市場開拓しながら急成長続けるPPFの世界的スタンダード「エクスペル」

PPF・ラッピング

近年、スーパーカーとも呼ばれるハイエンドモデルを中心に広がりを見せているペイントプロテクションフィルム(PPF、関連記事:保護?色変え? 目的で選ぶPPF/ラッピング)。世界的なリーディングブランドで、国内でも市場を切り開いてきたのがアメリカ「XPEL(エクスペル)」ブランドです。
高級車オーナーの間ではPPFの代名詞的存在ともなっているエクスペル。一定の普及とともにPPFのメーカー・製品も増えてきている今だからこそ、エクスペルブランドの強みが注目されています。

PPFの代名詞的存在 

主にポリウレタン素材のフィルムをボディ外装に貼り付け、飛び石や生活傷などからボディを保護するPPF。世界でも日本でも、PPF市場においてシェア1位という圧倒的な存在感を放つのがアメリカのエクスペルブランドです。

エクスペルの主力製品「ULTIMATE PLUS(アルティメットプラス)」は無色クリア型で、保護力と透明性を兼備した150μmの膜厚と自己修復機能を有するトップコート層、紫外線遮断、紫外線によるフィルム自体の黄変・退色を抑える耐候性など、PPFに現在求められる機能を備えたPPFのスタンダードともいえるアイテムとなっています。

このほか、グロスボディもマット調にイメージチェンジできる「STEALTH(ステルス)」や、200μmの厚みで保護機能を強化した「アルティメットプラス10」、光沢あるブラックカラーでPPFとラッピング要素を兼ね備えた「アルティメットプラスブラック」など、ボディ用だけでも用途に合わせた幅広い製品をラインナップ。加えて、外装用ではイメージチェンジを図れる観点からも高い人気を誇るヘッドライト用PPF(クリアとスモーク2種類の計3種類)や、外装・内装の両方に使える薄型の「アルティメットプラス7」、カーナビはじめ自動車以外の様々な場面にも活用できる抗菌タイプ「RXプロテクションフィルム」など多彩なPPFを販売しています。

  • 標準的なPPFのクリアタイプ「アルティメットプラス」

エクスペルは米テキサス州アントニオに拠点を構え、その創業は1997年。当時こそいわゆる小規模ベンチャー企業の様相でしたが、2011年に今のPPFのスタンダードともなった「自己修復機能付きPPF」を競合に先駆けて発売。PPF市場そのものを開拓しながら成長を続け、2019年にはナスダック市場に上場を果たしました。上場以降だけを見ても、2021年の通期売上高は2億5926万USドルとわずか2年で約2倍(19年は同1億2993万USドル)に拡大するなど同社およびPPF市場の急成長ぶりは著しく、近年ではポルシェやアストンマーティン、マクラーレンなど一部高級車メーカーでは生産ラインでの施工が採用されるに至っています。

国内では、長らく複数の商社が輸入販売する時代が続いていましたが、2008年から輸入代理店を務めていたエクセルフィルム社(神奈川県相模原市、飛鳥田秀樹代表)が2019年に日本総代理店契約を締結してエクスペルジャパンが誕生。現在も同社が国内プロショップへの製品供給や施工サポートを手掛けています。

  • アメリカの国際的展示会で大々的にブースを構えるエクスペル

品質担保する認定制度とDAP

優れた製品品質もさることながら、メーカーによる施工支援を通じ、どこの施工ショップでも一定の施工品質が担保されていることも、エクスペルが世界的に支持されている要因の1つでしょう。具体的には、技術講習を要件とする「施工店認定制度」と高精度なプレカットデータ「デザインアクセスプログラム(DAP)」がその役割を担っています。

そもそもPPFは、いくらフィルム品質が良くて綺麗でも、適切にボディに貼れなければ見栄えが悪いことはもちろん、想定外の剥離を呼び起こしたりとトラブルの原因にもなります。エクスペルでは、製品を施工するショップに独自の講習を要件とした認定制度を設定。認定ショップは現在日本全国で約170店舗に上り、施工技術からフィルム特性までエクスペルのPPFを適切に施工できる店舗ネットワークを構築しています。

▶︎エクスペル認定施工店

  • 施工設備の整ったエクスペルジャパンで行われるプロ向け講習

この認定制度に加え、施工者の大きな助けになっているのがDAPです。PPFは60インチ(一部72インチもあり)幅のロール状製品のため、ボディ外装に施工するためには形状に合わせてカットする必要がありますが、日本では傷のリスク低減などの理由からボディにPPFを合わせてカッターでカットする手法よりも、施工部位ごとに専用データで事前にカットする手法が主流。PPFメーカーなどがそれぞれ事前カットに使用する独自のプレカットデータシステムを施工者向けに提供しています。

中でも、エクスペル独自のプレカットデータシステム「DAP」が高く評価されているのが、対応車種の多さと精度の高さ。対応車両はグレードや仕様違いも含めると15万車種以上(22年10月現在)で、世界的に希少な限定車も含めて世界規模で日々カットパターンデータが開発・追加されています。またその各データは、エクスペルPPFの伸縮性や接着性に基づき専用設計されており、実際に「正確で使い勝手に優れるDAPがあるからエクスペルを使用している」と評する施工者も少なくありません。DAPは作業を効率化する施工者向けのツールですが、施工技術の差が表れるPPFにおいては、ユーザーにとっても「施工品質の一定の均一化(低品質な施工に当たらないで済む)」という利点があるといえます。

  • 独自のプレカットシステム「DAP」でPPF施工を強力に支援

ちなみにエクスペル施工ショップには、主に本社でプレカットしたPPFを購入・使用している認定店と、プロッターなどフィルムカット用の専用機器とともにDAPを自社で扱えるように契約しているDAP契約店の2タイプがあります。DAP契約店は、設備費やDAP使用料を払いつつも採算を図れるだけの台数を施工しているという点で、認定店の中でも施工実績豊富なショップが多いといえるでしょう。ただ、DAP契約していない認定店もDAPでカットされた精緻なPPFを使用し、施工経験が少ない認定店に関しては本社が技術フォローもしているので、どの認定店でもエクスペル基準の施工品質が担保されています。

コーティングのプロも評価 万全のアフターケア

「ボディを透明なフィルムで保護する」という新世代の愛車ケアPPFですが、サービス上の欠点がないわけでもありません。ボディケアとして定番のコーティングと比べると施工価格が高価で、品質を強みとするエクスペルは中でも高級ブランドに位置付けています。また、“施工後の美観”もカーオーナーによっては気になるポイントで、PPF自体は透明度が高く綺麗ですが、経年による劣化・黄変やフィルムの縁への汚れの蓄積などは少なからず起こり得る症状です。

こうしたPPF特有の課題に対し、エクスペルではコーティングをはじめとした各種ケミカル類も取り揃えています。

  • コーティングの専門施工者からも好評のフュージョンプラス

特にコーティング専門店からも高い評価が挙がっているのが、紫外線や各種汚れからの保護を図れる高硬度のPPF・ボディ用セミラックコーティング「FUSION PLUS(フュージョンプラス)」。実はPPFへのコーティング施工は、シミ・ムラになるリスクから専門ディテイラーでも組み合わせや施工に注意を払う繊細な側面も。PPFブランド発の専用品フュージョンプラスは、フィルムを傷めずに防汚性や疎水性を付加でき、ボディには高機能コーティング剤として施工できます。

ホイールやガラス、樹脂などパーツ毎の専用品もラインナップされており、例えばフロントフル(バンパーやボンネット、フェンダー、ミラー)はPPF、それ以外のボディはフュージョンプラスと分けて施工することで、フルPPFよりも施工価格を抑えつつクルマ全体に光沢や防汚、耐擦性を付与することもできます。このフュージョンプラスはプロ専用品ですが、このほかカーオーナー自身が使える簡易コーティング剤や各種クリーナーなど、PPF施工後の美観を維持するアフターケア製品も幅広くラインナップしています。

PPF製品の品質、施工のサポート、ケア製品のラインナップまで、”トータル力”が業界内でも高く評価されるPPFのリーディングブランドエクスペル。実はフィルムという繊細な素材特性上、PPFでは経年しないと表出しづらい製品トラブルのリスクもありますが、世界的にも高シェアで使用実績豊富なエクスペル製品では、そうした隠れた品質への信頼度が高いのも魅力。PPF検討において予算さえクリアであれば、ファーストチョイスとして認定店に相談してみてはいかがでしょうか。

▶︎エクスペルジャパン公式ホームページ

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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