「同じ色なら断然こっち!」…熟練者ほど高評価するプロ用ラッピングフィルム「オラカル」

PPF・ラッピング

自動車の内外装を様々なカラー・柄に変えられるカーラッピング。自動車の形状が複雑なボディでも綺麗に貼れるように作られた、プロ用の塩ビ素材のカーラッピングフィルムは色々なメーカーから販売されていますが、近年、施工経験豊富な施工者の間ではオラフォルが販売する「オラカル」の使用が徐々に増えてきています。
熟練施工者が評価するポイントはどこにあるのか?プロ施工者が参加した技術トレーニングの場にお邪魔してきました。

オラフォルジャパンは11月11・12日、プロのラッピング施工経験者(中級者)を対象とした技術講習会を開催しました。会場はラッピング・PPF施工を得意とする東京都江戸川区のディテイリングショップ「アクティブガレージ(阿部雄一代表)」で、講師は業界内でも屈指のラッピング施工実績を有するP.G.D(サインアートツカ)大塚真代表とジェネシス栗原史代表。普段はラッピング施工を事業として営むプロが受講生として集まり、オラフォルのラッピングフィルム「オラカル」の技術トレーニングが行われました。

  • アクティブガレージで開催されたプロ向け技術講習会

オラフォル、オラカルとは? 

オラフォルでは現在、カラーチェンジを演出する「ORACAL(オラカル)」シリーズを中心に幅広いカーラッピング用フィルム展開。豊富なカラーを揃える「オラカル・970RA」をはじめ、カーボン柄や金属調などデザインパターンが施された「オラカル・975」、任意のデザインを出力できるインクジェットメディアでは「ORAJET(オラジェット)・3951RA」など、自動車用だけでも多彩なフィルム製品を販売しています。

  • 多彩なカラー・デザインが揃う「オラカル」シリーズ

今回講習会の対象となったのは「970RA」。オラフォルジャパン担当者によると、「現在のカーラッピング用塩ビフィルムの多くは90〜110μm程度の厚み。その中でオラカル110μmと厚めの部類で、高コストのキャスト製法も相まって、色合いや光沢といった見た目の質感は他社製品に比べて高く評価いただいている」と製品の強みを説明。講師を務めた大塚氏も「ラッピング自体が一定程度普及してカーオーナーのラッピングを見る目が肥えてきていることもあり、単純に色を変えるだけでなく、その質感にこだわるニーズも高まってきている。オラカルはそうした声に自信を持って応えられる質感。例えば定番カラーの1つであるグロスブラック(光沢ありの黒)は各社から販売されているが、弊社ではオラカルを積極的に使用している」と高く評価。大塚氏のみならず同様に高評価を示すプロは少なくありません。

  • 光沢感に秀でるオラカル970のグロスブラック

そもそもオラフォルは、国内ではあまり認知度が高くありませんが、1808年創業のドイツの老舗メーカー。プロセイン王国のポストスタンプのインク製造を手掛けるなど由緒あるルーツを持ち、1960年に交通標識用の粘着性反射フィルムを製造、1970年には自己粘着グラフィックフィルム「オラカル」の販売を開始し、1990年に今に続くオラフォルの社名が誕生しました(当時は「オラフォル・クレーバーテクニヒ(=接着剤技術の意)という社名」)。日本でも近年では珍しくなくなりましたが、フリートマーキング(トラックやバスなどの広告装飾)が旺盛な欧米において自動車用塩ビフィルムの豊富な実績を有しており、2000年代以降は世界各国へ現地拠点を拡大し続けているなど、自動車グラフィックの分野では世界最大手企業の1つです。
昨今、フィルムやコーティングといったディテイリングアイテムでは、素材や製造を他社に依頼し製品企画を主とする新興メーカーも少なくありませんが、メーカー・ブランドの“しっかり感”を重視する人にとっても安心感あるブランドといえるでしょう。

キレイだけど貼りづらい? オラカルの特性

メーカーとしても安定した老舗大手企業で、フィルムの質感も優れている。であればラッピング施工するならぜひオラカルを貼りたい…。
カーオーナーならそう思う一方で、現状プロの間では「オラカルは少し貼りづらい」といった声も。

というのも、販売されているプロ用カーラッピングフィルムの中には、貼る時に細かな位置調整をしやすいよう初期粘着を抑える構造が取り入れられていたり、伸縮性に優れていて貼りやすい薄めのフィルム(90μm程度)もあり、それらと比べると厚めで粘着力が強いオラカルは「貼りづらい」と評されてしまうのです。

そうした中、講習会では1つの解決策としてP.G.Dが販売する「EASY WRAP(イージーラップ)」の使用が推奨されました。イージーラップは主に塩ビ系フィルムの施工で使う特殊な液剤で、初期粘着を弱める(位置決めしやすくなる)効果を持ちながら、フィルムが本来持つ長期的な粘着性には悪影響を与えないという便利グッズ。「キレイだけど貼りづらい」オラカルの欠点を補完する相性抜群なプロ用ツールなのです。

  • オラカルと相性抜群の初期粘着を弱めるプロ用ツール

こうした便利ツールや適切な施工技術を用いると、貼りづらさという欠点も解消されるというオラカル。実際、薄めの他社フィルムでは、貼りやすさをサポートする接着層の構造が施工後もうっすら透けて見えるといったことも起こりえてしまうそうで、そうした細かな品質を理解しているプロこそ、貼りづらさがあってもキレイに仕上がるオラカルを高く評価しているのです。

実際、講習に参加していたラッピングのプロ施工者からは、「施工性(貼りづらさ)もあってオラカルは使ってこなかったが、ラッピング施工の熟練者が積極的に使用しているのを見て、本格的にラッピングの品質を追求するなら選択肢の1つとして揃えるべきだと思った」など、自社サービスへの導入に前向きな声が聞こえてきました。

そもそもプロがプロに習うの?

ちなみにプロが同業プロに習う技術講習…。カーオーナーからすると少し違和感を覚える人もいるのではないでしょうか?例えば自分の店を持つ調理師や美容師が同業者に師事を仰ぐかというと、少し違和感が…。
実はカーラッピングの世界、特にトラックやバスではなく曲面が多い個人車両への施工は歴史が浅く、いわゆる「正しい貼り方」が確立されていないという事情があります。

一部フィルムメーカーなどではプロ向けの施工技術講習を実施していますが、施工の複雑さから「講習を受けたら一人前」と言えるかというと少し微妙なところ。実際、車両ごとにボディの形状は千差万別で、プロ施工者でも「この車種のこのパーツの曲面はどのように貼るのが正解?」「パーツの面積とフィルムのロール幅を比べ、どのように貼り合わせるとキレイか?」といったような現場の悩みは尽きないのが現状なのです。

今回講習会で講師を務めたP.G.D大塚氏とジェネシス栗原氏は、そうしたラッピングの世界で国内の業界黎明期から試行錯誤を重ねて施工ノウハウを作り上げてきた先人たち。“絶対の正解”ではないにしても、”1つの正解”としてそのノウハウを知りたいという人はプロの中にも少なくありません。

  • 大塚氏、栗原氏のノウハウが惜しみなく披露された講習会の模様

今回の講習会では、参加者からは「仲間内以外の同業プロの施工を見る機会が少なく、自分の貼り方でもっと追求できる余地があることを感じた」といった声が挙がり、講師側からは「熱の当て方やテンションのかけ方など、細かな部分で”甘い”と見受けられることも。仕上がりがキレイなのはもちろん、長期的に剥がれや浮きといったトラブルリスクを抑える貼り方が業界全体に広がり、多くの人が失敗なく気軽にカーラッピングを楽しめるようになれば」と惜しみなく熟練のノウハウが伝授されました。

残念ながら現状、オラフォルではメーカーによる取り扱い施工ショップの認定制度などはないため、オラカル取り扱いショップは自身で探す必要があります。ただ、フィルムにこだわってカーラッピング施工を営むショップでは、ホームページや店舗に取り扱いフィルムとしてオラフォルのロゴを掲げていることも。

  • フィルムにもこだわっている施工ショップでは、オラフォルのロゴを掲げているところも

もちろん、カーラッピングの主目的はカラー・デザインの変更で、カーオーナーからしてみると「オラカルを貼る」というよりも「希望するカラー・デザインでフィルムを決める」というのが先決。ただ、「オラフォル製品を扱っているショップはラッピング施工自体の実績も豊富」であるケースも少なくないので、ラッピングの施工ショップを探す際の1つの指標にしてみてもいいかもしれません。

▶︎オラフォルジャパン公式ホームページ

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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