準値を下回っていると知りつつスモークフィルムを施工する、など
→LGSではこうしたショップを独自基準で認定しない
1-2:意図せずに保安基準非適合の施工となる
可視光線透過率を保安基準の規定とは異なる規格で測定/測定器自体の校正が正しくされていなかった、など
→LGS認定店はPT500/50で測定する

2 施工後の車検や入庫時に不適法判断される
2-1:ユーザーもしくはショップが適法性を説明することで理解を得られる
貼ってあることを理由に一度は車検不適合、整備での入庫拒否、警察からの警告などを受けたが、その後の説明で無事解消された、など
→LGS認定店が測定結果証明書とともサポート。場合によってはブレインテックがバックアップ。
2-2:適法性を説明しても理解を得られない
ディーラーや整備工場の方針としてフロント3面へのフィルム施工車は入庫できない、など
→現時点ではLGSでも解決が困難

この4ケースにおいて、LGS認定店で施工することで1-1、1-2、2-1の3パターンのトラブル懸念の解消が期待できます。ケース1の施工自体に関してはもとより、ケース2-1のような施工後の車検・整備入庫などに関しても法令に関する情報・論拠を持ち合わせたLGS認定店が専用の可視光線透過率測定結果証明書とともにサポート。実際、この証明書と認定店スタッフによる説明により、一度入庫拒否されたディーラーへの入庫を認められたユーザーもいるそうです。

他方で、現時点ではユーザー側でも留意しておくべきポイントもあります。

1つは、上記ケース2-2のように適法性を訴求しても現実的に入庫拒否されることがあること。ブレインテックはじめメーカーや施工ショップが情報発信や働きかけを進めている最中ではありますが、特に車検などの公的手続きではなく整備入庫といった民間企業のサービスの場合、事業者側で「適法性を判断できない」との理由で入庫できないケースはまだまだあるのが現状で、例えばユーザー側も不安な場合は「ゴースト施工前に整備・車検の依頼先に事前確認すること」がオススメです。

また、フィルムそのものの経年劣化など製品・施工状態の変化に伴い、「施工時はクリアだったが、車検時には保安基準に適合しない」ということが起こりうる可能性もユーザー自身が把握しておきたいところ。あくまで現行法では、車検時の状態(必要であれば可視光線透過率の測定値)が車検可否の判断材料となるため、「合法フィルムとして売られていた」「貼った時に合法と説明を受けた」というような声は車検時には法的根拠のない主張になってしまうことを押さえておきましょう。

ゴーストで一躍有名になったブレインテックですが、フィルム自体を長年扱ってきた宮地代表の想いは冒頭に述べた通り「ゴーストはあくまできっかけに過ぎず、健康面1つとっても有益なカーフィルムの利点を多くの人に享受してほしい」という実直なもの。法律や関わる事業者の理解・運用により複雑な環境下におかれ、諸外国に比べて施工普及率が低いといわれて久しいカーフィルムゆえに、LGS認定店は「カーフィルムを楽しみたい、恩恵を享受したい」というユーザーにとって心強い存在になります。まだまだスタートしたばかりの認定制度ですが、今後認定施工店も増えていくとともに、可視光線透過率測定結果証明書の専用アプリやLGS認定店限定フィルムなどのリリースも予定されており、これからが楽しみなプロショップ認定制度です。

<参考資料
PT-500/50による測定の法的根拠となる
JIS(日本産業規格) JIS R3212 「自動車用安全ガラス試験方法」
道路運送車両の保安基準の細目を定める告【2003.09.26】別添37(窓ガラスの技術基準)

5.9. 可視光線透過率試験 5.9.3.1.2. 直接測定法に基づいた測定が可能です。
5.9.2.に規定する試験装置を用いて、供試体の透過光束と入射光束を測定し、両者の比を百分率で表した値を可視光線透過率とする。
5.9.2. 試験装置
5.9.2.1. 光源 色温度2,856±50°Kに点灯した白熱電球とする。
5.9.2.2. 受光部 JIS Z8701「XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系による色の表示方法」に規定されるXYZ表色系に基づく等色関数y(λ)に対応する感度を有するものを用いる。この場合において光束の断面の大きさは、20×20mm以内に収束したものとし、入射の方向は供試体の面に直角とする。

※国土交通省およびブレインテックホームページ掲載文章より引用
※ブレインテックではLED発光体を使用したタイプなどPT-500/50と異なる測定器も取り扱っているが、上記規格に則って測定できるのはPT-500/50のみになるという

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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