『日本一目指す』次代のコーティング専門店「kirameki」兵庫県尼崎市

ショップ探訪記/kirameki
ショップ探訪記

技術・製品へのこだわり、クルマ・モノへの愛、カーオーナーへの想い…。お店選びの参考に、はたまたディテイリングの奥深い世界に触れるだけでも、全国津々浦々、多彩なショップを覗いてみてはいかがでしょうか。

ボディコーティングにとことん特化

日本全体の人口構成でもあらゆる産業の労働現場でも叫ばれて久しい高齢化。ディテイリングショップの世界も例に漏れず、公式な統計データこそないものの、フランチャイズ方式が隆盛した1990年代近辺に独立・創業した50歳以上よりも上の世代が今なお現役を継続し、ショップ運営者のボリュームゾーンとなっているように見受けられます。
一方で、着実に頭角を表しつつある若い世代のディテイラーも。37歳の北山友幸氏が代表を務める兵庫県尼崎市のコーティング専門店「kirameki(キラメキ)」は、まさにそうしたショップの1つでしょう。そしてその世代だからこそ、見据えている次なる事業展望もあるようです。

同社が現在、メインサービスとして自信を持って提供しているのがボディコーティングです。若いながらも15年以上におよぶキャリア経験を持ち、自身でショップを開業してからも10年を迎えた北山代表。同氏のほか、同氏よりも施工歴が長い熟練スタッフ2人とともに、多い月で60台程に上る車両を磨き上げています。

コーティング専門店を選ぶ際、値段もさることながら、マニアックなカーオーナー程つい気になりがちなのが「どんなコーティング剤を使っているか」や「磨きの腕」。もちろんそれも大切な要素ですが、本質的には「愛車の綺麗を保つのにどれだけ役立つか」というところ。自身もクルマや洗車が好きでディテイラーの道に入った北山代表は、液剤の性能や自身の腕を主体に売り出すのではなく、この「愛車を綺麗にしたいというクルマ好きの想い」に応えるためのコーティングサービスを提供しています。もちろん、ディテイリングの定番カーフィルムやボディ保護アイテムとして広がるペイントプロテクションフィルム(PPF)も請け負っているものの、「コーティング専門店」を看板に掲げるのもこうした想いから。
実際にその北山代表の想いが込められた同社のコーティングサービスは、決して価格的には安くはないものの、「大手や量販店の品質では満足できない層」に支持されており、県内を中心とした関西圏のクルマ好きや、高級輸入車を取り扱う新車・中古車ディーラーなどから絶えずコーティング施工依頼が舞い込んでいます。

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    洗浄・磨き・塗布・乾燥とボディコーティングに特化したショップ設備
  • コーティング:G-techniq(ジーテクニック)/KUBEBOND(クベボンド)/GT-Cコーティング/ハイパーガラスコーティング/自社オリジナル…など
  • その他:カーフィルム/シートコーティング・リペア/ペイントプロテクションフィルム(PPF)/鈑金塗装…など各種施工/積載車あり/代車あり

チェーン店ではなく…専門店ならではの設備・技術

そのこだわりの品質は、同社の随所から窺い知れます。
一般的にコーティングのサービス品質は、施工技術、設備環境、顧客接遇の要素で大きく左右されますが、中でも客観的に分かりやすいのが設備環境。施工ファクトリー内には現在、保管・洗車スペースを除き、それぞれ磨きとコーティング塗布・乾燥に特化した2台分の専用施工ブースを設置。床には、水捌けがよく埃の飛散を抑えるメッシュパネルを敷設しています。

磨き用ブースは、映り込みや光の反射を抑えるマットブラックの内装で、色温度の異なる複数の可動式照明も完備。傷の入り具合やシミの付着状況など、塗装面を的確に見極めるためのブース環境を築いています。その隣の白基調の明るいブースは、2020年に赤外線ヒーターを設置したばかりの特注の乾燥ブース。一般的にコーティングは、塗布後に塗装面への定着を図るために乾燥時間を設ける必要がありますが、その乾燥工程において、被膜の塗膜面への定着を促進することでの仕上がり品質向上はもちろん、乾燥時間が短縮化することでより多くの台数(=カーオーナー)にコーティング施工できる体制を整えました。ちなみにこの焼き付け乾燥専用ブース、鈑金塗装ショップでは珍しくありませんが、コーティングショップで設置しているところは極めて稀。乾燥ブース自体がコーティング施工の品質にどの程度寄与するかは様々な見方があるところではありませんが、このプロショップでも稀有な設備投資の姿勢1つとっても、同社のコーティング施工サービスに対する企業姿勢を窺い知ることができます。

加えて施工するコーティング剤も、英国ブランドのジーテクニックや国産ブランドのクベボンド、GT-C、ハイパーガラスコーティングなど多彩なプロ用製品をラインナップ。業界内での流行りや評判などよりも、北山代表自身で多岐にわたるプロ用製品を吟味し、使用感・評価を重視して厳選しています。

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    こだわりの強いカーオーナーから高級ディーラーまで輸入車を中心に施工を手掛けるボディコーティング
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    ブランド力や知名度などではなく、北山代表自身の使用感を持って厳選されたコート剤。

この充実の設備環境を存分に発揮するのが、北山代表を含めた3人のディテイラーの技術です。元々北山代表は、業界内で高い知名度を誇っていた大阪の大手コーティングショップで施工技術を修得。2人の現スタッフもその時の先輩ディテイラーで、最も業界歴の浅い北山代表でも10年以上、最もベテランのスタッフは25年以上の施工キャリアを有します。キャリア歴だけでなく、一般カーオーナー車両への施工からディーラー・中古車販売店などへの出張施工、大手フランチャイズ店での施工と、多岐にわたる品質レベルの施工キャリアを持ち合わせているのも大きな特徴。単純に技術・設備の品質水準が高いだけでなく、高い品質を提供できる環境だからこそ、顧客の要望に合わせた松竹梅を柔軟に提供できるのが同社の魅力の1つといえるのではないでしょうか。

実際、一般カーオーナーだけに限っても、予算をはじめ、撥水性や光沢感、スベスベ感や防汚性などの何を重視するか、施工後はどのような保管環境や定期ケアを予定していて、何年間乗り続ける予定か、といった状況・要望に応じて最適解が異なるのがボディコーティング。北山代表が担当する接客では、そうした要望を形にするためのコミュニケーションを大切にしており、中には顧客から前述のコーティングブランドを指名した施工依頼があっても、ヒアリングした結果として指名ブランドよりも安価なコーティングメニューを提案することもあるそうです。
「クルマを速くするとか修理するといった実質的な機能ではなく、“クルマをキレイにするという満足感”をどれだけ提供できるか、というのがこの仕事で面白いと感じているところ。よくお客様から『ディーラーやガソリンスタンドなどと何が違う』と聞かれることもあるが、『寿司屋さんと回転寿司チェーン店、3つ星レストランとファミレスチェーンを比べるようなもの』と回答している。どっちが良い悪いというのではなく、それぞれに価値がある中で、弊社は『クルマ好きが集まるコーティング専門店』でありたいと考えている」と企業コンセプトを語る北山代表。店舗内に飾られたスポーツカーや高級車などのイラスト(施工顧客へのプレゼント品)が、実際に同社の顧客が愛車への想いが人一倍強いカーオーナーが多いであろうことを物語っています。

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    施工客から好評という独自サービスの「施工車両の写真プレゼント」

クルマ好きの“満足”をひたすら追求

28歳の若さで立ち上げたコーティング専門店が10周年を迎えたkirameki。クルマ好きカーオーナーや高級輸入車ディーラーといった安定した顧客基盤も築き、順風満帆に見えますが、北山代表は浮き足立つことなく冷静かつ誠実に展望を見据えます。

「幼少期に父親のクルマを一緒に洗車した経験が洗車好きになった要因かもしれないが、ディテイラーを目指す直接のきっかけは、地元北九州で暮らしていた際に自分のクルマに塗装ミストが付着してしまった時。初めて『コーティング専門店』というのを知ったと同時に、ディーラーなどでも断られたミスト除去をきっちり綺麗に仕上げてくれて、自分もやりたいと思い上阪した」と語る自身のルーツ。それと同時に、いわゆる一人親方で営むこともできるディテイリング業のスモールビジネスとしての側面にも言及。「企業勤めなどが苦手で1人で働きたい、というのを実現できるのもこの仕事の魅力の1つ。大阪のショップでの修行を終えた後、地元に帰って1人こじんまりとショップ経営しながら暮らすというのも考えた」といいます。

ただ、修行時代の同僚や顧客に呼び止められ、支えられる形で今の「kirameki」を創業。苦悩しつつも自社ショップが10周年を迎えた中で、心境の変化も出てきたそうです。
「コーティングというサービスや業界が現在、カーオーナー様から全面的に信頼されうるものかどうか、身を置く1人だからこそ懐疑的に思う部分もある。大手がダメ、他店がダメというのではなく、カーオーナー様それぞれにマッチしたサービスがある中で、誇大な広告、過剰な期待が“満足されないコーティング”を生み出している実情があるのではないか」と現状に対する心情を吐露。この記事冒頭に若い世代のディテイラーと書きましたが、単純に若いゆえのモノ知らずでは決してなく、業界有数の専門店で修行を積み、業界慣習をも知る北山代表だからこそ、業界・仕事に対して抱く想いがあるようです。

その上で、「自社で施工してくれたお客様だけでなく、コーティングという技術サービス自体の魅力をより多くのカーオーナー様に知ってもらうために、もう少し仲間と組織として頑張ってみようかなと」と前を見据える北山代表。「クルマ好き同士が互いの愛車を見た際に、『どこでコーティングしたの?』『kiramekiってショップだよ』と言われるように、専門店として1番を目指して技術・サービス向上に精進したい。同時に、より多くの人にコーティングの魅力を過不足なく知ってもらいたい」として、自社の次のステップの準備を進めています。

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    28歳でショップを立ち上げた北山代表。朗らかな人当たりながら、業界を10年生き抜き今後も見据える眼差しは鋭い

足元では、コーティングのことをより深く認知してもらうべく自社HPの大幅リニューアルを準備中。加えて同社のノウハウが注がれた自社オリジナルカーケア用品「78(ナナハチ)」の販売も近々予定しています。78は自社での施工顧客のみならずオンラインでも販売予定とのことで、技術・実績を持つ若きディテイラーがこれから業界にどのようなインパクトを放つのか、兵庫県周辺オーナーのみならずクルマ好きだったら注目しておいて損はなさそうです。

ショップ名kirameki (キラメキ)
住所
アクセス
〒660-0085 兵庫県尼崎市元浜町2-22-2
阪神高速3号尼崎西IC(大阪方面)より約1km/尼崎東IC(神戸方面)より約4km
阪神本線・武庫川駅より徒歩約10分
電話番号06-6430-7732
営業時間10:00〜19:00
定休日火曜日
ウェブサイトhttps://kirameki.ne.jp

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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