【のんちゃんRエッセイvol.04】色変えだけじゃなくデザイン創作も魅力! “テスト車両”からインスピレーション受けた新生R35
彩鮮やかなフィルムで愛車を思いのままに装飾できるカーラッピング。国内でも一定の普及を見せる一方、高い施工価格などを一因にカーオーナー目線では特殊なサービスと映る側面も。
ラッピング施工した日産・GT-R(R35)で個性豊かなカーライフを楽しむ「のんちゃんR」さんに、一女性カーオーナーとしてその魅力を語っていただいている本連載。今回は、2回目のフルラッピングの模様をお届け!カラーチェンジだけでなくデザインへのこだわりにも注目です。
簡単に剥がせるのが魅力! でも実は影の一手間も
クルマ大好き女子R35・GT-RオーナーののんちゃんRです♪
前回の記事(【のんちゃんRエッセイvol.03】R35・GT-Rに落書き ?! ラッピングと最後のお別れしました)で、私の愛車GT-Rの7年貼り続けたラッピングにお別れをし、ついに剥がすことになりました。
剥がす作業は神奈川県相模原市にあるプロショップ「トランスモアデザイン」の小室慶太代表にお願いし、私もお邪魔をしながら自分でもラッピングを剥がしました。元々のボディーカラーに戻るのが恥ずかしいやら悲しいやら楽しみやら…(笑)な思いでその日を迎えました。
そして、純正カラーであるバイブランドレッドになったGT-Rとご対面!!
おおおおおおお!! この車は自分の車なのか…?!(笑)
ピンクが当たり前になっていたので、急に色が変わった愛車がまるで他人のクルマのような不思議な感覚に陥りました。これが簡単に元の色に戻せるラッピングの醍醐味だと改めて感じるとともに、長期間貼っていたのでクリア塗装の剥離などでキレイに剥がれないという懸念もあったので、元通りになったことに安堵しました。
ただ、ホッとしたのも束の間、小室代表から「キレイに剥がれましたが、長期間貼っていた分、糊残りがあるところがあります」と一言。たしかによく見てみると白いポツポツが無数に…。
腕のあるプロでもこうなっちゃうのは避けられないようで、逆に落とすために擦り過ぎちゃうと塗装に影響があるとのこと。なので小室代表が専用の除去剤なども使って無理のない範囲かつできる限りで糊を落としてくれましたが、このまま放置しておくとさらに固まってしまう可能性もあるらしい…。
そこでこびりついた糊をポリッシャーで磨き落とすことを提案してくれ、「それなら家にポリッシャーがある!」とこれまた自分で挑戦することに! 知り合いの磨き屋にやり方を聞いたり見よう見まねで愛車を磨きました。本当はお店でやっていただきたかったけど、元々DIY好きなタイプでやっぱりお金も浮く!(笑)。ポリッシャーと3Mのコンパウンドを使いながら、朝から晩までノンストップで磨き続け、汗をかきながら磨くこと約1日、無事に糊の除去を完了。
星の数ほどあった糊もポリッシャーなら一瞬だな〜と思いつつ、せっかくキレイに磨けたのでコーティングまでやりたい、なんて思いも。だけど貼ることが目的なので、磨いた素のボディを再び小室代表に持ち込むと、ド素人のへたっぴな磨きながらほめてくれました(´;ω;`)
ラッピングの魅力の1つとして「簡単に剥がせる」なんてこともよく耳にすることも。私の場合は貼っていた期間が7年とかなり長かったので、短期間であればその言葉通りに糊残りなく剥がせる場合もあるかと思います。でも、複雑なボディ形状にしっかる貼り付く接着剤でフィルムを貼る以上、どうしても糊残りや塗装への負担の可能性は完全にゼロというわけではなさそう。私は糊残り除去という一手間すらもラッピングの一環として楽しんでしまいましたが、そんなリスクも事前に知っておくと「こんなハズでは」なんてことも起こりにくそうですね。
糊残りをせっせと除去する模様はYouTubeでも!
カラーチェンジ+デザインを作り込むという楽しみ方
無事剥がしを完遂したので、いよいよ“新生ピンクR”に向けた制作をスタート!
まずは、新しいデザインについて私がイメージしている妄想をプロに聞いてもらいました。
新しいデザインについて最初に考えていたのは「やっぱり大好きなピンクをベースに、以前のデザインにスパイスを加えた感じにしたい!」というイメージ。この少し前からインスタグラムでいろいろ海外のGT-Rを眺めつつ新デザインを模索していたのですが、P.G.D.さんに制作してもらった以前の2色デザインは好きなので残したい、でも雰囲気はガラッと変えたい、などコレという形が見えず少し悩んでいました。
そんなある日、大黒パーキングエリアに行った時にふと見かけたのが新車発表前のカモフラージュされたテスト車両。元々軍艦などに施していた模様ですが、「新型車のダズル迷彩ってカッコいい。あの独特な幾何学的デザインを私のクルマに施したらどうなるかな…」。そんな思いつきからデザインイメージが膨らみ始め、タイミングよくGT-Rも新型発売の噂もあり、「初期型R35だけどもしかして新型?!って思わせちゃうようなイメージで、ピンクとダズル迷彩っぽい柄を組み合わせよう!」と決めました。
構想を描いたものの絵心はない私、「イメージだけを伝えてあとはプロにお任せ!」をするために早速小室代表に妄想を説明。私の「世界に1台しかないGT-Rを造りたい!」という気持ちを原点に構想した、いまだかつてない?!(少なくとも私がSNSを見る限りでは見当たらなかった)ピンクとダズル迷彩模様の組み合わせ。小室さんにはかなり大変なお願いをする形になってしまいましたが、「ここまでのデザインをする人もいないから貼る僕も楽しみですよ」と快く引き受けてくれました。
そして、イメージを実際の形にしていくため、早速詳細なデザインの打ち合わせを開始。
まずは大枠のところで、どこまでピンクでどこから迷彩するのかをマスキングテープでおおよそ位置決め。続いて大事なメインカラーのフィルム、イメージが大きく変わる悩みどころですが、私の好みのピンク色フィルムがすぐに見つかり、即決でテックラップ(TechWrap)のメキシカンピンクに決定。このほか迷彩のところは白黒グレーの3色を組み合わせて作ることにし、使用フィルムや迷彩の細かな柄などは全体のバランスを見て小室代表のセンスで、という形でお任せ。またルーフやボンネットの一部にカーボン調、ピラーのブラックアウトなど細部のアクセントもとりまとめてデザインが完成! あとは実車へ施工をするのみとなり、車両を預けて数週間、新生GT-Rの完成を楽しみに待つこととなりました。
ただ、実は完成前に車両を一旦引き取ることも何度か…。というのも、デザインが複雑なこともありどうしても預け期間が長くなってしまうのですが、私の方でもイベントやツーリングなどGT-Rでなければ!という時が何度かあり、未完成(作業途中)のまま一時帰宅。ベースのピンクとグレーを貼った状態で大阪や栃木などでのスーパーカーのイベントに展示したり、SNSなどでも途中経過をアップしたりなど、完成姿だけでなくそれに至る道のりも皆さまに見て楽しんでもらっていました。
高価でも好きなら…魅了されたからこその2回目のフルラッピング
そして…ついにきた完成の連絡!!
飛んで見に行くと、新生ピンクRの存在感に痺れました!
理想以上のかっこいいデザインに生まれ変わってて、文字通り鳥肌モノ!
「カッコいい中にも女の子らしさも欲しい」という相談もしていたのですが、それに応える形でなんとハート型のGT-Rエンブレムを制作してくれていてこれには私の目もハート! 貼る場所や角度を一緒に決め、最後の工程を小室代表と一緒に仕上げました。
ハートのGT-Rを貼って完成した新生ピンクR。以前のピンクはマット(艶消し)だったのですが、今回はグロス(艶あり)でパールも入っていてよりかわいらしい雰囲気に。こだわりのダズル柄(切り返しの後ろ)もドアまでせり出していて存在感抜群です。
小室代表のセンスに一任した迷彩は左右でアシメントリーになっているのもポイントで、その模様(大きさ・形)も同じものがなく全てバラバラ。白・黒・グレーが巧みに駆使されたそのコントラストは、モノトーンなのにずっと見ていても飽きない魅力的な意匠に仕上がっています。
また細かいパーツにもこだわり満載で、ルーフやサイドミラーにはカーボンラッピングを施して引き締めた印象を演出。ボンネットのダクト部分は立体感を強調させました。ヘッドライトも、上半分にスモークのプロテクションフィルム(光量が減らない程度)、ライト周辺をブラックとアイライン的な装いで力強い印象的な目元になっています。
そして繰り返しになりますが、この「女の人が乗っている!」と瞬時に分かるハートGT-Rがめちゃくちゃかわいい! どの方向から見ても遊び心とかっこよさ、可愛さが感じられる、私の思い描いた『世界に一台のGT-R』がやっと完成しました。
かれこれラッピングと出会ってから約10年。金額的にも決して安くはない“クルマ遊び”なので、当時は1回きりかな〜なんてことも正直思っていました。けれどその魅力にどっぷりハマってしまい、次なる野望もこうして叶えてしまいました。
形のない野望をこうして具現化して応えてくれたトランスモアデザイン小室代表には本当に感謝しつつ、実はまたこのすぐ後にもお世話になることになります。それは決してトラブルや修理などではなく、「人に魅せる」というこれまたラッピングの醍醐味を私が十二分に堪能させていただく舞台に向けた準備なのでした。