施工店からケミカルメーカーに…カーメイクアートプロ【東京オートサロン2025】
大阪の施工ショップ「カーメイクアートプロ(堺市、丸山義昭代表)」は24年、自社のコーティングブランド「ULGO(ウルゴ)」を大幅にリニューアル。コーティング剤をはじめプロ用・エンドユーザー用の全ての商品を自社工場生産※に切り替え、1月10〜12日に開催された東京オートサロン2025では、その高品質かつ幅広い商品ラインナップを披露しました。
※ウルゴはグローバルイノベートという法人で展開しており、製造はアジア2カ国の現地法人との合弁会社BLMOCA CHEMICALSが運営している。
施工業の知見を凝縮したULGOをリブランド
ウルゴは、主にプロ施工者向けのコーティング剤を中心に、多彩なカーケア商品をラインナップしています。
メインのボディ用コーティング剤だけでも、ハイエンド・セラミックコーティングの「プレミアム」シリーズ、被膜の持続性でOne、Three、Fiveの3商品に分類される「プロフェッショナル」シリーズ、高級車に人気のマット塗装に最適化された専用セラミックコーティングと3シリーズを展開。「プレミアム」シリーズは、微細キズが目立ちやすい黒など濃色車に最適な自己修復機能を備える「ブラックインフィニティ」と、艶・光沢、撥水性・防汚性、耐久性・耐候性といったコーティングの気になるに優れる「ハイデンシティ」の2種類が用意されています。
ボディコーティング剤のほか、素材・汚れの種類に応じた各種クリーナー・コーティング剤やカーシャンプー、コンパウンド、内装用クリーナーなど、プロのディテイリング作業のほぼ全ての工程に対応する幅広いプロ用商品も販売。簡易コーティング剤などカーオーナーが使用できるアイテムも取り揃えています。
ウルゴは元々、カーメイクアートプロが2015年に立ち上げました。長年にわたる施工事業で培ったノウハウをベースに、従来は製造を国内のケミカルメーカーに外部委託していましたが、今般、よりダイレクトに自社の知見を反映できる自社グループ製造に切り替えました。
施工ショップが液剤メーカー・サプライヤーと交渉して「自社オリジナル商品」を販売することは珍しくありません。ただ、自社グループで製造工場まで設けてオリジナルブランドを展開するのは稀有な事例で、施工事業から販売(総輸入代理業)、製造と着実にディテイリングビジネスの幅を拡張しています。
カーメイクアートプロでは現在、専門ショップなどに対してはすでに「FEYN LAB(ファインラボ)」や「Ceramic Pro(セラミックプロ)」といったアメリカのコーティングブランドを総輸入元として販売しています。
リブランドしたウルゴは今後、プロ向けに展開していくものの、国内では専門ショップよりも新車・中古車ディーラーなどに向けて内製化支援と合わせて提案していく方針で、マレーシア現地のコストパフォーマンスの高い生産力を活用し、OEMの受託も募っていくとのこと。またアジア諸国など海外に向けても、日本の優れたディテイリングのノウハウを凝縮したコーティングブランドとして販売していくそうです。
アメリカのコーティングブランドもPPFに注力
一方で、カーメイクアートプロが従前から輸入販売する海外コーティングブランドも、新たな局面を迎えているようです。その代表的な取り組みがペイントプロテクションフィルム(PPF)の展開です。
東京オートサロンのカーメイクアートプロのブースでは、「FEYN LAB(ファインラボ)」と「Ceramic Pro(セラミックプロ)」のアメリカの2ブランドそれぞれのPPFを展示していました。
ファインラボは、自己修復機能付きのセラミックコーティングをはじめ、良質で安価なエントリー商品も含めて日本でも多くのプロ施工者に使用されており、セラミックプロは同社が2013年に日本総代理店契約を交わし、今では広く認知される“セラミックコーティング”の先駆け的な存在ともなったブランド。PPFとしては後発ですが、両ブランドとも高品質なコーティング製造のノウハウ・技術を強みに打ち出しており、例えばセラミックプロのPPF「KAVACA」は、セラミックコーティングを施しているため、光沢や透明度、飛び石などからの保護だけでなく、高い疎水性とそれによる洗車時間やメンテナンスの簡略化をメリットとしています。
ワールドワイドで展開されるコーティングブランドでありながら、SEMAショー2024(世界最大級の自動車用品展示会)のセラミックプロのブースではPPFの展示に重点が置かれるなど、カーケアにおいて徐々に浮かび上がってきている「PPFシフト」。カーメイクアートプロの丸山代表は、「コーティングの普及度合いや道路環境の良し悪しも違うので日本でも同様になるかは別だが、コーティングが定着する前にPPFが出始めたアジアのいくつかの国・地域では、新車納車時のオプション割合では圧倒的にPPFが優勢」と海外事情を明かします。
この2ブランドは現在も多くの国内プロショップが使用しており、今後はそうしたコーティング専門店にPPFの導入を提案していくそうです。
最近ではコーティング専門店でのPPFの取り扱いも珍しくなくなってきましたが、従来は長い歴史を持つコーティング専門店に対し、PPFは新規の専門店やラッピングなどの貼り物職人が手掛けることが多く、それぞれの提供者に垣根があったコーティングとPPF。
コーティングが根付いている日本でもその垣根は徐々になくなってきているようで、今後は国内でも「コーティング専門店でのPPF施工」も一層加速するかもしれません。