好き! でなく仕事として…プロも一般顧客も支持する「クウォーク」兵庫県西宮市

クウォーク/ショップ探訪記
ショップ探訪記

技術・製品へのこだわり、クルマ・モノへの愛、カーオーナーへの想い…。お店選びの参考に、はたまたディテイリングの奥深い世界に触れるだけでも、全国津々浦々、多彩なショップを覗いてみてはいかがでしょうか。

高級コーティングから中古車商品化まで

クルマのアフタービジネスでは、特にチューニングやレストアなどで多く見られるようにクルマや作業への”好き”が高じてプロになった人も少なくありません。そしてそれはディテイリングでも…。

そんな中、「特別にクルマや洗車が好きなわけではなく仕事として手掛けてきた」。そう語るのは兵庫県の中核市、西宮市でディテイリングショップ「クウォーク」を営む小島厚史代表です。「好きではないけど、プロとしてこだわりをもってやってきた」という創業30年を超えた同社は、カーオーナーからも自動車販売店からも厚い信頼を得ています。

クウォークで提供するサービスは、ボディコーティングやカーフィルムをはじめ、ペイントプロテクションフィルム(PPF)やカーラッピング、内装クリーニング・コーティングまで一通りのディテイリング施工。協力会社と提携して鈑金塗装や車検、自動車保険まで幅広いカーライフサポートも手掛けています。
メインのコーティングでは新車購入時に依頼するカーオーナーが多く、近年では「ディーラーオプションではなく専門店で」と言って預ける人も増えてきているそう。中には西宮市内でコーティングショップを何軒も周った後に、他店よりも高額な見積もりだったにも関わらず入庫してくれたカーオーナーもいるのだとか。
そうした一般カーオーナーとは別に、国産車・輸入車の新車ディーラーや中古車販売店から依頼される中古車商品化事業も手掛けており、高単価な高級コーティングから低単価のカークリーニングまでクルマを綺麗にする仕事を一手に引き受けています。

  • コーティング:D-PRO(ディープロ)/…など
  • カーフィルム:IKCS(ルミクール/シルフィード)/コボテクト…など
  • ペイントプロテクションフィルム(PPF):XPEL(エクスペル)/…など
  • ラッピング:スリーエムオラカルなど
  • ウインドウプロテクションフィルム(WPF):P-Shield(Pシールド)
  • インテリア:ルームクリーニング/抗菌コーティング…など
  • その他:手洗い洗車/ヘッドライトリファイン/スマホコーティング/代車あり
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    施工場に併設された接客スペース。様々なサービスのサンプルを展示
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    磨きからコーティング塗布まで塗装面の状況把握に不可欠な照明。明るいだけでなく様々な色温度を完備

独学だからこそ築けたサービスクオリティ

幅広い施工サービスを手掛ける中、各施工ノウハウの多くを小島代表の独学で培ったのも同社の特徴の1つ。
ディテイリング業では、専門スクールでの受講や専門ショップでの勤務経験を経て独立した人が少なくない中、小島代表は異業種からの独立以降、基礎的な磨き、下地処理から最新のウインドウプロテクションフィルムまでその施工技術の多くを自身で磨いてきました。
「お客様に育てられてきた部分はとても大きい」と四半世紀超となった事業の歴史を振り返る小島代表。ボディコーティングに関しては施工ショップが多く加盟する国内ブランド「D-PRO(Dプロ)」に参画し、加盟ショップ同士での継続的な情報交換も重ねていますが、それを通じてもなお独学で築いた自社品質に自信を示します。

そのこだわりの施工品質は、作業の端々に。
例えば同社では通常の一般カーオーナーからのコーティング依頼の場合、下地処理から施工、最終確認まで1台につき平均3〜4日をかけ、平均単価は20〜30万円に上るそう。そしてそうした高級メニューはもちろん、10万円前後の廉価なメニューでもディーラーから依頼された中古車再商品化でも分け隔てなく、ホイールの内側やブレーキキャリパーといった目につきづらいポイントまで徹底的に洗浄。車種によってはエンブレムまで脱着して清掃することも珍しくないそうです。
小島代表はこの施工への取り組みについて「同業者と情報交換をしてみると、実は同じプロでも細かな作業内容が異なる部分がある。弊社がお客様に満足してもらうためには必要と思って組み込んでいた作業を、他所のショップさんではオプションとして別作業にしていたり…。ある意味『業界の標準はこのぐらい』というのではなく、独学をベースにやってきたことの良い面でもあるのかな」と自負します。

また、サービス品質へのこだわりは施工にとどまらず接客面でも。コーティング1つとってもレアアース配合の3層からなる高級コーティングから比較的リーズナブルな親水系コーティングまで幅広くラインナップしており、入庫時には顧客の走行頻度や保管環境などをヒアリング。場合によっては費用対効果を踏まえ、顧客の希望よりもダウングレードしたメニューをオススメすることも少なくないそうです。

これらサービス品質の根底にあるのは、「相手がどのようにしたら喜ぶか、リピートしてもらえるかを追求して試行錯誤を重ねてきた」という小島代表の、ある意味ではビジネスパーソンとしては根本ともいえる心構え。「業界の慣習」や「自身のこだわり」だけでなく、「顧客ニーズに応える」ための姿勢が、毎日クルマを扱うディーラー営業マンから専門店巡りをするこだわりの強いカーオーナーまで多くの顧客の支持を集めています。

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    縁に汚れが蓄積しやすいエンブレム周り。車種によっては脱着して徹底的に磨き上げている
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    実績豊富なショップが多く加盟するDプロのコーティング剤を活用

ちなみに「ビジネス的なサービス」と書くと、どこか割り切ったイメージを抱く人もいるかもしれません。ただ、芸術や伝統工芸を除き、どの業種サービスでも顧客が受ける価値と提供者側の想いは完全には比例しないもの。加えて新車ディーラーなどからの外部委託業務も多いディテイリング業界では、「一般ユーザーを顧客にしているショップの方が高品質」といった議論も昔から一部で繰り広げられていますが、これも一律の話ではありません。
確かに請負業務の方が納期が厳しく施工単価も低い傾向にあるため、その分の作業品質を余儀なくされる場合がありますが、一方で仕上がりに対しては、一般カーオーナーが数年に一度しかコーティング施工しないのに対して自動車販売店は毎日のようにプロが仕上げたコーティング施工車を取り扱っているため、見方によっては「ディーラーの方が仕上がりに細かい」というケースも(ディーラーが相応のプロショップと提携している場合の話)。

クルマ好き・洗車好きではないという小島代表が一般カーオーナーと自動車ディーラーの両方から30年以上も支持され続けていること自体、「クルマ好きが営んでいるからこだわりがある」「一般カーオーナーを相手にしているから高品質」というのがショップ選びにおいて絶対の指標とはならないことの1つの表れといえるのではないでしょうか。

ディーラー営業マンからディテイラーへ

そもそも小島代表は、社会人としてはじめからディテイリング業に従事していたわけではなく、元々は自身もディーラーで新車販売を手掛ける営業マンだったとのこと。ただ、社内組織や営業という仕事の在り方に疑問を感じて独立。「何をしよう」と模索しながら仲間と立ち上げたのが、当時独立ビジネスとして少し流行を見せていた出張洗車でした。
インターネットも普及しておらず手に入る情報が限られていた当時、独学で施工ノウハウを探りつつ地道なポスティング広告などで顧客を開拓。ディーラー営業マン時代のツテを生かして新車ディーラーからの中古車商品化業務も請け負うようになり、手探りながらも徐々に事業を軌道に乗せていきました。

ただ、1つの転機となったのが1997年に起こった阪神淡路大震災。これを機に新車ディーラーからの発注に陰りが見え始めたそうで、「当時、私のいた西宮は被害が特に大きかった街の1つ。一方、お仕事を受注していたディーラーさんは比較的被害の少なかった大阪方面に多く震災後も通常通り営業されていたが、それでも発注が明らかに少なくなった」と当時を振り返ります。

そこで踏み出したのが、今に続く一般カーオーナーを対象としたサービス展開。2005年に自社でショップを構えてそれまでの出張作業から決別し、08年には駅からも近く幹線道路に面した現ショップに移転。顧客からの要望に応える形で様々なコーティングを試験したり、ラッピングやPPFといった新たな施工サービスを取り入れるなど、サービスを拡充してきました。
今では、コロナ禍による新車納車の遅延もありディーラーからの受注減が余儀なくされた中、西宮はもとより芦屋や神戸など近隣地区からも「クウォークに預けたい」という熱心なカーオーナーが同社を支持しています。

「仕事としてやっているから。フィルム1つ貼るのも作業は面倒くさいよ」と笑いながら口にする小島代表。そう話しながらも30年キャリアを積み重ねた同氏の言葉には、字面とは裏腹にプロとしての矜持とそうした顧客への愛情がこもっているように感じました。

  • クウォーク/ショップ探訪記
    国産車のほか欧州車系ディーラーとの付き合いも長く、プロ・アマ問わず信頼を寄せる同社
ショップ名クウォーク
住所
アクセス
〒662-0032 兵庫県西宮市桜谷町1-18 野田ビル1F
阪神高速3号神戸線西宮ICより約2km
阪神本線・西宮駅より徒歩約13分
電話番号0798-78-5150
営業時間9:00〜19:00
定休日水曜・第2火曜日(祝日の場合は第3火曜日)
ウェブサイトhttps://quark-net.jp

CARDE編集部

90年代前半から東京都下でショップを営むプロディテイラーと元業界紙記者のコンビ。“現場のリアルな視点”と“客観的な情報編集力”でカーユーザー第一の情報をお届...

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