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【業界イベントレポ】プロの“知見”と“モノ”が集結…アスナル主催セミナー

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プロ用ディテイリング資材の販売を手掛けるアスナル(宮﨑慎也代表、川崎市中原区)は11月12日、プロ施工店を一堂に招いた「第12回カーディテイリングセミナー&ガレージセール」を神奈川県の相模原市立産業会館で開催しました。毎年秋の業界恒例イベントですが、コロナ禍の影響を受けて20、21年はオンラインで配信しており、リアル開催は3年ぶり。取り巻く市場環境が変わり続ける中、プロだからこそ知っておきたい情報・知見と、プロ御用達の定番品から最新アイテムまでが一堂に集まりました。

イベントは、主催者含む識者が特定テーマに関する知見を語るセミナーと、製品サプライヤーによるPR(プレゼン、ブース出展)の大きく2つのコンテンツで構成。セミナーでは、聴講者である44人のプロに対し、それぞれの専門分野に見識を持つ登壇者が業界展望を披露しました。

◆課題山積、だからこそ開拓余地あり 業界展望 

主催の宮﨑代表による単独セミナー(特定整備とカーディテイリング)や、宮﨑代表とディテイリングショップ「アペックス」郡司代表との対談で示されたのは、ビジネスとしてのディテイリングの将来像です。「無資格・免許も資格もなく営める」「細々と小規模で営んできた」という特性があるディテイリング業ですが、市場や社会の変化を受けて変わりつつある側面もあるようです。

宮﨑代表

宮﨑代表が解説したのが「特定整備制度」について。特定整備は、自動運転や衝突被害軽減ブレーキなどのADAS(先進運転支援システム)の普及が進む中、その安全性を確保するために20年4月から施行された制度。この制度の対象車両は、ADASの装置やセンサー、カメラの整備・改造、それらが付いているフロントガラスやグリル、バンパーの脱着が「電子制御装置整備」と位置付けられ、認証を得た事業者が適切に作業することを法律で規定しています。

一般の整備工場(認証工場、指定工場)ではこの制度への対応が進んでいるものの、元々整備業ではないディテイリング業では直接的な対応は進んでいないのが現状。一方で宮﨑代表は、ディテイリングでもラッピングの一部作業やガラス交換などが電子制御装置整備に該当するほか、該当作業を行わないにしてもコンプライアンス上制度を理解していく必要性があると指摘し、業界情報の収集、分析とそれに対する柔軟な対応の必要性を解説しました。

郡司代表(左)と宮﨑代表(右)

また、郡司代表と宮﨑代表との対談では、経営戦略の観点からの業界展望を披露。アペックスの沿革、郡司代表の経歴、新車ディーラーでのコーティング付帯が高まってきた市場概況を振り返るとともに、保有台数減少に伴う需要低下を一因に整備・鈑金事業者やガソリンスタンドなど競合参入が増える可能性を示唆。その上で郡司代表は、「大手資本などと差別化を図るためには顧客のターゲットを明確化して戦略立てた経営をする必要がある」と提示しました。

加えて、自社の高い離職率や、業界認知度の低さが雇用面で不利に働いている現状を受け、「顧客へのホスピタリティを最優先していたが、顧客のみならず自社スタッフにも喜んでもらうのが経営者としての役目」(郡司代表)として、3年程前に方針転換した自社の人材マネジメントも明かしました。

宮地代表(中央)と井上代表(右)

他方、「カーフィルムの未来」と題した鼎談では、ゴーストフィルムを製造・販売するブレインテックの宮地聖代表と、京都のディテイリングショップ「ビーパックス」の井上和也代表が登壇。現状、装着率が10%程度といわれているフィルム市場の展望を語りました。

2人は、快適性向上や健康被害軽減を目的に装着率が50%以上も珍しくないという海外諸国、また国内でも90年代前半から半ばにかけて新車販売時の装着率(リアのみの装着含め)が30%程度といわれたことを比較対象に挙げ、カーフィルムの国内潜在市場は大きいとの見解を披露。「カーフィルム施工の未来は?」という問いに対して井上代表は「装着率30%」、宮地代表はそのための手段として「可視光線透過率の正しい“計測”」を掲げました。

余談ですが、日本工業規格(JIS8103)の計測用語を参照すると、測定は「量を得るためのプロセス」、計測は「測定の方法および手段を考究、実施、特定の目的を達成すること」。つまり宮地代表の提示する「正しい“計測”」とは、単純に数値を測る“測定”だけでなく、適切な測定器の選定や測り方、測った数値の運用も含めた“計測”を呼びかけたかった意図も感じられます。

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「無資格無免許で、少額投資でスタートできる」という事業特性があり、「クルマが好きだから」という理由で創業した事業者も少なくないディテイリング業界。一方で、今回の識者のセミナーを受けると、自動車を取り巻く法制度や社会規範への対応、他社との差別化や人材マネジメントを含めた精緻な経営戦略、必要な専用機材・情報収集への適切な投資と、社会・市場環境が変化する中でディテイリング業に求められる要素も増えてきている様子。ディテイリング業界内でも先進的に取り組んでいるショップは多くあり、当メディアでは今後もそうしたユーザーが信頼できるショップをどんどん紹介していく予定ですが、一方で現状では業界的な課題がまだまだ山積みなようにも感じられました。

宮﨑代表もセミナーの最後、「クルマがただの移動手段にとどまらず、人生を豊かにしてくれる相棒であるためにも、私たちがやるべきことはまだまだある」と提言。その上で、「ディテイリングは“ゼロをプラスにする”ビジネスで不要不急だが、最近でもガラスやホイール、内装へのコーティング、ヘッドライトの復元、ラッピングやペイントプロテクションフィルムなど、新たなビジネスを創出している。旧いクルマの人気も高まっていて、クルマを大事にする人はこれからも増えると思う。そういう人たちのためにあると考えているカーディテイリングビジネス(の展望)は『大丈夫』と言い続けたいし、来年もセミナーを開催したい」と明るい未来を指し示してセミナーを締めくくりました。

コーティング関連中心に多彩な製品が展示 ガレージセール

ビジネス的観点と同時に、“クルマをキレイにするプロディテイラー”が一際こだわりを見せるのが「ツール」の品質です。セミナーには多彩な製品サプライヤーも参画し、その場で購入できるブースでのガレージセールと合わせて製品をPRしました。

基本的にいずれもプロ向け製品になるので、カーオーナーが直接見たり触ったりする機会は限られるアイテムたち。プロにしか販売していない製品もありますが、品質でプロディテイラーを惹きつけるプロ用資機材の一端をご紹介します!

  • 一般カーオーナー向けにも販売されているアペックスの洗車スポンジ

ちなみに今回のイベントはyoutubeでもライブ配信され、アーカイブが公開中なので興味ある方はぜひご覧になってみてください。

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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