見えない品質を1つ1つ磨き上げる…若き代表が引っ張るファミリー企業「CDO」…沖縄県南城市

ショップ探訪記

技術・製品へのこだわり、クルマ・モノへの愛、カーオーナーへの想い…。お店選びの参考に、はたまたディテイリングの奥深い世界に触れるだけでも、全国津々浦々、多彩なショップを覗いてみてはいかがでしょうか。

温暖でキレイな海が広がる沖縄。過ごしやすいリゾート地ですが、実は多湿で強烈な紫外線が降り注ぐなど、クルマやその美観にとっては厳しい環境でもあります。

特に紫外線は、塗装・樹脂・ポリカーボネート・ラッピングフィルムなどあらゆるクルマの外装に劣化をおよぼす強力な外的要因。年間を通じ、UVインデックス(紫外線の強さの指標)が関東・つくば市の約1.5倍(※気象庁、2017年・月平均値より)にも上り、沖縄の日常は褪色や黄変といった美観を損なうリスクがより高い環境に置かれています。

だからこそ求められるのが、過酷な環境に抗う確かなディテイリングサービス。本島南部で那覇市からも近い南城市の施工ショップ「カーディテイリングオキナワ(CDO、比嘉力也代表)」は、美観に強くこだわるハイエンド層を中心に、高品質で機能的なディテイリングサービスを提供。専門の設備・技術を強みに安心と高い満足度を届けています。

  • ハニカム型LEDが備わる施工スペース

湿度、紫外線、潮風…過酷環境こそ求められる美観保護術

CDOの看板メニューがボディコーティングです。純水器や空調、照明、ゴミや湿気を遮断するシャッターが備わったコーティング専用ブース。塗布するコーティング剤も、比嘉代表が「従来品と比べた実感として、施工後のシミの付きにくさや塗装の色褪せを防ぐ効果がワンランク違う」と厳選したアメリカのセラミックコーティング。これだけを見ても専門店としての高いこだわりが感じられるところ。
加えて施工面でも、コーティング技能検定2級・1級を保有する施工者が新車でも中古車でもきっちりと研磨。この資格は、研磨の仕上がりを測色計を用いた独自プロセスで評価するコーティング協会が研磨技能を独自に認定する制度で、コーティング施工の重要な工程である研磨の品質が、客観的な数値的に一定以上のレベルであることを示します。

また施工後のアフターフォローも、「塩害や雨の多さ、一年に1回では厳しい」(比嘉代表)と丁寧に半年に1回の施工後メンテナンスを案内。設備から資材、施工、アフターまで一貫したこだわりの品質は顧客に確かに支持され、高いリピート率やメンテナンス実施率に繋がっています。

さらにコーティング以外でも、劣化し黄変・白濁が生じたヘッドライトを復元するヘッドライトリファイン、紫外線劣化や飛び石から保護するプロテクションフィルム(特にヘッドライトへの施工)、窓からの紫外線や熱の流入を防ぐカーフィルム、その他、下回りの防錆塗装など、沖縄の地だからこそより効果を発揮する施工メニューが勢揃い。

実際、顧客の中にはコーティングを軸に他のメニューをセット施工するケースが多く、メインのコーティングは1台平均15万円〜、車両サイズやオプションも含めると40万円を超えることも珍しくないそうです。
全国的に所得水準が低く、海に囲まれているため県外からの依頼客も見込みにくい環境下で高級路線を打ち出す同社。それでも、近年は県外からの移住者も増加傾向(2023年度(10月〜24年9月)は36,119人)にあり、経営者層をはじめとした地域住民、富裕層も含めた移住者など、価格よりも品質にこだわるカーオーナーたちから信頼され愛車を預けられています。

  • 高品質ディテイリングを追求して辿り着いたセラミックコーティング
  • 国産の上位モデルや輸入車など高級車の入庫が多い

同業に教えを乞い、海外で闘うまで磨き上げた品

高品質・高級ディテイリングが支持されるCDO。ですが、実は同社のルーツは、比嘉代表の父親が始めた中古車の納車前仕上げで、現サービスに至るまでは比嘉代表の挑戦の積み重ねがあったといいます。

元々部品商や中古車販売店に従事し、ハコスカやレビンを乗り回すなどクルマ好きだった父親は2000年に独立、創業。以降20年以上にわたり、中古車の内外装仕上げを手掛け、息子の比嘉力也現代表も2010年の入社以降、父親が築いた仕事にともに取り組んでいました。

その中で1つの転機となったのが、20代後半に差し掛かった比嘉代表が目にした同業者のSNS投稿。広島県で一般カーオーナー・高級車をメインにディテイリング業を手掛ける「しゃかりき」の投稿を目にし、「自分もスーパーカーや高級車に触りたい」という純粋な情念や、顔の見える一般顧客を相手に商売をしたいという想い、「20代後半で何か変わらないと…」いう危機感から、事業の舵を切る決断に踏み切りました。

当時を振り返る比嘉代表は、「すでに7年程納車前仕上げの仕事をしていたが、正直“研磨で微細傷を消せる”ことすら知らなかった。単純に良い悪いではなく、早く多くの台数を仕上げることを最優先するのか、一定の時間をかけても品質を追うのか、中古車の納車前仕上げと一般顧客を対象としたディテイリング作業では求めるゴールが違い、品質の面だけでいえばそのまま一般顧客に提供できる水準ではなかった」と仕事の質の違いを説明します。

  • 同業に師事しゼロから磨き直した研磨の技術

そんな技術やノウハウを持っていなかった比嘉代表が新たな道の最初の1歩として選んだのが、しゃかりき丹下代表への武者修行。すでに美装業のプロであった立場ながら、同業者の元に出向き教えを乞うことを選んだのです。
研磨の技術面をはじめ、コンパウンド剤やコート剤、果ては店舗運営や集客などディテイリング専門店の運営に関わるあらゆることを一から学び直し。並行して、仕事終わりに身内や知人のクルマを預かって実践経験も積み重ね、2016年に父親の会社を離れて独立。個人向けに高品質なディテイリングサービスを提供する現事業を創業しました。

「それまでは仕事に対して作業感を強く感じていた。それも仕事として割り切るのであれば全然悪いことではないが、丹下代表の元での修行をきっかけにディテイリングの奥の深さを肌で感じ、またディテイリングを好きになった」と自身での創業経緯を振り返ります。

そして、比嘉代表のディテイリング探求の集大成ともいえる活動の1つが、25年9月にドイツ・シュトゥットガルトで開催された「第9回ドイツ研磨選手権」への出場です。ドイツのディテイリング協会(BFA)が開催する研磨の技能を競う大会で、競技は約30cm角にマスキングされたペーパー目を制限時間内に研磨し、仕上がりを光沢計で測られる一発勝負。結果は36人中16位に終わりましたが、日本ではこうした技能競技会がなくそれぞれの施工者が「随一の腕」を謳う中で、遠い海外のはっきりと順位付けされる場にわざわざ出向き挑戦する姿勢に、比嘉代表の技術・品質追求へのストイックさが表れています。

  • 比嘉力也代表

ちなみに現在、第二の看板メニューに成長しつつあるカーフィルムやペイントプロテクションフィルム(PPF)といったフィルム関連事業は、20年に比嘉代表が勧誘した弟が担当。紫外線対策としても有効なフィルム施工は、全く違う業種に就いていた弟の協力もあってコーティングを補強する施工サービスに。24年には、父親の会社と統合する形で現在の「株式会社CDO」を設立しました。

実は現在の9人のスタッフのうち7人が親族など近しい関係者。日々の施工業務はもとより、サービスや事業拡張などの舵取りも相談しやすい体制で運営できているのが比嘉代表の支えになっているそうで、「親父の会社をでかくしたいというのがモチベーションの原点かもしれない。沖縄で1番のディテイリングショップを目指したい」と自社の展望を力強く語ります。

目印がない世界で積み上げる指標

業種自体が定義付けされていないディテイリング業では、自動車整備士のような国家資格やミシュランガイドのような実績ある指標といった、“サービス品質を一目で推しはかれる目印”がありません。
一方で、明確な基準がない世界ゆえに、完全独学でもプロを謳える実態も…。元々小資本で起業でき、特にSNSなどで費用を抑えて宣伝もできる昨今では、「プロ品質のプロモーションで素人レベルのサービス品質」というのも残念ながら起こり得てしまいます。

だからこそ、カーオーナーが施工ショップを選ぶ際に参考になるのが、判断材料になりうる1つ1つの情報・実績の積み上げです。
CDOの施工者が保有するコーティング検定資格や、比嘉代表の世界大会への挑戦、コーティング施工専用に整えられた充実の設備環境は、まさにその代表的なもの。
また、先端のペイントプロテクションフィルム(PPF)も含め、サービスメニューが充実していることも嬉しいポイント。さらには下回り防錆や軽補修も自社で手掛けるほか、本格的な鈑金塗装(修理)は地場の提携工場と連携しており、引取・納車にも自社保有の積載車で対応。コーティングに限らず、こうした美観の復元・維持を助けるサービスをワンストップで手掛けているのは、カーオーナー側とってプラスの積算要素の1つになります。

起業や比嘉代表自身のキャリアこそ若いものの、その若さゆえのバイタリティーでノウハウ・経験を着実に積み重ねるCDO。ディテイリングサービスは元々その品質が目に見えにくく、今日では情報が溢れるがゆえに店選びが難しくなる側面も。その中で比嘉代表とファミリーが積み上げたような“実績の積算”は、顧客側の期待を裏切らない店選びの判断材料になりうるのではないでしょうか。

  • 施工技能の見える化の一助となる検定修了証
ショップ名カーディテイリングオキナワ
住所
アクセス
〒901-1207 沖縄県南城市大里古堅1260-4
那覇空港自動車道・南風原北ICより約2km
小田急・本厚木駅からバスで約40分
電話番号098-963-6699
営業時間9:00~18:00
定休日第一土曜・日曜
ウェブサイトhttps://www.cardetailing.okinawa/

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

プロフィール

関連記事一覧