指定工場でのフィルムの車検が変わる? 国交省が透過率測定に関して通達

カーフィルム

国土交通省・自動車局整備課は1月13日、各地方運輸局(いわゆる陸運局)および沖縄総合事務局に向け、指定工場におけるフィルム装着車の車検方法に関する通知を発しました。

フロント3面(フロントガラス、運転席、助手席)へのフィルム施工に関しては、道路運送車両法で可視光線透過率70%が規定されており、車検ではその適合判定に測定器が活用されています。その測定器自体は指定がないため、従来、民間の指定工場では様々な機器が使用されており、加えて一部では機器を使用しない判断もされていたといいます。
今回の通知では、「保安基準に適合した測定器」を用いることや、その測定器を使用しない場合にフィルム装着車の車検をどのようにするかを細かく言及。該当する法律自体が変わるものではありませんが、今後は一層、その法律に準拠した車検が全国で行われること、ひいてはフィルム施工をより円滑に楽しめるようになることが期待されます。

測定機器を明示した通達内容

通達文書では、要約すると以下の点を記載しています。

前提:フィルム装着車の検査時の取り扱い方法に関し、運輸支局の指定工場に対する指導が統一されておらず差異がある
通知内容:
1:可視光線透過率測定器を用いて判定する場合は、保安基準を満たしたもの(参考としてPT-50、PT-500)を使用すること
2:1の方法をしない場合は、道路運送車両法の規定を適用できないので運輸支局などに車両を持ち込んで車検を受けること

指定工場とは…自動車分解整備事業の認可を受けた認証工場の中で、一定の設備や技術、組織を有する地方運輸局長が指定した工場で、運輸支局に代わって車検(いわゆる民間車検)を行えます

▶︎通達文書「指定自動車整備事業における着色フィルム等が装着された自動車の指導について」(提供:ブレインテック)

基準適合でも不利益被る場合がある現状…

前述の通り、今回の通知でフィルムを取り巻く法律自体が変わるわけではなく、規制緩和でも強化でもありません。ただ、長年施行されているフィルムの規定に今さらながらこうした通知が発行されたこと、また行政が公的検査の測定器として民間企業の製品を明示していることは目新しいトピックスといえるでしょう。

背景には、近年人気高まる発色系フィルム(オーロラ系とも呼ばれる)の存在が1つにあります。
代表的なブランド「ゴースト」シリーズを製造・販売するブレインテックの宮地聖代表は、外からの反射で発色して見える同社製品に関し、「指定工場の検査員(みなし公務員)の『フィルムを貼っているから』という主観で車検不適合や入庫拒否の判断をされたり、“保安基準の規格ではない透過率計”で測定して落検するなど、保安基準に適合したフィルム施工車のオーナーが不必要な不利益を被るケースが実際に起きている」と現状を説明。特にフィルムの製品特性上、一部指定工場などで使用されている規格外の測定器では保安基準70%を下回る測定数値となるケースもあるそうで、「ご自身で色々調べられたフィルム施工オーナー様や施工事業者様などからも『測定器の規定』や『指定工場の対応に対する見解』などの問い合わせが、弊社に対してもここ数年増えている」と話します。
その上で「今後、保安基準外での検査や主観での判断がなくなれば、『車検に通る(保安基準適合)はずなのに落とされた』といった事案を防げるのでは」と期待感を示しています。

そのブレインテックでは、昨年からフィルム専門ショップでのPT-500の活用を推進する「リーガルゴーストショップ」制度を展開中。専門店でもPT-500の活用(法律に準拠したフィルム施工)がじわりと広がりつつあり、加えて今回の通達通りに指定工場での車検が変わっていくのであれば、法を遵守する健全なフィルム施工車オーナーにとっては追い風ムードな環境といえるのではないでしょうか。

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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