【のんちゃんRエッセイvol.01】クルマ好き生活の延長に見つけたカーラッピング

彩鮮やかなフィルムで愛車を思いのままに装飾できるカーラッピング。国内でもカスタムやモータースポーツ、富裕層などを中心に一定の普及を見せる一方、高い施工価格などを一因にカーオーナー目線では特殊なサービスと映る側面も。
今回は実際にラッピング施工したR35で個性豊かなカーライフを楽しむ「のんちゃんR」さんに、一クルマ好きとして、一女性カーオーナーとしてその魅力を連載形式で語っていただきました。「愛車で個性を表現したい」というクルマ好きの素直な想いからラッピングに魅了されたというのんちゃんRさん。第1回目は彼女のプロフィールとラッピングとの出会いから。

はじめまして。のんちゃんRです♪

CARDE MAGAZINEをご覧の皆様、はじめまして。日産・GT-R（R35）オーナーの「のんちゃんR」と申します。読者の方にはクルマ好きの方も多いと思いますが、私もとてもクルマが好きで、現在R35含めて3台を所有しています。

R35（MY08の初期型モデル）は、9年前に購入してから大切に乗り続けていている1台。元のボディカラーは赤ですが、好きなカラーのピンクメタリックにフルラッピングし、リアはダズル迷彩柄に。女性らしさを出したかったのでサイドにはGT-Rのハート型ステッカーも作ってもらっています。実はラッピングの魅力にハマってしまい、今施工してあるラッピングは2回目です！

2台目は1992年式のマツダ・オートザムAZ-1です。R35と対照的にライトウェイトスポーツが欲しかったので2年前に購入。当初はこっちもラッピングを考えたのですが、オリジナル塗装の状態がとても良く、当時のままの色の美しさにさらに磨きをかけようとガラスコーティングを施しています。

そして3台目はBMW・523i（F10型）です。もともとシルバーでひっそり大人しく乗ろうと思ったのですが、やっぱりそれだけでは物足りなくなってしまい、気づけば緑色にフルラッピング！（笑）。ALPINA（アルピナ）のアルピナグリーンに憧れて似た色のフィルムをチョイスし、あくまでアルピナではなく「のんちゃんのクルマ」ということで「NONPINA（ノンピナ）」と表記しています(笑)

場所や目的、気分に合わせて乗り換えているこの3台。私は走るのも見せるのも大好きなので、R35でサーキットを、AZ-1で峠をそれぞれ走ったり、クルマ好き仲間とツーリングに行ったりイベントにブース出展したりと、いろんな形でクルマを楽しんでいます。

カーラッピングとの出会いはR35仲間との活動から

その“いろんなクルマの楽しみ方”の1つで、今や欠かせない存在になっているのがカーラッピングです。R35で初めて施工したのですが、その施工に至る経緯と私がラッピングの何に魅了されたかを少しだけご紹介します。

そもそもR35を購入したのは2015年1月のこと。それまではGT-R（BCNR33）に乗っていたのですが、縁があってR35へ乗り換えることに。もし買うなら「色はバイブラントレッドにする！」と心に決めていたので、その色のR35が展示してある中古車販売店に向かいました。
1軒目で初めて生で見たバイブラントレッドのGT-Rのあまりのカッコ良さに一目惚れし、入店から10分で購入を決断。念願だったこのR35購入は、私のクルマ人生を大きく変える転機になったと思います。

その変わったことの1つが「人との繋がり」です。R33やR35との出会いも私にとっては“人との縁”でもたらされたものなのですが、R35購入後はそれまで縁がなかったオーナーズクラブに入会。そこから今まで出会ったことのない人との人脈が広がり、クルマ系のイベントに行くことも増えました。年齢や仕事、住んでいる場所なども全く違うのに同じクルマに乗っているという共通点だけで話が弾むオーナーズクラブ。「こんな私でも仲良くなれるんだ！ こんなに面白い世界なんだな！」と入会時に感じた居心地の良さを今でも覚えています。

そして、ラッピングとの出会いも、この“仲間とR35を楽しむ活動”の一幕から。以前のR33はチューニングもしていたのですが、R35は純正でも十分格好良くて速いので「ノーマルで大人しく乗ろう！」と思っていた当初。良くも悪くも(？！)刺激的なこのオーナーズクラブでの活動が、そんな私を再びカスタムの沼へと引き戻してくれました(笑)。
仲間の様々なR35に刺激を受けつつ、自分のR35をどうカッコよくしようか考えていたある日、たまたま出向いたイベントで見かけたラッピング施工ショップP.G.Dさん（静岡県島田市）のブース。そこではフルラッピング車両の展示に加えて施工のデモンストレーションも行われていて、それが私のカーラッピングとの初めての出会いでした。

クルマの色を変えるとなったら塗装しか知らなかった私に走った衝撃。大きなシールを貼っている…。みるみるうちに車の雰囲気が変わる…。様々なカラーやデザインがこんな短時間で施せて、しかも剥がすこともでき、大切な愛車のボディ保護にもなる！
「こんな新しいクルマの魅せ方があるんだ！」ととても感銘を受けました。
そこからすぐに「自分の愛車にラッピングしたらどんな感じになるのかな？」とP.G.Dさんに相談。カーラッピングを何も知らない私でしたが、P.G.D大塚代表は丁寧に色々と教えてくれ、「世界に1台しかないR35を作ろう！」と決めて依頼することになりました。

デザイン案、イベント出展、デモ施工全てに驚いた初施工

このP.G.Dさんへの依頼が、今も続く私のカーラッピング人生の幕開けです。
私の希望は「好きなピンクにしたい！」と、ルーフをブラックアウトすると車高が低く見えるので「ルーフはカーボン柄で！」の2つだけ。あとのデザインはスーパーGTのレース車両の製作にも携わっているデザイナーさんにお任せ。ピンクのフィルム1つ決めるのも種類がとても豊富なので、「メタリックいいなぁ」「ラメもいい！」「だけどマット系って今の流行だよな〜」などなど、仕上がりを妄想しながらかなり吟味しました。

そして依頼から数週間後。提示された紙面のデザイン案を見てとても驚きました。
「リアがまさかのグレー？！」「サイドにはGT-Rの文字…？！」
自身で震えを感じる程にカッコよく見え、頭の中にあった想像のはるか上のデザインに感服。即決でそのまま施工を依頼しました。施工中もP.G.Dさんにたびたび訪問し、「愛車がピンク色になっている！！かわいい」と変身途中のクルマに釘付け。貼り方や使っている道具にも興味津々で見入ったりもし、この“ラッピング施工”だけでも十二分に私のクルマ好き人生においてはとても新鮮な経験でした。

ただ、P.G.Dさんへの依頼はラッピングを施工してもらうだけでは終わりませんでした。大塚代表の計らいで「ピンクになったGT-Rのお披露目として2016年の名古屋オートトレンド（NAT）に展示する？」とご提案いただいたのです。
「自分の愛車がイベントに出られる？！」
それだけでも驚きだったのですが、続け様に大塚代表が「のんちゃんもキャンペーンガールでクルマの横に立ってみたら？」との言葉。元々一クルマ好きとしてそういう経験をしてみたいという気持ちもあったので、「自分のR35と一緒にイベントに出られるなんてこんな幸せなことはない」と、不安も抱きつつもNATに出ることを決めました。

そんな嬉しい話をいただきつつ、大塚代表から施工完了の連絡。デザイン通りの仕上がりなのはもちろんですが、紙で見たのと実際に仕上がったGT-Rは迫力が全く違い、圧巻でした。TeckWrap（テックラップ、米国のフィルムメーカー）のマットクロームメタリックピンクとORACAL（オラカル、ドイツのフィルムメーカー）のチャコールメタリックのツートンの相性が抜群で、派手でビビットなピンクをリアのチャコールがスポーティーかつ大人な雰囲気にうまく引き締めてくれている印象。サイドの色の切り返しの「GT-R」文字もポイントで、フィルムを重ねて層にすることで立体感を演出してくれました。エンブレムの「R」も、本来の赤をボディと同じピンクにしてくれています。 
「これは面白い、可愛すぎる！」。
私が希望として口にしていない細部にも遊び心ある工夫を施しオーナーを喜ばせてくれる心意気には「さすが」の一言です。

ここまで仕上げてくれて大満足な私。大塚さんに感謝の気持ちを伝え完成を喜んだのも束の間、まさかの「完成ではない」との言葉が…。
その真意は、先のブース出展を提案されたNAT会場でこのGT-Rに施工デモを行い、「来場者さんに見てもらいながら完成させよう！」というさらなる驚きのご提案。もちろん私はこれにも「ぜひ！」と即答しました。

完成形が依然として分からないまま迎えたイベント当日。
P.G.Dさんのロゴ入りの可愛い衣装も作ってもらい「これを着てGT-Rと一緒に頑張るぞ！」と意気込みつつも、初めてのイベントでどうして良いか分からないまま隣のブースの先輩たちを見ながら愛車の横に立ってみました(笑)。嬉しいことに沢山の方々が写真を撮ったり話しかけてくれたりしましたが、「これ私のクルマなんです」とお話すると多くの方がとても驚いた表情。「そうか…だいたいのキャンペーンガールさんはメーカーとかの車の横に立っているから、まさかクルマの横に立っているのがカーオーナー本人とは思わないよね(笑)」なんて思ったりも。

そしてそんな楽しかったイベントも終盤。イベント中複数回行われたGT-R施工デモで、完成に至る最後のデモの時間がやってきました。開始早々、たくさんのお客さんが詰め寄せる中、ボンネットにショップロゴなどのステッカーを貼り、その上にボンネットのサイズにカットしたマットシルバーのフィルムを施工。ナイフレステープなども使いながらP.G.Dさんはじめ4人のプロの方が巧みな施工技術を披露しました。
シルバーのフィルムから浮かび上がるロゴを見て「こういう仕掛けだったんだ！」などとラッピングの面白さを改めて感じつつ、たくさんの方に見ていただきながら完成を迎えようとしている愛車を眺めていると嬉しさや喜び、感謝など胸に一挙に押し寄せてくる感情。程なくデモ施工は終わり、会場から湧き上がる大きな拍手が私の胸の感動を増幅させてくれました。
「ついに私のピンクのGT-Rが仕上がった！」。
外見が変わっただけで新車のようなフレッシュな気持ちになり、生まれ変わったR35を会場で一人まじまじと眺めていました。

ラッピングに出会ってからわずか数ヶ月、その魅力に取り憑かれたように即行動に移し、念願だった『世界に一台のGT-R』を手に入れることができました。ピンク色が目立つので私のことを覚えていただくことも多くなり、今では名刺代わりのような存在にもなっています。
私が説明するまでもなく、気軽にイメージチェンジができ、自分の好みのデザインやカラーリングが楽しめる自由度の高さがラッピングの魅力。ですが私にとってはそれだけでなく、“自分という存在を最大限に引き出せて人と人を繋ぎ合わせてくれるツール”でもあるのかな…。一連の経験を通じてそんな魅力を体感させてもらいました。

決してお金持ちではなく、人との縁が根底

余談ですが、R35もフルラッピングもとても高価なイメージもあり、そのR35含め複数台所有する私のことをお金持ちのように思われるかもしれません。ですが、私自身は全然そんなことはありません。

元々は、3人姉妹の末っ子で男の子が欲しかった親の影響もあり、おもちゃや服装、髪型など何かと男の子っぽい環境で育て上げられたのがクルマ好きに至るきっかけ。その中でもグランツーリスモ（プレイステーションのレースゲーム）が直接のトリガーになりました。そこから、学生時代は特にクルマ好きの同級や知人がいたわけでもない中で、一クルマ好きでい続けて免許取得の年齢に。最初は祖母のダイハツ・ムーブを借り、初めての愛車スズキ・ワゴンRでは峠に走りに行ったりと、普通にクルマ好きとしてのカーライフを送っていました。

そこからR33やR35へ乗ることになったのも、そんなクルマ好き生活をしている中で人との縁・出会いや偶発的なできごとが、運良く私にとって良い方向に転がった結果。自分自身のアクションで良かったかなぁって思えるのは、クルマ好きが周りにいなかった学生時代や卒業後もクルマ好きで在り続けた、クルマへの熱量を持ち続けたってことぐらい。先に紹介したラッピングや大塚代表との出会い、イベント出展なども、「自分が特別な存在や何か自分の力で成し遂げた」というより「素敵な人々に巡り会うことができてカーライフを楽しめている」といった感じです。

そんな色々なカーライフの中でも、一生懸命取り組んでいる活動の1つが日本スーパーカー協会（JSA）事務局のお仕事。JSAはスーパーカーの魅力を発信するために「TOKYO SUPERCAR DAY（東京スーパーカーデイ、TSD）」というイベントを関東中心に年に数回開催。貴重なスーパーカーや日本に数台のハイパーカーなどを身近に感じてもらい、クルマ好きやお子様、ご家族連れなど多くの方に楽しんでいただけるイベントとして運営しており、私もその手伝いをしています。2023年秋に開催されたJAPAN MOBILITY SHOW 2023では、「TOKYO SUPERCAR DAY 2023 in JMS」と題して1200㎡の大きなブースを展示し、日本一のクルマの祭典に携わることができました。

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このほか、名古屋オートトレンド以降レースクイーンやキャンペーンガールの活動も続けており、東京オートサロン（TAS）には7年続けてお仕事で参加。2023年、24年のTASではA PIT AUTOBACS 東雲さんのブースに立たせていただきました。元々普段から買い物に行くヘビーユーザーだったので、ブースに立てること自体がとても嬉しいですし、オリジナルグッズの配布や来場者さんとのお話しなど毎回楽しくイベント期間を過ごさせていただいています。
また最近では、嬉しいことにクルマ系のYouTubeや雑誌などいろいろなメディアに出演させていただくことも。私生活も仕事もクルマ三昧の私が、これからどんどんカーディテイリングやカーラッピングの素晴らしさや楽しさを“クルマ好き”“カーオーナー目線”でお伝えしていけたらと思っています。