ここまでリアルで機能的! 進化する“カーボン柄”フィルム

PPF・ラッピング

高性能の代名詞的存在として、クルマ好きを惹きつけ続ける軽量・高強度な高機能素材「カーボン」。そのデザインを再現したフィルムは昔から存在していたものの、デザイン性、機能性ともに日々進化しているのがフィルムの世界。業界プロからも注目を集めている“今のカーボン柄フィルム”をご紹介します。

手軽さが魅力! ラッピングでカーボン 

フィルムでカーボンデザインを再現する場合、昔から定番の手法が塩ビ素材の「ラッピングフィルム」を活用する手法。近年では年々リアリティが増し、特にラッピング施工のプロが販売するフィルムへの人気が高まっています。

神奈川県の専門店ジーマイスターが販売する「リアルグロスカーボン/リアルマットカーボン」は、その名の通りリアルさが売りの逸品。フィルム地にカーボン柄を出力した製品ながら、斜めに走る綾織カーボンのデザイン特性を見事に再現。グロス・マットともに大柄と小柄の2種で、パーツや施工面積に応じて選択できます。どうしてもラッピングフィルムのカーボンデザインというと、フィルムの質感が”本物じゃない感”を漂わせてしまうものですが、印刷業・ラッピング業代表とD1ドライバーの顔を合わせ持つ山口代表が「”実際のカーボンに似ている”ではなく、“カーボンっぽく見える”デザイン」を追求。名前負けしないリアリティなデザイン品質は、コストや納期の早さといった使い勝手の良さもあり、ラッピングのプロから高く評価されています。
ベースのフィルムもエイブリィ・デニソンという米国大手メーカーのインクジェットメディアを使用しており、耐久性などの点からも良質な製品となっています。

  • 絶妙なバランス感の模様目と光沢がリアリティを演出するグロスカーボン

同じくラッピングのプロが開発製造したフィルムとしては、福島のラッピング専門店ラプラスが製造販売する「LD(ラプラスデザイン)カーボン調ラッピングシート」も。こちらは通常の綾織タイプのカーボン柄「LDカーボングロス」のほか「LDカーボンメタリック」もラインナップ。いわゆるシルバーカーボン(アルミを蒸着させたガラス繊維で厳密にはカーボンではありません…)を彷彿とさせるデザインは、特にブラックや濃紺車などでは目を引くアクセントとして愛車の外観イメージを一新してくれます。
こちらもフィルムのベースは大手スリーエムのコントロールタックというフィルムで、施工性や品質の安定度も抜群(LDカーボングロスはエイブリィ・デニソンのフィルムがベース)です。

  • シルバーメタリックをベースとしたLDカーボンメタリック

また、ラッピング資機材の販売も手掛ける岐阜県の専門店デザインラボでは、アメリカの新興フィルムメーカー「TECHWRAP(テックラップ)」のフィルムを販売。専門メーカーなため色とりどりの自動車用ラッピングフィルムを取り揃えており、カーボン柄だけでも様々なフィルムがラインナップされていますが、中でも人気なのが「セラミックカーボン」という名称のフィルム。前述の2製品と同様の綾織デザインですが、比較すると模様目が小さいのが特徴。織り目模様に細かく織り目の向きもデザインされており、織り目が際立って見えるアラミド(ケブラー)繊維を織り込んだカーボンのような印象で、少し引いて見た際には印刷物とは思えない立体感を演出してくれます。

  • 新興フィルムブランド「テックラップ」のRCF03セラミックカーボン

カーボン柄フィルムは車両1台まるごとのフル施工よりも、ボンネットや前後スポイラー、ルーフ、ドアミラーなどワンポイント的に部分施工するケースが多いアイテム。一般ユーザーでも製品購入が可能で、小さい面積や平面の単純な形状ならDIYでもチャレンジしやすいでしょう。ただ、例えばドアミラーなどは面積が小さいものの曲面が多く、フィルム粘着層に空気抜けが設けられているとはいえキレイにシワなく貼るのは技術・経験を要するので、手先に自信がないユーザーは最初からプロショップに依頼した方が安く済むかもしれません。

ボディの保護機能が魅力 PPFでカーボン

”フィルムでカーボン化”の定番手法といえるラッピングですが、近年ではペイントプロテクションフィルム(PPF)でもカーボンデザインが登場しています。ラッピングと異なるのが素材で、PPFは塩化ビニルではなくポリウレタンが主素材。ラッピングが「少しボディ保護にもなるカラーチェンジ用フィルム」なのに対し、PPFは「カラーチェンジもできるボディ保護用フィルム」というイメージです。

ラッピングと同じドライ貼りのPPFで、昨年登場したばかりの新製品がアメリカのPPFメーカーFlexiShield(フレックスシールド)の「コスメティックPPF」です。目が細かい綾織型で、保護機能を担う弾性に富むポリウレタン層が光沢感を演出し、その見た目はクリア塗装されたカーボンパーツさながら。国内ではこれから販売が本格化していく予定で、業界内でも関心が高まっているアイテムです。

  • 保護能力とデザイン性を兼備するコスメティックPPF

また、デザインPPFの先駆け的存在が米STEK(エステック)社の製品です。オーソドックスな綾織パターン2種類「ダイノブラックカーボン」はPPFを施工したいけどカーボンデザインが欲しいというニーズに応えるアイテムとして人気に。そして、近年スーパーカーを中心に採用が広がりつつある先端素材「フォージドカーボン」を模したデザインもラインナップに加わりました。こちらはPPFの主流であるウェット施工するタイプで、全国各地の認定施工店で施工することができます。

  • カーボン素材でも最先端の鍛造カーボンを再現

PPFは保護機能がメインで、前述の2製品はいずれも微細な傷を自己修復する機能も併せ持っているため、飛び石が気にあるフロントスポイラーやボンネット、ドアミラーなどへの施工がオススメ。このほか汚れや紫外線などへの耐性にも優れるため、実際にカーボン素材の採用例が多いボンネットやルーフなどボディ上面へ施工した際も、見た目だけでなくしっかりとボディ保護として機能してくれます。

ラッピングに比べて保護や耐久性など機能面に優れるPPF。ただ、無色クリアが主流のPPFでカーボンデザインの製品がまだ少ないことや、フィルム原価が高価で基本的にプロショップでの施工となるため施工費用が高いこと、また業界的にも出始めの製品で取り扱いショップが少ない点は、ラッピングと比較した際のネックとなってしまいます。

気軽に楽しめるラッピングかボディ保護できるPPFか、DIYかプロショップにお願いするか、施工するならどのパーツにどのデザインを貼るか…。進化したフィルムとともに“愛車のカーボン化”を楽しんでみてください。

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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