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わずか50日でプロに? SNSで顧客体験を高める現代のスモールビジネス…TRY WASH【のんちゃんRインタビュー】

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今や店舗の集客プロモーションでSNSや動画の活用は当たり前の時代、コーティング専門店も例外ではありません。神奈川県横浜市金沢区にある「TRY WASH(トライウォッシュ)」もSNS活用が巧みな洗車・コーティング専門店ですが、とりわけユニークなのが集客だけでなく自社の開業準備の模様から発信していたこと。本来表には見えない裏方業務をコンテンツとしてつまびらかにし、今では全国各地のカーオーナーの共感を得ています。
今回はそのTRY WASHを営む土屋勇人さん、杏里さん夫婦にインタビュー。夫婦でショップを営むことになった経緯から教えてもらいました。

「好きからプロへ」を後押しした妻の信頼

TRY WASHは、セルフ洗車場「ウォッシュプラザ(運営:カジタ)」の敷地内にブースを構える洗車・コーティング専門店。専門店の相場としては手頃な価格帯の施工サービスに加え、自社オリジナルのカーケア用品も販売しており、販売するECサイトでは好評な口コミも多数。施工や商品はYouTubeやSNSで積極的に発信しており、YouTubeやInstagram、TikTokの総フォロワー数は7万人と多くのファンに支持されています。

現在、洗車やコーティングなどの施工業務は勇人さん(愛称:はやぷさん)、SNS運用や物販(商品管理、発送など)を杏里さん(愛称:あんちゃん)と、夫婦二人三脚で経営しています。「何でもTRYする!」という意味で命名し、2023年9月にオープンしたTRY WASH。ですが、実は2人とも元々は自動車やディテイリングとは関係のない仕事に従事しており、文字通りゼロからショップ設立まで歩んできたそうです。

  • 施工担当の勇人さん

元々2人は全く別の仕事に従事しており、休日には子どもを連れてキャンプや釣りに行くなど、ごく普通のアクティブな家族だった土屋さん夫婦。ただ特に勇人さんは、車両管理の業務を担当していたことがあり、加えて多趣味で器用な手先、「動画・SNS発信」や「クルマ・洗車」といった趣味など、洗車屋開業に繋がる素養があったようです。

SNS投稿は、「家族の思い出を残したい」という気持ちからスタート。やがて洗車やカーケア用品に対するこだわりを発信するようになり、友人のクルマをポリッシャーで磨くなど活動の幅を広げていきました。そして徐々に芽生えたのが「自分の洗車屋を持ちたい」という夢。勇人さんが開業を決意し妻に伝えたところ、杏里さんも即決で賛同。「夫のやることは今まで全部うまくいっていたから」という信頼と覚悟を持って夫婦での挑戦が始まりました。

視聴者参加型のショップ開業

2023年7月、「私たちは50日後に洗車屋になる夫婦」と題した企画をTikTok、YouTubeのショート動画、Instagramそれぞれでスタートしました。企画のきっかけは、杏里さんの「普通に始めても面白くない。みんなを巻き込んでその過程を楽しんでもらおう!」という発案。動画では物件探しから設備調達、メニュー設計、現場の交渉まで、開業までのリアルな舞台裏を毎日発信。視聴者のコメントからヒントをもらったり、同業者からアドバイスを受けたりと、フォロワーと一緒に店を作り上げていくプロセスは多くの反響を呼びました。

開業前の8月には、幕張メッセで行われた展示会(JAPAN DIY HOMECENTER SHOW)内で、シュアラスターブースでのトークショーのゲストとして夫婦で登壇。ほかにも以前から付き合いのあったコンパウンドメーカーから磨きの講習を受けたり、SNSで繋がったプロ施工店からアドバイスを受けたりと、多くの支えがあったといいます。

そして2023年9月、無事に店舗をオープン。開業前から応援していた名古屋のフォロワーが記念すべき第1号の来店者となり、その後も続々と遠方からのファン(通称「トラコ」)も訪れるように。「10代の若いカーオーナーがアルバイトで貯めたお金を握りしめて来店してくれた時は、思わず涙が出た」と杏里さんは語ります。

自社商品、ラジオ番組と止まらない事業展開

TRY WASHでは、店舗での施工だけでなく、クリーナーやコーティング剤といった自社カーケア用品の開発にも力を入れています。「すべて実際に自分たちが現場で使って、本当に便利と思えるかを基準にしている」という商品開発。スタッフが増えた今では、「『統一された製品で、施工クオリティを一定に保てること』も大きなメリットになっている」といいます。
その自社製品も現在はラインナップが10種類以上に拡大。顧客の要望に応じた商品づくりはもちろん、ブランドとしての世界観も丁寧に育てており、オリジナルキャラクターのグッズ展開(Tシャツやキャップなど)も「かわいい!」と好評です。

また、店舗・SNSに続く情報発信の場として、地元・金沢シーサイドFMでラジオ番組『トライな企画』もスタート。夫婦ならではのテンポあるトークがリスナーの心をつかみ、毎回ゲストを招いて楽しい情報を届けています。今後もSNSを中心に幅広く情報発信に取り組んでいく予定で、直近では「簡単で真似しやすい洗車初心者向け情報」を画策しているそうです。

元々は、勇人さんの夢を具現化する形で走り出したTRY WASH。ただ杏里さんにとっても、ただそれを応援・支援するだけでなく、自分にとっての夢でもあるといいます。
「自分らしさを受け入れてくれるのが今のTRY WASHの仕事」と語る杏里さん。前職が堅めの業務内容だったこともあってか、夫婦で好きなことを仕事にできていること、また当時は表に出せなかった自分の明るいキャラクターがSNSを通して誰かの笑顔に繋がっていること。それに大きな幸せを感じていると、今の充実した仕事観を話してくれました。

  • ラジオ番組『トライな企画』

実は洗車・コーティング業は、独立開業しやすい職種の1つ。様々なオートアフター事業の中でも、長年の経験・技術や大掛かりな設備が必要な整備や塗装鈑金、在庫保有や運転資金が必要な車両販売と比べると小資本で済むスモールビジネスで、実際に小規模法人や個人事業主も数多くいます。そして、とりわけ90年代の大手技術スクールを通じた独立開業を1つのムーブメントと捉えると、インターネットやSNSの普及でモノも情報も手に入りやすくなった近年も、ディテイラー開業のムーブメント真っ只中といえるかもしれません。

同時に、かつての施工店は大手の看板や優れた技術が1つの集客要素=売りでした。一方で、マーケティングにおいては、商品・サービスの機能だけでなく顧客体験(CX)が重要と言われて久しく、SNSの普及がそのCXを加速させている。ゼロスタートながら開業前からSNSを駆使し、深いコミュニケーションを紡いでファンを創造したTRY WASHを見ると、そんなスモールビジネスの在り方の変化も垣間見えます。
もちろん単なるマーケティング術だけでなく、トラコの熱心な支持の裏には、土屋さん夫婦の高い熱量と真摯な姿勢があってこそなのは間違いなさそうです。

のんちゃんR

カーラッピングで唯一無二のスタイルに仕上げたGT-R(R35)とのカーライフを満喫するクルマ好き女性。マツダ・オートザムAZ-1やBMW・523iなどの愛車...

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