業界プロが推すプロテクションフィルム専門店の先駆け「Pファクトリー」…神奈川県愛甲郡

P-Factory
ショップ探訪記

技術・製品へのこだわり、クルマ・モノへの愛、カーオーナーへの想い…。お店選びの参考に、はたまたディテイリングの奥深い世界に触れるだけでも、全国津々浦々、多彩なショップを覗いてみてはいかがでしょうか。

「愛車をキレイにする専門店」というと、専業店にしてもガソリンスタンドやカー用品店などの兼業サービス店にしても、カーコーティングをイメージする人が多いのではないでしょうか。

最近では高級車を中心にペイントプロテクションフィルム(PPF)も広まり、特にポルシェやフェラーリといった高級車では新車購入の定番オプション化しつつあります。とはいえそれもここ数年の話で、その対象も一部の富裕層。地域差などもあるものの、多くのカーオーナーにとってはまだまだ「プロテクションフィルムは身近とは言いにくい」のが2024年現在のカーケアの実情ではないでしょうか。

そのPPF市場が今以上にニッチだった2015年(店舗オープンは2017年)、「プロテクションフィルム施工専門店」を掲げる「P-Factory(Pファクトリー/神奈川県愛甲郡、井上徳広代表)」は創業しました。店名にもその意を冠するこちら。今でこそPPF施工専門店を目にすることもありますが、それでもコーティングショップなどが副サービスとして手掛けるのが大半。「フリーランスの施工者としてPPFを施工する職人はいたが、施工専門店は見聞きしたことなかった。フィルムのメーカー・販売店の施工部門などを除き、一般に間口を開いた施工専門店は恐らく国内で初めてだったのでは」(井上代表)と創業当時を振り返ります。

そして、PPF専門店の先駆け的な同社は、ただ開業が早かっただけでなく、その施工品質の高さも業界指折り。むしろ開業から年月が経ち、PPFが徐々に普及し始めた今だからこそ注目を集める部分も。スーパーカーオーナーやポルシェなどの高級車ディーラーをはじめ、ディテイリングショップからも施工を依頼されていて、近年ではその技術を求めて教えを請う同業施工者も増加。創業から10年、こだわりが強いカーオーナー、同業プロと玄人にほど高く評価される「知る人ぞ知る名店」となっています。

  • 21年に増設したリフトを備える第2ファクトリー
  • ペイントプロテクションフィルム(PPF):FlexiShield/LEGEND/3M…など
  • ウインドウプロテクションフィルム(WPF):ARMORTEK…など
  • ラッピング:3M/HEXIS/Orafol…など
  • コーティング:GTECHNIQ…など
  • その他:ボディコーティング、カーフィルムなど各種施工/積載車あり/代車あり

そもそもPPFをキレイに貼るのは難しい!!

ペイントプロテクションフィルム(PPF)は、特殊ポリウレタン(TPU)を基材とするフィルムを貼り付けてボディを飛び石などによるキズから守る施工サービスです。カーケアの主流であるコーティングでは防げないキズを防ぎ、多くのフィルムでは洗車などで生じる微細キズを復元する自己修復機能付き。また近年は、飛び石キズだけでなく、紫外線による劣化(黄変・白濁)を防ぐ目的でヘッドライトへの貼り付けも人気を高めています。

機能的に優れるPPFですが、コーティングなど他のカーケアに比べると施工価格はとても高価。そして、せっかく高いお金をかけるなら「キレイに貼ってもらいたい」「失敗したくない」と思うのは当然ですが、手作業のためどうしても施工者・ショップによって仕上がりに差があります。その施工品質の良し悪しを一目で判断できる材料が乏しいのもお店選びの難しいところです。

そもそもPPF施工は、プロでも施工が難しく、貼れる人も多くありません。イメージしやすいのがスマホの液晶保護フィルムで、平面で小さい画面でも位置や角度のズレ、空気や埃などの混入を防いでキレイに貼るのはとても難しいもの。それを複雑で大きなクルマのボディにすることを考えると、キレイに貼るコトがいかに困難かは想像に難くありません。

  • 主なキレイさを損なう要素
  • フィルム自体の表面のキレイさ
  • 施工時
    ゴミなどの異物の混入/フィルム・接着層へのダメージ(糊ズレなど)/フィルムカットの処理/貼付面(ボディやライトなど)へのキズ混入
  • 施工後
    剥離、めくれ/フィルム表面や縁への汚れの蓄積 …などなど

特に、キレイな貼り方として分かりやすいのがパネルの端でフィルムを巻き込むかどうか。巻き込むことでフィルムが貼ってあることが見えづらくなり、また縁に溜まる汚れも回避できます。しかし、パーツよりも少し大きく調整したフィルムをキレイに巻き込むことは技術的に難しく、またフィルムの弾性に粘着力が負けて剥がれてくるリスクも高まってしまいます。

Pファクトリーでは長年の施工実績を通じ、これら汚損リスクを最大限に抑えつつ、可能な限り巻き込んでキレイに仕上げる自社独自のノウハウを確立。柔軟性・粘着性を踏まえてフィルムにかかるストレスを抑えて貼ることで、剥離(剥がれ)のリスクも防いでいます。

  • PPFの汚損例:フィルム縁の処理(継ぎ目のガタつき)
  • 可能な限り縁をはみ出させて巻き込む同社の施工

また、これらは単純に貼り方(技術)だけで解消できるモノでもありません。
同社では、不純物の混入を防ぐために屋外と区切った専用ブースを設置し、施工時は大型の純水器を通した水を使用。加えてフィルムの柔軟性を適切に保つ空調や、高級車も多い預かり車両を保全するセキュリティなど充実した設備環境を整えています。

井上代表はこの自社の技術・設備に基づく施工品質について、「どの世界でも通じる部分があると思うが、結局『数をこなさなければ見えないモノ・できないコト』がある。フィルムを貼るのも、長い時間触っているからこそ分かる素材特性や発見した貼り方があり、必要な道具・設備も見えてくる。そこはプロテクションフィルムを専門に扱ってきたショップならではの強み」と自信を示します。

  • 屋外とはしっかり仕切られた施工ブース。防犯対策も徹底

基準ない世界で証明されつつある品質

繰り返しになりますが、プロテクションフィルム(PPF)の「仕上がりのキレイさ」は数値や基準などで目に見えるものではなく、こだわりを持つPファクトリーでもそれは同様です。ですが、ここにきてその品質レベルの高さを裏付けるような実績も出てきています。

その1つがPPFの施工技能を競うプロの大会での成績です。ラッピングやPPFの市場発展に取り組む業界団体「日本カーラッピング協会」は2022年、国内で初めてPPFの施工技能を競う「全日本ペイントプロテクション選手権」を開催。その第1回で同社の施工スタッフ井上睦基氏が見事優勝を飾りました。23年の第2回、24年の第3回では惜しくも準優勝となりましたが、それでも全国の専門プロが集まる大会で安定して好成績を残しているのは高い技術力の証。また第3回では睦基氏のみならず同社の松下祐也氏も3位に輝き、大会で同社スタッフの施工方法を見て学んだ・盗んだという同業プロもいます。

  • 施工技術・品質の1つの表れでもある技能大会での安定した成績

これに加え、昨今は実際にカーオーナーの声としてもその品質への評価は高まりつつあります。PPF施工を手掛けるショップが増えてきたこともあり、「他所で貼ってもらったけど仕上がりに納得のいかずPファクトリーに持ち込みし直した」「2台目の愛車を貼ってもらったが、1台目もPファクトリーで貼ればよかった」などという声も届いているそうです。
(同社HPの参考事例:【事例紹介】メルセデスベンツG400D プロテクションフィルム施工(他社施工貼り直し) |P-Factory

ちなみに井上代表は、施工だけでなくフィルムに関しても自身の細かく厳しい目で選んだ材料を使用。特に重点を置いているのが貼った時のキレイさで、「一見同じように見える無色透明のフィルムですが、メーカー・製品によって微妙に滑らかさ・透明度が違い、昔からこのフィルムの目につく肌目が気になっていた。自分自身が納得してお客様に『キレイに貼りました』と言えるフィルムを探した」として、現在は「FlexiShield(フレックスシールド)」と「Legend(レジェンド)」という2つのアメリカメーカーの製品をメインに使用しています。

特にグロス(透明艶あり)がキレイというフレックスシールドに、72インチの幅広サイズ(一部車種のボンネットやバンパーも継ぎ目なしで貼れる)があったりマット(透明艶消し)の質感に優れるというレジェンド。実はどちらも元々日本では販売されておらず、井上代表が総輸入元として直接契約。「フィルムを施工者に対して輸入販売することで収益を上げるビジネスもあるが、弊社は『キレイなPPF施工を実現するために使いたいから』探しただけで、輸入販売をしたかったわけでない」と語る姿は、ショップ代表でありながら現場の職人そのものです。

  • 井上代表が昔から気になっていたというフィルムの肌目

自社だけでなく全国のプロショップを通じて…

井上代表は現在、自社(Pファクトリー)での施工サービスにとどまらず、様々な活動を通じてプロテクションフィルム(PPF)の普及に尽力しています。

代表的な取り組みが、事業者を対象にした技術講習。PPFやカラーPPF、ウインドウプロテクションフィルム(WPF)それぞれで独自の技術トレーニングをマンツーマン形式で実施。受講者の技術レベル・要望に合わせて施工のノウハウを指南しています。また井上代表はその高い技術・指導力を買われ、自社での講習のみならず大手メーカー・スリーエム(3M)の技術トレーナーも務めています。

これら講習の受講者は、全くの異業種を含めたPPF事業の未経験者から、すでにPPFサービスを手掛ける同業プロまでさまざま。中には、PPFの競技会で上位に入る腕前の施工者がさらなるスキルアップを求めて受講するケースもあり、PPFに携わるプロの間では「いろいろな講習があるが、実践的なノウハウを求めるなら井上さんに教えを請うのが近道」と信頼を寄せられています。

さらに、日本カーラッピング協会の理事も務める井上代表。長年WPF部会長(兼副会長)を務めてきましたが、24年6月に新たに発足したカラーPPF部会長に就任しました。カラーPPFはラッピングフィルム(色変え)とプロテクションフィルム(保護)の両方の特性を兼ね備えるフィルムで、ここ数年で急速に開発競争が激化。ボディ用フィルムの新たな魅力を持った新素材として製品・施工サービスが徐々に広がり始める中、フィルムメーカーに縛られず、プロ施工者として適切な貼り方・扱い方を追求、啓蒙しています。

  • 塗装面の保護とカラーチェンジを一度に両立するカラーPPF

「もちろん、自社の技術を他のプロ(ライバル店)に提供することに一企業として葛藤がないわけではない。ただ、弊社で全てのPPF施工需要に応えられるわけではない。より良い貼り方・仕上がりが広まることで、PPF自体がもっと広がれば、PPFを楽しむカーオーナーがもっと増えればという想いです」と、自社の枠を超えて市場の拡大に挑む井上代表。Pファクトリーに直接愛車を持ち込めるエリアのカーオーナーはもちろん、その技術を講習などで受け継ぐ各地のプロショップでも、そのこだわり品質は味わえるかもしれません。

  • ショップ代表でありながらひたすらに職人魂を感じさせる井上代表

なおPファクトリーでは積載車を保有しており、自社への持ち込みだけでなく引取・納車(運搬費は別途有償)にも対応。実際に東北や四国など自社から遠く離れたエリアでも継続的に運搬や出張施工しており、そのほぼ全てを井上代表自身が対応しているというのにはなお驚かされます。

また、いつもスーパーカーが停まっているので少し気後れする部分もあるかもしれませんが、同社は決してスーパーカー・高級車のみを受け付けているわけではありません。国産ミニバンに貼ったり、小さな範囲・少額の施工も受け付けており、施工価格も相場比では決して高くなく、品質を踏まえればむしろ割安。井上代表も日産サニーバンに乗っているクルマ好きで、カーオーナーの車両・要望に応じて分け隔てなく相談に乗ってくれるので、「愛車ケア(美観保護)に万全を期したい!」という人は一度相談してみてはいかがでしょうか。

ショップ名P-Factory(Pファクトリー)
住所
アクセス
〒243-0307 神奈川県愛甲郡愛川町半原3871-2
首圏央道・相模原ICより約8km
小田急・本厚木駅からバスで約40分
電話番号046-211-5121
営業時間10:00~19:00
定休日毎週日曜日・不定休で月曜
ウェブサイトhttps://p-fac.jp

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

プロフィール

関連記事一覧